日本は世界中のあらゆる美味しいものが食べられる“食の宝庫”と言われる一方で、食糧の7割を海外から輸入し、廃棄率は世界一、自給率は50%を切るという食の空洞化を生じています。最近ではそんな現状に疑問を抱き、より「農的な暮らし」に関心をもつ人が増えました。世田谷ものづくり学校の「スクーリングパッド農業ビジネスデザイン学部」もそんな人たちが集まり、新しい取組みやビジネスを模索する場。今年もいよいよ開講です!
「食べること」を見つめ直すことから
世田谷ものづくり学校(IID)の「スクーリングパッド」がいわゆる一般のビジネススクールと違うのは、ワークショップ風の授業が行われることで受講生同士のつながりが生まれやすく、いい企画があればすぐにもプロジェクト化しやすい環境が整っていること。自己実現の場として、副業として、個人の社会貢献活動として、多くの方がさまざまなプロジェクトと関わっています。
なかでも「農業ビジネスデザイン学部」は、その名の通り農や食にまつわるビジネスをデザイン(創造)するための学部。新しいプロジェクトやビジネスの可能性を考え、企画する場を提供しています。ゲストスピーカーも第一線で活躍される魅力的な方ばかり。今年も7月20日(水)より開講することが決まりました。
このクラスを校長として引っ張るのは、俳優の永島敏行さん。ご自身も産直の品々を販売する青空市場を開催したり、千葉県芝山町で体験農園を運営するなど、農業や地域との関係が深い方です。このクラスのビジョンを、永島さんはこう語ります。
今まで当たり前だった「食べること」への価値観が、今大きく変化しています。自然の恵みに加えて、食物を育てる人、漁をする人がいることで、私達は初めて食べ物を得ることができる。さらに考えると、運ぶ人、売る人、料理する人、伝える人…など、さまざまな形で「食」に関わる存在が見えてきます。未曾有の災害があった今、より「食べること」にきちんと向き合い、考えて行動し、新しい仕事を生み出すことが必要な時だと思うんです。
思えば数年前の農業ブームの背景には、地球温暖化の問題や資源の枯渇、世界中で相次ぐ災害など、環境への不安が少なからずありました。それに加えて、食料自給率の低下や、農業就業者の高齢化など農業にまつわる課題は山積み・・。
けれどこのスクールでは、そんな状況でも果敢に新しいビジネスにチャレンジする方々をゲストスピーカーとして招き、参加者は話を聞きながら自分自身には一体どんな関わり方ができるのか?を絶えず考えていくことになります。そして、いつも豪華なゲスト陣。今期は、生産者連合デコポンの井尻弘さん、マイファームの西辻一真さん、江戸川大学の鈴木輝隆さん、トビムシの竹本吉輝さん、ライターであり民俗学者の結城登美雄さんと多種多様なアプローチを学ぶことが可能です。
そんな私もこのクラスに参加させていただいたことがあります。ゲストの方の信念のこもったお話には心を打たれ、この時の言葉は確実に今の自分の一部となっていることを感じます。
また、クラスの期間中に2回発表の場があり、みんながアイディアを出し合って各自の思いを実現するため企画をブラッシュアップしていくのも大切なポイント。課外授業として、永島さんの農園へ皆で農作業をしに行く楽しい機会も!
つながる場、実践の場
もう1つこのスクールの魅力は、同じような興味関心をもつメンバーとの強いつながりができること。やりたいことが近い人とは、チームを組んで卒業後に実際ビジネスにしていくことも夢ではありません。
これまでにも、卒業後さまざまなジャンルで活躍する人たちが大勢います。メディアでも注目されつつある「倅(セガレ)」は、この場で出会ったメンバーが始めたプロジェクト。「農家の息子(セガレ)や娘(セガール)が東京でできること」をテーマに、さまざまな活動を行っています。
本業を活かした活動としてユニークなのは「ごえんカンパニー」。受講生の中でも金融関係のメンバーが設立した、地域/金融コンサルティング・生産者支援を行う会社です。震災後は、講師でもあった江戸川大学の鈴木輝隆さんと連携し、被災地の持続的な経済支援・雇用促進を目的とした「はがき商品券」の運営事務局として活動しています。
また、この学部には、もともと農業に関わる仕事や、食に関連したビジネスを行っている方々も沢山集まります。佐野元彦さんはデザイン会社を経営するデザイナーですが、自ら「農業デザイン研究所」を開設した時期にこのスクールに参加しました。農業にデザインの視点を取り入れ、農産物の効果的なPRを支援しています。卒業後は本業でも「農」と関わりのある仕事が増え、今では千葉県のアグリトップランナー育成事業デザインアドバイザーに就任しました。
この他にも、ガーデニング会社の女性経営者や、このスクールを経て地元に戻り地域活性の仕事に携わるようになる方など、卒業後に強力なコネクションが自然と広がっていくのが魅力のひとつです。
永島さんの言葉にもあったように、社会的、経済的に厳しい今の世の中だからこそ、「食べること」「つながること」の大切さが問い直される時なのかもしれません。
一口に「農業」と言っても、いわゆる産業としての農業だけではなく、「農的な暮らし方・働き方」に注目が集まる昨今。食の大切さに向き合った新しい取り組みに、あなたも挑戦してみませんか?少しでもピンと来た方はより詳しく話を聞くことができる説明会が開かれているので早速申し込んでみましょう!
・6月22日(水) 19:30~
・6月26日(日) 11:00~
・6月29日(水) 19:30~
・7月6日(水) 19:30~
・7月9日(日) 16:30~(説明会終了後、卒業生との交流会を予定)
※上記の日程以外にも、臨時開催する可能性があります。コチラよりご確認ください。
■ 開催場所
〒154-0001 東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校 207
アクセス→http://www.schooling-pad.jp/access.shtml
■ お申込み
・[HPより] http://www.schooling-pad.jp/setsumei.shtml
・[メール] agri★schooling-pad.jp ※★を@に変えて下さい
※俳優の永島敏行学部長より直接、第5期カリキュラム(内容/ゲスト紹介など)説明もあるとか!
「農業ビジネスデザイン学部」のことをもっと知りたい!
最新情報はTwitter、Facebookからチェックしよう!