レンタルサーバーを選ぶとき、その消費電力と使われるエネルギーを意識したことはありますか?
この3月から、「風力と想いでうごくレンタルサーバー」を合言葉に、北海道のgreenwebs.netが、グリーン電力で動くレンタルサーバーサービスを、本格的に展開しています。非営利向けに0円で利用できるプランも用意されている、greenwebsのサービスと、サーバを「風力で動かす」仕組みをご紹介します。
グリーン電力証書(REC)を使ったグリーンホスティング
グリーンホスティング(green hosting) とは、サーバーを動かすために必要となる膨大な電力を、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで賄うしくみです。グリーン電力証書(米国ではREC = Renewable Energy Cetrificationという名称)を利用する方法では、データセンターの消費電力に相当する量(1000kWh単位)のグリーン電力証書を購入し、その購入代金は再生可能エネルギーの発電事業者に支払われます。
greenwebsも利用している米国のサーバー会社”Hostgator“では、認証機関である3Degrees社を通じ、米国テキサス州の風力発電会社に投資される証書を購入することで、「風力発電で動くウェブサーバ」を実現しています。
Hostgator社は2008年8月からグリーンホスティングに取り組んでおり、サーバの稼働電力だけでなく、サーバを冷やすために必要な電力も含めて、実際の使用電力量の130%をカバーするグリーン電力証書(REC)を購入しているといいます。2010年の購入量は、5,004 MWh分です。福島第一原発の総出力が 4,690 MW (6基計)ですから、その1時間の発電量を超える大容量ということになりますね。
greenwebsの取り組み
こうしたグリーンホスティングのサービスを日本国内で展開するひとりが、北海道岩見沢市の中村直弘さん(@greenwebs)です。中村さんは、国内でグリーン電力を利用したレンタルサーバーの選択肢が少ないことから、当初は自宅サーバーを立ち上げ、電力量を計測して、自らグリーン電力証書を購入していました。しかし、停電などのリスクに対する安定性を考慮して、2011年3月22日に、Hostgator社のサーバーにデータを移管し、サービスを継続しています。
greenwebsは、「Alternative Tree」という運営ポリシーのもと、月額980円のパートナープランと、非営利向けに0円で利用できるメンバープランを用意。メンバープランは、NPO団体でなくても、非営利用途であれば利用が可能とのことで、既に10件以上の非営利プロジェクトがサービスを利用しています。
高機能で使いやすいサービス
筆者も早速パートナープランを契約してみました。短時間でアカウントが発行され、「お名前.com」で取得した独自ドメインもすぐに反映されました(場合によっては時間がかかることがあると思います)。
サーバーの管理画面は、日本語表記もあってわかりやすく、非常に多機能です。WordPressやMovable Typeも問題なく利用できて、短時間でウェブサイトの立ち上げや引越しが可能。MySQLデータベースは5つまで、サブドメインは無制限に利用できます(独自ドメインは1契約あたり1つまで)。
greenwebsの基本プランには、「500MB」という容量制限があります。しかし、記事が100本ほどある筆者のブログの容量は約55MB程度でしたから、動画や大量の写真を置いたりしない限り、中小規模のプロジェクトや団体のサイトであれば、心配は不要ではないでしょうか。
中村さんはウェブ制作も手がけられており、サービスの運営基盤は今のところ安定しているとのこと。非営利プロジェクトでサーバを選ぶ際は、強力な選択肢になりそうです。また、このプロジェクトに共感する人は、有償プランを契約することで、サービスを支えることにつながります。
自然エネルギーでうごいている。
非営利の人が自由に情報発信ができる。
その仕組みをみなさんとともに支えていきたい。
月々数百円の積み重ねで、グリーン電力の普及とNPOの情報発信を後押しする動きが広がっていくことを期待しています!