\11/12オンライン開催/ネイバーフッドデザインを仕事にする 〜まちを楽しみ、助け合う、「暮らしのコミュニティ」をつくる〜

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“100歳まで働ける”職場を目指して!世代を超えて女性が集う、孫育てグッズの工房「BABAラボ」 [コミュニティデザインの現場から]

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年をとっても、生きがいをもって働ける場を身近につくれたら。埼玉県さいたま市に、近所のおばあちゃんたちが集まって仕事ができる職場があります。その名も「BABAラボ」。皆で知恵を出し合って作るのは、おばあちゃんおじいちゃんが孫の面倒をみる時にあったらうれしい「孫育てグッズ」。
greenz.jpで以前紹介したおばあちゃんを指名してカスタムメイドするニットブランド「ゴールデン・フック」が人気ですが、日本にもおばあちゃんたちが”100歳まで働ける”ことを目指す素敵な職場がありました。

おばあちゃんによる、おばあちゃんのための孫育てグッズ

埼玉県中浦和駅から徒歩8分ほどにある一角の一軒家。ここには、毎週月曜日と水曜日の2日間をオープンハウスの日として、若い方から老人まで多くの女性が集まります。

それぞれ立ち寄る時間帯もばらばらですが、ふらりと立ち寄って皆で昼食をとったり、お茶を飲んだり。ただ、遊びに来ているのではありません。「BABAラボ」の商品をつくる仕事が目的で集まっている方々なのです。

「BABAラボ工房」の一軒家

「BABAラボ工房」の一軒家

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「BABAラボ」を立ち上げたのは、自らおばあちゃんっ子だったという桑原静さん。
彼女たちがつくるのは、おじいちゃんおばあちゃんが孫の面倒を見る時に使いやすい、またはあったら嬉しいグッズ。現在製作しているのは、まだTシャツとバッグのみですが、近々商品化されるものに、高齢者が使いやすい哺乳瓶や、小さな子供を抱きやすい「抱っこ布団」といったお年寄りにやさしい育児グッズを続々と企画中です。

スタッフは、この職場「BABAラボ工房」で、製品の作り方を教わったり、新しい商品について案を出し合ったりしながら、自宅でも制作を進めます。現在、登録スタッフは25名ほど。それぞれが洋裁や編み物など、得意分野を活かして商品をつくっています。

スタッフ発案のマフラーと靴下

スタッフ発案のマフラーと靴下

孫とおそろいで着られるTシャツ

孫とおそろいで着られるTシャツ

役割があるから、気兼ねなく立ち寄れる

桑原さんは、「BABAラボ」を立ち上げた思いをこう語ります。

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おばあちゃんたちが、年を取ってからも生きがいをもって働ける場所があったらいいなということはずっと以前から考えていたんです。お年寄りが集まるサークルはあるけれど、知識や経験をちゃんと活かせて、お小遣いを稼げるような仕事がつくれたらいいなと思っていました。

それが具体的なアイディアになったのは、自分に子どもができて、母や祖母に子育てを手伝ってもらうようになってからです。彼女たちが孫の世話をする時に、若いママ向けにつくられた育児グッズには使いづらさがあることに気付きました。哺乳瓶の目盛が見えにくいとかそういうことで。もっと使いやすいものがあったらいいんじゃないかと。それが、以前からもっていた思いと結びついたのです。おばあちゃんたちがもっている豊富な知恵や経験を活かせるような仕事が提供できたらと。

もちろん、おばあちゃん同士の交流も目的のひとつにありますが、働く側にとっては、きちんとお金を稼げることが大切です。ただ遊びに来るのではだめなんです。やっぱり、仕事として役割があるから、みんな気兼ねなくこの工房に立ち寄ることができるんですよね。

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この活動に初期の頃から参加している山下さんは、歩いて15分ほどの自宅から毎週月曜日に工房に通っています。

もともと古くなったマフラーやセーターをほどいて、新しいものを編んで人にあげたりするのが好きなんですよ。この団体を知って、すぐに参加したいと思いました。今はこうしてお友だちを連れてきたり、毎週通える場所があることが嬉しいんです。

山下さん(左)とそのご友人。

山下さん(左)とそのご友人。

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桑原さんも予想外だったのは、おばあちゃんたちだけでなく、若い女性からの反響が大きかったこと。内職スタッフを募集すると、子育て真っ盛りのママが数多く集まりました。工房に子どもたちが集まると、職場はさらに活気づきます。

これは、おばあちゃんたちにとっても嬉しいこと。子どもたちが泣いたり笑ったりしながら走り回る姿を、目を細めて見守るおばあちゃんの姿が印象的でした。

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スタッフとのMTG

スタッフとのMTG

一番の協力者は母と祖母。身近なところから始める大切さ

桑原さんは、前職で、NPOの職員として地域づくりのコンサルティングを行ってきた方。全国さまざまな場所を飛び回る中、どこか一カ所を拠点に深く関わりたいと考えるようになったと言います。生まれ育った埼玉県のさいたま市は、ごく自然とその候補になりました。

さらにユニークなのは、桑原さんのお母さん、お祖母さんが、この活動に大きな役割を果たしていること。

代々続くお店や、農業など家庭内産業でない限り、なかなか家族で新しい事を立ち上げようとはなりにくいイメージがありますが、桑原さんたち親子女性三代は、とても自然に、ともにこの活動を始めていることに、新しい風を感じます。

今では、お母さんのひでこさんが製造部門の責任者として、品質管理を一手に引き受けます。

製作指示を行う、桑原ひでこさん。

製作指示を行う、桑原ひでこさん。

うちの家庭では、やれることはやったらという方針でやってきているので、この取り組みには、私も初めの頃から賛成して一緒にやっています。もともと洋裁は好きですし、これから先の生きがいができた感じですよ。

親子で喧嘩することもしょっちゅうありますが、地域の方々を交えてすべてオープンにやっています。ある家のお嫁さんがいらして、その方のお母さんがここに通い始めてから活き活きして表情が変わったというお話など聞くと、あぁやっててよかったなと思います。もちろん、それだけでなく、これから作っていくものが売れたらいいなと思いますよ。夢は大きくですね(笑)

まだまだ現状では製品を作り始めたばかりで、大きな売り上げは見込めないため、スタッフの特技を生かしたワークショップも始めました。

私が取材で訪れた日に行われていたのは、かぎ針編のワークショップ。教えるのは初めてというスタッフの方々が、ご近所から集まった若いママさんたち相手に丁寧にかぎ針網を教えます。これまた子どももおばあちゃんも集まって、わいわい賑やかな午前中でした。

ワークショップ風景

ワークショップ風景

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お年寄りや育児中の女性、子どもが集まることを当たり前に受け入れ、むしろ歓迎する職場。こんな風に、自分たちの手で働きやすい職場、住みやすい環境を身近につくる取り組みが、始まっています。
ぜひ成功してほしいと思える、新しいスタイルの働く形でした。

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