来月コペンハーゲンで開催される気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)を持続可能な未来への一歩につなげようと、greenz記事「コペンハーゲン会議から希望ある未来へ!Hopehagenに参加しよう」で紹介した「Hopenhagen」をはじめ、数々の草の根ムーブメントが起きている。こちらでは、そのひとつ、”350”というナゾの暗号を合言葉に気候変動防止を世界に訴える「350.org」についてご紹介しよう。
この”350”とは、地球が従来の環境を維持するうえで上限となる大気中の二酸化炭素濃度を指している。200年前、275ppm程度だったこの数値は、産業化によって急速に伸び、2008年には385ppmまで上昇。この現状に対して、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究員James Hansen博士など多くの科学者は、地球環境を維持するためには最悪でも350ppmまで二酸化炭素濃度を下げる必要だと指摘している。
そこで、「Deep Economy(邦題・ディープエコノミー 生命を育む経済へ)」の著者Bill McKibbenを中心とするグループが、”350”という具体的な数値を掲げ、気候変動防止へのアクションを訴える地球規模のキャンペーン「350.org」を立ち上げた。この活動の第一弾として、2009年10月24日には「350」をアピールするイベントが世界181カ国5200ヶ所で一斉に開催されている。
たとえば、豪シドニーのクロヴリー・ビーチでは、ランタンで「350」を海岸に描き、
350 in Sydney: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by 350.org
戦火が続くアフガニスタンのコナ地区では、駐留米兵が砂袋で350を形取った。
350 in Afghanistan: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by 350.org
陸地からだけでなく、海からも気候変動防止へのメッセージが届いている。世界最大のサンゴ礁で知られる豪グレートバリアリーフでは、シュノーケリングをしながら「350」を訴えた。
350 at the Great Barrier Reef: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by 350.org
このイベントを通じて、地球を守るために不可欠な二酸化炭素濃度「350」を世の中に広められたのみならず、気候変動へのアクションという目的で地域レベルでの新たなつながりが生まれた。また、この日のイベントに参加したひとりひとりの声が国際政治の場にも活かされ、COP15に参加するリーダーに堅実で積極的な決断を促そうと、各地のイベントの様子を撮影した画像は、「350.org」のニューヨーク支部から国際連合に手渡されている。
COP15に備えた最後の温暖化対策作業部会も進展なく閉幕し、COP15での新たな枠組み合意は困難との悲観的な見方もあるようだが、そうであればこそ、私たちひとりひとりが声を上げ、世界のリーダーたちに英断を促すことが不可欠だろう。地球を守ろうという意思を具体的なアクションで表す手段として、あなたも今後の「350.org」の活動にジョインしてみてはいかが?
世界各地の「350.org」イベントの様子を画像でみてみよう
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