greenz.jpが毎月第二木曜日に開催しているグリーンなキーパーソンが集まるネットワーキングパーティー「green drinks Tokyo」、7月8日(木)のテーマは【公共空間で遊ぼう!】。公共空間を利用したプロジェクトを手がける3組のゲストを迎え、お話を聞きました。
green drinksでしかあり得ないかもしれない(?)個性豊かなゲスト陣のトークに、満員御礼の会場は釘付けに!また、来場者から新たなプロジェクトが始まる予感も……。
当日の様子をレポートでお楽しみください!
プレゼンテーション
まずは、ゲストの方からのプレゼンテーションタイム。みなさんが手がけた面白すぎるプロジェクトの数々をご紹介いただきました。
ミリメーター:笠置秀紀さん、宮口明子さん
公共空間をハックするプロジェクトを仕掛けるmi-ri meter/ミリメーターのおふたりによるプレゼンテーション。ふたりとも建築とバックグラウンドを持ちながら、“新しいものを作らなくても、あるものを組み合わせてやったら、面白いことができるのではないか”というコンセプトで、次々と秀逸なプロジェクトを生み出しています。
テープで区切るだけで空間を作る「room it」、レジャーシートに間取りを書いた「MADRIX」、コインパーキングとキャンプ場を融合させた「コインキャンピング」、使ったら違法かも(?)という過激な便利地図「屋外電源コンセントマップ」などなど、お見事なハッキング術を披露していただきました。
どうやってやったの?どこまでできるの?などなど、質問タイムはのちほど!
まちづクリエイティブ/NPO法人 KOMPOSITION:寺井元一さん
8年前ほどから、NPO法人 KOMPOSITIONとして公園など公共空間を舞台にしたスポーツ、アートイベントを企画してきた寺井さん。最近では松戸を舞台にした街づくりも行う彼が手がけるプロジェクトも、非常にユニークです。
あらゆる人に表現の場を提供することをコンセプトに、ビルオーナーから提供してもらった壁に画を描く「リーガルウォール」、国籍、年齢、性別問わず参加できるバスケットボール大会「ALLDAY」などイベント企画を次々に企画。最近では、寺井さん曰く“ちょうどいい街”である千葉県松戸市を舞台に、「まちづクリエイティブ」としてアートやイベントによる街づくりを行っています。
活動を通した様々な面白エピソードを持つ寺井さんのトークも、後ほどじっくりとご堪能ください!
Happy Outdoor Wedding:小堀聡子さん、柿原優紀さん
最後は、アウトドアを舞台にしたウェディングを紹介するサイト「Happy Outdoor Wedding」(以下、H.O.W)を企画・運営しているおふたりからの事例紹介。結婚式場から選ぶだけでなく、場所そのものからもっと自由にウェディング会場を探すことを提案している、とってもステキなサイトです。
公園を舞台にしたアウトドアウェディングの3つの事例は、それぞれとってもオリジナリティあふれるもの。公園にレッドカーペットを敷いてしまったり、事前に参加者にウェディングキットを配ったり、持ち寄りのピクニックパーティ形式だったり、それぞれのコンセプトや参加者にあった企画を楽しんでいる様子が紹介されました。
やってよいのか悪いのか、“グレーゾーン”な公園ウェディング。そんな疑問、質問ものちほど、トークの中で登場します。
トークタイム
そんな3組のゲストのみなさんによるトークは驚きと笑い、発見の連続!まずはそれぞれの体験を通した、様々なエピソードを披露いただきました。
とにかく楽しい!アウトドアウェディングをみんなのものに
最後のプレゼンター、H.O.Wのおふたりが紹介してくれたアウトドアウェディングに、会場は興味津々と言った様子。トークはまず、この話題からスタートしました。
プレゼンで紹介されたどのカップルも、自分らしいウェディングスタイルを楽しんでいるのが印象的でしたが、その利点は、はやり自由度の高さでしょう。きちんとした挙式ウェディングとは違い、子どもも、もちろんペットだって気兼ねなく連れてくることができるし、当日の欠席や人数変更にも柔軟に対応できます。好きな時間に来て、帰ってもOK。ちょっとだけ顔を出すということだってできてしまうので、忙しいゲストにはうれしいシステムですよね。
また、アウトドアウェディングの大きな魅力のひとつは、低予算で済むこと。H.O.Wの柿原さんによると、日本で結婚式にかかる費用(旅行などは除いた額)の平均は337万円。お金がかかることが障壁になって式が挙げられない人もいる現状の中、H.O.Wが紹介しているような実例集は、「挙式をする」という決断のハードルを下げる役割を果たしてくれるのかもしれません。
H.O.Wの小堀さんは、「今はまだクリエイターの方々しかやっていないアウトドアウェディングを、もっともっと一般の方々が選択肢のひとつとして考えられるように情報を伝えていきたい」という想いを話してくれました。
予期せぬ出会いとつながる楽しさ
でも、とってもプライベートな結婚式というイベントを、パブリックな場所でやるのはちょっと抵抗があるかもしれません。そんな方には、ミリメーターのおふたりが聞かせてくれた公共空間ならではの楽しいエピソードをぜひ参考に。
実はHappy Outdoor Weddingのサイトに紹介されているカップルのうち1組は、ミリメーターのおふたり。実際にやった感想としては、「最初は邪魔されることしか考えていなかったのに、全く知らない人が一緒に応援してくれて、一気に吹き飛びました。本当に楽しかった!」とのこと。そう、偶然公園に来ていた知らない人々も飛び込みで参加してきてくれたそうです。お祝いに知り合いも知らない人もないですよね。こんなハッピーなハプニングも、公共空間の持つ楽しさなのです。
また、寺井さんが松戸で壁画を描くプロジェクトを始めた際、面白いことが起こったそうです。それは、地元の方とのコミュニケーション。珍しい壁画を見て、食べ物や飲み物の差し入れをもらったり、話すうちにお茶を一緒に飲む仲になってしまったり、中には「仲間になりたい」と、毎日コーヒーを持ってきてくれるおじいさんもいたとのこと。松戸という土地柄も手伝ってのエピソードかもしれませんが、プライベート空間と違い、様々な出会いがあり、つながりができていくという公共空間ならではのエピソードと言えるでしょう。
どこまでやっていいの?公共空間は誰のもの?
そしてトークは、みんなが気になっている、公共空間を利用する際の規則についての話題に。公共空間は誰のものかと言われれば、国立公園ならば国のもので、代々木公園のように都立ならば当然、東京都のもの。でも、一方で“みんなのもの”という考え方もできるわけです。
ミリメーターの宮口さんは、ご自身の公園ウェディングについて、調べても「これなら大丈夫」という情報は見当たらず、勝手な解釈で迷惑にならないラインを選んでやった、とのこと。H.O.Wの柿原さんは、公園側の迷惑を考える事も大事だが、「みんなのもの」という大前提があるなら、ウェディングがよい思い出になって、またみんなが戻ってきて、公園が活性化すればどちらにとってもハッピーなのでは、という考え方も聞かせてくれました。
一方でミリメーターの笠置さんによると、世の中の流れや人々の志向はオープンな方向に向かいつつあるにもかかわらず、実際に自由に使える場所はなくなってきているとのこと。笠置さんは、規則そのものよりも、自分でその場所をどう読みかえていくか、ということが大事なのではないか、と言います。結婚式では、どんな場所でも式場に変えてしまう“結婚式キット”を配るなど、モノが空間を変える実体験を積み重ねているミリメーターのおふたりの考え方には、社会を変えていくヒントが詰まっていそうですね。
現状、公園ウェディングを禁止するような法律はなく、お役所側も「ダメ」と言うことはできないそうです。一定のルールを守り、「使わせてもらっている」ということを忘れずに公共空間を使っていけば、そこから自然にルールが生まれ、お役所ともハッピーな関係を築いて行けるのかもしれません。
もちろん、ゴミを残すなどは厳禁。お花見などと一緒で、マナーを守り、自己責任で片付けまで全てやり遂げることができれば、公園ウェディングだって一般化する日が来るかもしれませんね!
Q&Aタイム
みんなの好奇心がかき立てられ、質問がたくさん寄せられたQ&Aタイム。中でもこの質問はみんなが聞きたかったこと!
Q:楽しそうな公園ウェディング、雨だったらどうするの?
「祈ること」です!実際やる方はみんな何にも心配していません。念のためテントなどの準備もしていますが、それも楽しめることを前提にしてやっていらっしゃいます。(H.O.W:小堀さん)
雨は降らないと思い込んでいました。周りからは心配されたけど、雨も利用して、演出としてやっていく気持ちがあれば大丈夫。最終的には雨なら山手線でやろうなんて話してました(笑)。(ミリメーターのおふたり)
この2つの回答に、公共空間を楽しむヒントがたくさん詰まっているように思いました。ダメかも、と思って諦めるのではなく、積極的に利用して、“グレー”のままにしておかない私たちの行動が、社会を変える力になっていくのでしょう。
Twitterから新たなプロジェクトが!? 【#gdTokyo】
green drinks Tokyoは、毎回Ustream配信もしています。そのため、Twitterでは中継を見た方からも続々と意見や感想が集まってくるのですが、今回もハッシュタグ #gdTokyo に多くのコメントが寄せられました。中でも参加者のおひとり、@haruka531さんのこのツイートには“おもしろい!”というたくさんの反響が!
私が、もしあったら面白そう♪と思う企画は「電車内で誰でも会話自由車両」を作る。例えば、テーマを1週間ごとに変えて、その車両に乗ったら、その場でそれぞれの想いを話し合う。ワールドカフェみたいに対話しながら、例えば壁に想いを書き込めるようにしたり♪ どうかな〜? #gdtokyo
そして、
ひゃ〜立て続けに反響が☆ありがとうございます♪実現に向けて動き出しますよ〜!ぜひご協力を!RT @Metabouz 面白い企画ですね!英語Only車両とかあったら年間パスポート買っちゃいます。RT @haruka531: 「電車内で誰でも会話自由車両」を作る。 #gdtokyo
とのことです!
電車の中も、多くの場合公共空間と定義されるようです。見知らぬ人同士が同じ空間で過ごす時間を有意義でアクティブに変えるアイデアとして、とっても面白いと思いませんか?賛同する方、一緒にプロジェクト化したい方は@haruka531さんにメッセージを送ってみてはいかがでしょう。こういったアイデアが生まれ、育っていくのも、オープンなプラットフォームであるgreen drinksの大きな意義のひとつなのです。
今回も多くの出会いと発見を生んだgreen drinks Tokyo、次回は8月5日(木)に開催します。テーマは近日中に発表予定です。お楽しみに!
Ustream映像【前半:トーク〜オープンマイク】
Ustream映像【後半:オープンマイク〜ネットワーキングタイム】
※サプライズ企画あり!
flickrスライドショー
green drinks Tokyo、次回開催は8月5日(木)!
green drinks Japan、全国で続々開催中!