以前greenzでご紹介し多くの反響を呼んだ、若者のグッドアクションを応援する「E-ideaコンペティション」(主催:ブリティッシュ・カウンシル、協力:LRQA(ロイド レジスター クオリティ アシュアランス)ジャパン)。先日、ついにその受賞プロジェクトが発表され、代表者への助成金贈呈式が行われました。
いったいどんな“E-idea”がその栄冠を手にしたのでしょうか。greenzでは、合計9組の受賞プロジェクトの代表者に突撃取材を決行。プロジェクトにかける意気込みを聞いてきました。
今回はまず第1回目として、3等(賞金40万円)が贈られた4つのプロジェクトの概要と代表者の方の声をご紹介します!
「ロングサイクルプロジェクト」矢原有理さん
自転車にのりづらい街である東京を、サイクリストにやさしい街へ。このプロジェクトがその一助になればうれしいです。
グリーンで身近な交通手段である自転車のライフサイクルを伸ばすことを目指す「ロングサイクルプロジェクト」。既存駐輪場マップの整備や、自転車を下取りできる仕組みづくりを行うことにより、放置自転車問題を解決し、サイクリストにやさしい街づくりを目指します。
代表の矢原さんは札幌出身。東京は駐輪場が少なく、位置もわかりにくいなど、自転車に乗り辛い環境にあると常々感じていたそうです。さらに、安価な販売価格に比べ廃棄コストの高い自転車が乗り捨てられやすいことにも着目。これらの環境が放置自転車を増大させており、さらには自転車のライフサイクルを短くしている一因であると気づき、プロジェクトを立ち上げるに至りました。
放置自転車を減らすため、まずは大塚駅、池袋駅など放置自転車の数が多い拠点を持つ豊島区をターゲットに、駐輪場マップ、ポスターの制作や、自転車の下取り時に高品質な自転車への買い替えを促す「下取りキャンペーン」を展開していく予定。今後、同じ仕組みを他の自治体にも広げていきたいとのことです。
矢原さんによると、現在都内自治体が放置自転車対策にかけているお金は年間約150億円にも及びます。「ロングサイクルプロジェクト」で放置自転車が減り、このお金を駐輪場の設置などの環境整備に回すことができれば、東京も、サイクリストにやさしい街に変わっていくことでしょう。
落ち着いた優しい笑顔が印象的な矢原さんですが、しっかりとした口調でプロジェクトにかける意気込みを話してくれました。その目には故郷・札幌のように安心して自転車に乗れる、未来の東京の姿が見えているのかもしれません。人にも環境にもやさしい街づくり、応援したいですね。
「廃タイヤのリメイク・サンダルによるエコビジネス」川瀬暁子さん
作りたいと思う生産者が自信を持ち、日本人の意識も変えるような、本当にいい商品を届けていきたい。
ケニアで廃タイヤのリメイクサンダルを作り、日本で販売するというグローバルビジネス立ち上げのプロジェクト。持続可能な地域活性と、日本人へリユースの心を伝えることを目指しています。
このプロジェクトを提案した川瀬さんは、国際協力のボランティアスタッフとしてケニアに滞在していた経験の持ち主。いいものを作っているのに自信がなく、ビジネスに対する意識や継続性もないケニアの人々に問題意識を持ち始めた頃、廃タイヤと古着やバッグの皮でサンダルを作っている青年との出会い、このプロジェクトを立ち上げました。現在は、サンダルの販売を、一時の流行では終わらない持続可能なビジネスとしていくために、現地と連絡を取りながら慎重に準備を進めているそうです。
このビジネスを通し、既にあるものを大切にしながらものづくりを行う現地の方々の感覚を、日本人に伝えたいと言う川瀬さん。きりりとした表情が印象的な彼女からは、強い意志と長年のケニア滞在経験から来る自信が感じられました。
そして川瀬さんにとってこの受賞は大きな転機となりそうです。獲得した賞金を資金としてケニアで職人を雇い、生産の体制を整えていくと言うのです。E-ideaコンペティションがきっかけで一気にプロジェクトが現実のものとなっていきそうな予感。今後の展開に注目です。
「Resources & 3R Revolution」石井友章さん
学生主導のリサイクルシステムを、世界中の資源を循環させていくモデルケースにしていきたい。
「Resources & 3R Revolution」は、携帯電話の回収による資源の循環を学生主導で進めていくプロジェクト。デジタル機器を頻繁に買い替える学生の意識を変えることから、新しい3Rの概念とシステムを世界中に広げていくことを目指しています。
プロジェクトリーダーの石井さんは、早稲田大学で物理学を専攻している現役大学院生。地球の反対側で、携帯電話の部品となるレアメタル採掘の際に動物が殺されているという現状を友人から聞いたことがきっかけとなり、身近なことから始めてみようと、プロジェクト化を思い立ったと言います。
大学での携帯電話回収は昨年から計画していたそうですが、個人情報保護や回収ボックスにかかる高額の費用が障壁となり、なかなか実現しなかったとのこと。しかし今年、回収においてA SEED JAPANとの提携を進め、いよいよ7月より大学生協にてボックス設置、回収がスタートすることになりました。
今後は、学生に向けたキャンペーンを行うなど、認知を広めるためのPR活動に注力していく予定。しっかりとした口調で想いを語りながらも、飲み会明けで声があまり出ないという学生らしい一面も見せてくれた石井さん。学生主導で始まるリサイクルシステムが、社会の意識をどのように変化させていくのか、今後が楽しみなプロジェクトです。
「農と言える日本」松井明洋さん
自社のリソースを活かし、できる範囲のことからエコビジネスを実現していきたい。まずは軽トラを買うことから始めます。(笑)
レストランから生ゴミを回収し、堆肥として都会の農地に供給、その野菜を再度レストランで使うという方法により、生ゴミを都市で循環させるシステムを構築するプロジェクト「農と言える日本」。
提案した松井さんは、ファーマーズマーケットなどを手がけるメディアサーフコミュニケーションズ株式会社の所属。レストラン運営や企業プロモーションをビジネスとし、農地も所有している自社のリソースを活かしたエコプロジェクトとして、この企画を友人のBradley Hallさんと一緒に提案したと言います。現在はビジネス化の準備を進めており、この夏より実験的に運営を開始する予定。まずはできる範囲から開始し、トライ&エラーを繰り返し徐々にその質を高めていきたいとのことです。
明るく冗談を交えながら話す松井さん。その口調からもこのビジネスの立ち上げを自ら楽しんでいる様子が伝わってきました。準備段階にあるこのプロジェクトが今後どのようにビジネス化していくか、長く見守っていきたいですね。
以上3等受賞者4名の声、いかがでしたか?
受賞者のポジティブかつエネルギッシュなコメントを聞き、「自分もプロジェクトを立ち上げたい!」「一緒に参加したい!」なんて気持ちになった人もいるのではないでしょうか。
次回は2等に輝いた3つのプロジェクトをご紹介します。キラリと光るアイデアから頭脳派まで、バラエティ豊かなプロジェクトの数々が登場予定。どうぞお楽しみに!
「E-ideaコンペティション」は、LRQA(ロイド レジスター クオリティアシュアランス )ジャパンがサポートしています。
LRQA [ http://www.lrqa.or.jp/ ]
授賞式当日の様子と受賞プロジェクト紹介映像
「E-ideaコンペティション」って?前回の紹介記事をおさらい!