「苔グラフィティ」や「ゲリラガーデニング」など、街の中で緑を使ってメッセージを発するアートやプロジェクトは、これまでもgreenzで紹介してきました。今回は、さらにダイレクトにメッセージを投げかける、苔を使ったタイポグラフィです。

イギリス人アーティストAnna Garforth によるこの作品、「苔＝moss」と「メッセージ＝message」を掛け合わせた「mossenger（モッセンジャー）」という感じです。これまで紹介してきた作品やプロジェクトと同様、メッセージの発信手段として植物を使うことで、伝えたいことの内容をより際立たせる狙いがあります。自然と人間の共生に関してこれまで見過ごされがちだった点にも、人々の意識をもっと向けてもらうために、植物の中でもあえて「苔」を使っているようです。

苔というのは、土がなくても簡単に育てられ、長い時間を掛けて少しずつ生育するものですが、一度踏まれてしまった苔の足跡は何年も消えないとも言われています。成長する時間の長さや永続性の一方で、一瞬で破壊されると取り返しがつかないという脆さや儚さ、そんな自然の本質を「苔」という植物が象徴しているのでしょう。苔が使われた理由を知って改めてこの作品を見ると、メッセージの内容がより強く喚起されるのではないでしょうか。

（via inhabitat）