コペルニクス的発明か?荒唐無稽なアイデアか?
空に自転車道路を作ってしまおうという斬新なコンセプトが話題になっている。ブルガリア語のKolelo(自転車)+Linia(レーン)=「Kolelinia」と名づけられたこのコンセプトは、ブルガリア人のデザイナーMartin Angelovが発案したもので、2009年の国際都市デザインコンテスト 「Line of Site」では優秀賞に輝いた作品だ。
スキーのリフトからヒントを得て設計された「Kolelinia」は、2本ワイヤーで支えられている点が特徴だ。以下の画像のとおり、1本は自転車の車輪が走る部分に、もう1本はハンドルに装着され、これにより、自転車のバランスがうまく保て、安定して走行できる仕組みになっている。
正面からのイメージ図は以下のとおり。サーカス団もビックリの綱渡りのような自転車道路だが、このコンセプトの大きな利点は、設置に必要なスペースは支柱のみでOKという点だろう。また、上空に空間さえあれば、既存の道路に拘束されず自由にルートを作ることができ、自動車や歩行者と自転車の往来とは完全に分けられているので、これらと接触する危険がなくなるというメリットもある。
以下の画像は、「Kolelinia」の自転車道路を走る自転車からの景色イメージ。高所恐怖症でなくとも、足の裏がムズムズっとしてきそうな感覚に襲われそうだ。実際、このコンセプトを実装する上では、本当に利用者の落下の危険性はないか?追い越しができないため、渋滞してしまうのではないか?ハンドルも車輪も様々な大きさや形状になっているすべての自転車にうまく適合できるのか?など、クリアすべき課題もたくさんある。
とはいえ、このコンセプトをうまく活用する方法はないだろうか?
日本では、近年、自転車を利用する人が増えてきた一方で、自動車専用道路の整備は遅れ、自動車や歩行者との接触事故が後を絶たない。土地が狭く、自転車道路を新設するスペースがなかなかないという日本の実情をかんがみると、小さなスペースで自動車道路が設置できる「Kolelinia」は検討に値するだろう。自動車道路と併設される従来型の自転車道路を基本としながら、手狭なエリアのみこの方式を導入するというアイデアもありうるかもしれない。
近い将来、自転車で空を”飛べる”日が来るかも!?
未来の交通網を考える国際デザインコンペ「Line of Site」の2009年受賞作品をチェックしよう。
モノレールみたいな変り種自転車「Shweeb」について調べてみよう。