「あなたは、地方に暮らしたい願望がありますか?」この質問に、都心に住む20代の若者の約2割もの人が「ある」と答えています*。
地域には仕事の幅が少ないと思われがちですが、すでにその土地の資源をいかして、仕事を生み出している人々がいます。また、若者が地域をよくしたい!と意気込んでも、地元の人たちにはそれほどの危機感がないこともしばしば。
まずは現地に飛び込んで、そこに暮らす人々の生活や文化を知り、すでにチャレンジし始めている起業家やNPOの活動にかかわってみることから始めてみませんか?
起業家の右腕として、地域の現場で働いてみる
今回ETIC.が募集をするインターンプログラムは、学生向けながら「地域で働く起業家の右腕として働く」という、かなり具体的な活動に携わることのできる、前のめりなプログラムです。
これまでにも、地域暮らしを体験できるような研修はたくさん行われてきましたが、その結果、皆が気付いたのは、ただ若者に来てもらって一時的に賑わえばよいものではないということ。
長期的に町や村がうるおい、生活していける場を作るために必要なのは、地方という不利な場所でも、仕事を創ってまわせる力だったのです。
そんな未来の起業家を育てる意味も込めて、今回インターン生を受け入れるのは、いずれも地域課題を発掘し解決するタイプのプロジェクトです。
ジャンルは商品開発、宣伝販促、離島振興、観光プログラム開発とさまざま。約30程の募集プロジェクトがあります。
地域:全国7地域(岩手、宮城、石川、岐阜、鹿児島、熊本、沖縄)
期間:短期プロジェクト:3週間~4週間以上(春休み1か月間限定)
長期プロジェクト:6か月以上
定員:短期50名/長期 5名
プログラム参加費:無料
(ただし現地までの往復交通費・期間中の宿泊費・生活費等は本人負担。)
自分で何とかしなければならない状況も!
イメージをつかむために、募集先の一つ、久高島のNPOエクスブリッジをご紹介します。スタッフの深田さんにお話を伺いました。
エクスブリッジは、沖縄の久高島や南城市を中心に地域おこしのサポートを行っているNPOです。久高島に関しては、島に移住して山村留学をやっている坂本清治さんや久高島振興会の伊豆和さんと協力して、島の状況をよくするための活動を始めています。
実際に、どんなことを行っているのでしょう?
今は島での体験プログラムの開発をしています。久高島に来られる観光客は多いのですが、その方々がもっと島を楽しめるようなツアーや、長期的に島の活性化にたずさわってもらえるような島のファンを増やすために、島人の営みを体験できるツアーも考えています。来年早々にモニターツアーを行うので、時期が合えば、次回のインターンの方には是非このツアーの実施を一緒にやっていただきたいです。
エクスブリッジは既に今年の9月にもインターン生を受け入れ、久高島に3人の大学生を派遣しています。
そのうちの一人、中央大学4年生の玉城大志さんに、インターンでのリアルな体験談を聞くことができました。
予想外だったのは、関係者を一通り紹介された後はNPOの人が一緒に行動するわけではなく、島に自分たちだけが残って何とかしなければならなかったことです。
NPOやベンチャーのスタッフは、必ずしも一つの地域や島だけを対象にしているわけではないため、時としてインターンの学生の方が現場に近い立場に置かれることもあるということ。むしろ、そういった手の届かない場所を補ってくれる人として、インターン生を応募しているとも言えます。(受け入れ先によって異なりますが。)
あと難しかったのは、現地の人々にどう自分のことを紹介するか、でした。地域には、問題を解決しようということとは無関係に、多くの人が穏やかに暮らしているわけですよね。そこに、自分たちみたいな外部の者がいきなり入っていって、“あなたの地域をよくするために来ました”とは、なかなか言えないじゃないですか。
特に久高島は小さな集落で閉鎖的な面もあるためそこに注意するようNPOの方に言われていたことも引っかかっていました。だから最後まで、このインターンの主旨を曖昧にしか伝えられず、最後にようやくわかってもらえたかなというのがあって。もっと早くに伝えていれば、よりプロジェクトを具体的にすることができたかもしれないと思っています。
それでも、インターンの最後に、島の区長さんらキーパーソンを集めてのプレゼンが行われ、島人同士がこれから先の島のあり方を話し合う場になったのだとか。島ではなかなかそういう場を持つことすら難しいため、インターン生の存在が媒介となって、島に新しい風が吹いたのです。
今回ほかにはどんな募集先が?
久高島の他にも、今回の受け入れ先には以下のようなプロジェクトがあり、全リストは、こちらETICのサイトでご覧いただけます。
【岐阜/伝統産業・地場産業での地域発展】
「アイスクリームにかけるお醤油」で大ヒット商品を生み出したアイディア社長のもとで、新たな商品の企画、流通開拓を行う。
【鹿児島/観光プログラム開発】
使われなくなった電車の車両を生かして、宿泊施設を運営する団体で、新たな顧客を獲得するための広報・イベントプログラムを開発運営!
【沖縄/リゾートホテルでのCSRプロジェクト作成
沖縄の美しい自然を大切にしながら観光振興を進める同社にて、「環境×観光」をテーマに、新たな企画を提案!社長プレゼンを通れば事業として実施します!
【震災復興/東北の教育を諦めない!】
復興中の東北において、受験を控えた中高生の学習支援を行う団体で「勉強だけではない、思い出づくり」にもなるイベントを企画、団体運営全般を行います。
(※その他、約30程度のプロジェクト)
インターンとしてできること
最後に、久高島の事例とは全くタイプの違う取り組みで、より具体的な成果を出したインターン生の話をご紹介します。
今回は残念ながら受け入れ先に入っていませんが、以前、同様のインターンを受け入れた熊本県の「マチナカレッジ」に、一人の大学生が参加したときのこと。運営に携ってきた荒木さんに伺いました。
「マチナカレッジ」は、熊本市のメインストリートをキャンパスに見立てて、各商店を教室にさまざまな講座が行われるオープンな市民講座です。
美容院を教室にして若い女性向けのファッションをテーマにした講座が行われたり、時にはキャバクラのスペースを使って「美人トーク」講座が行われたりとユニークな企画がたくさん行われています。というのも、誰でも手を挙げた市民がキュレーターとして講座を企画し実施できるプロジェクトなんです。
このマチナカレッジのお手伝いとして、今年の8月に大学生がインターンとして来られたそうですが、受け入れてみていかがでしたか?
昨年の11月に第一回を開催したのですが、初めは知人とその知人くらいの範囲が参加しているだけで受講者も少なかったんです。まずはプロジェクトの認知を高めることが課題でした。毎回こんな講座を行いますというフリーペーパーを作るのですが、その配布が仕組化できておらず、毎回大変な作業で効率が悪かった。
それを、この夏来ていただいたインターンの方が、この冊子を置けるラックをいろんな店舗さんに置いてもらえるよう交渉して、100か所もの場所にラックを常設することができたんです。最近では徐々に受講者も増えて、述べで1000名を超えました。
つまり、インターン生は、地元の住人との間の緩和剤になることも、こんな具体的な成果を出すこともできる、大きなキャパシティを秘めているということ。
将来地元に戻りたい、もしくは地域のために何かしたいと考えている人にとってはなかなかできない実体験をすることができるプログラムです。
興味のもてる地域やプロジェクトがあれば、まずは3週間。現地に飛び込んでみていはいかがでしょう?
1.12月18日のインターン説明会に参加
(その場で希望のプロジェクトの情報収集)
↓
2.ETIC.スタッフと面談
(本人がやりたい事とプロジェクトが合致しているか等を確認)
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3.エントリー
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4.地域事務局(地域においてETIC.のような活動をしている団体。)と
面談。(地域にいる時は基本的に地域事務局が相談に乗ってくれます。)
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5.企業面接
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6.合否
(*=2005年 内閣府大臣官房広報室調べ)
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