東京ウィメンズプラザで8月27日、28日の2日間、NPO法人ビーグッドカフェ主催の“VISIONS 〜豪傑と学ぶ2日間〜”というイベントが行われました。豪傑とは「新しい仕組みで地域を豊かにしている人たち。社会貢献事業で一目おかれる成果を出した人達」のことをさします。
たくさんのレクチャーやパネルディスカッション、ワークショップが行われましたが、その中から、1日目に行われた北川フラムさんのレクチャー、「芸術で息づく地域活性化」のレポートをしていきます。
北川フラムさんはアートディレクター、株式会社アートフロントギャラリー代表取締役会長であり、多くの芸術祭のプロデュースを行われてきました。その様子がテレビなどで紹介されていたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
今回のレクチャーでは、越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭を例にお話してくださいました。
越後妻有アートトリエンナーレの際は、「人間は自然に内包されて生きていく」ということをコンセプトにしたそうです。
日本がどんどんと効率化を重視していく中で、手間がかかる農業は見捨てられてきました。越後妻有も例外ではありません。若者は都市に行ってしまう。「次、子供が帰ってくるのは自分の葬式のときだろう」と言う人もいる。そのような地域を元気にするために、北川さんはアートを使おうと考えました。
現代アートの作品を見た市議会議員たちからは反対もされたけれども、その後理解を得て協力してくれるようになったそうです。
放っておくと村にとって悪いイメージの元になってしまう空き家であっても、アートを使うことで「一石四鳥」の効果があるとのこと。
まず、1つ目は有名なアーティストの作品を見ることができる。次に、2つ目としてお年寄りの家主が管理しなくても家が保たれ、いつでも家に来られる。3つ目は、ケータリングサービスや管理により地域に少しお金が入る。最後、4つ目は地域と若い人のつながりができる。
アートによって、空き家も村を良くしていくものに変身できるのです。また、有名なアーティストと接することにより地域の人々が誇りを持つことができ、その地域で再び一生懸命生活していこう、という気持ちに繋がるそうです。
瀬戸内国際芸術祭の際には、「島が沈む」といわれたほどの大盛況だったとのこと。
テーマはアートではなく「地域の資産を明らかにする」。陸から隔離されてしまった瀬戸内の島々に、以前の活気を取り戻そうとこの芸術祭をプロデュースしたそうです。時間の関係で少ししか瀬戸内国際芸術祭の説明を聞けなかったのが残念でした。
「美術は地域のいろいろな資源をよく見つけることができる」
「アートによる地域活性化は、地元の喜びに結びつく」
アートというと、立派な美術館で鑑賞するものというイメージがありますが、地域に密着した現代アートは、その地域の自然や環境を含めて「作品」ができます。
地域の人々、アーティスト、そして作品を見る人。それぞれにとってプラスになるアートによる地域活性化の大きな可能性を感じました。
プロジェクトライター:矢吹奏子
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