ShoreBank Pacific:http://www.eco-bank.com URLがまさにエコバンク(eco-bank)になってる!
アメリカ・シアトルにて行われた、米国NPO法人iLEAPソーシャルイノベーションのトレーニングの現場から、シアトルのサステイナブル・ムーブメントの一コマをお伝えしている【シアトル通信】。今回は、プログラム参加者がインターンシップを行った、お金をグリーンに変えてしまうエコバンクを紹介したい。
Let’s change the world 世界を変えよう!
と聞いたら何を思い出すだろう。環境運動家や人権活動家の言葉?または政治家の演説?それとも国際開発NPOの理念だろうか?実はこれはアメリカで環境問題を意識する人や市民団体・会社の中で広まっている銀行ShoreBankの標語である。
Shorebank(シカゴ本部)は1973年の設立以来、コミュニティーを意識した小さなビジネスや環境団体への融資を積極的に行っている銀行だ。ここでは、トリプルボトムラインを運営理念に置き、融資するお金の動きを通して、その地のコミュニティーのサステイナビリティーに貢献することをミッションにしている。つまり、お金を融資する際の大きな基準として、経済的なインパクトはもとより、それにより成し遂げられる地域サステイナビリティーへの貢献が重視されるのだ。
さらに、サステイナビリティーに特化したコンサルタントが、その資金の活用方法をアドバイスしてくれので、融資を受ける者は、グリーンで有効なお金の使い方を知る事ができる。
シアトルダウンダウンのオフィス
ちなみに、開設可能な口座は
Business Banking:ビジネス
Non-Profit Organizations:非営利団体
Personal Banking:個人向け
に分かれ、それぞれのニーズに則したサービスを提供している。その上、融資先に対しては独自のサステイナビリティー評価基準を設け、サステイナビリティー・レポート制作にも取り組む。その基準は以下のとおり。
Conservation :環境保護の達成度
Community :コミュニティーへの貢献度
Economy:経済的インパクト
スッキリとしたモダンなオフィスにはLED照明が使用されている
このシアトル通信で過去に紹介したソーシャルイノベーションのトレーニングでは、4週間のインターンシップを行うプログラムがあるのだが、このShorebankブランドのアメリカ北西部を統括するShoreBank Pacificでも4名が参加。そこでは、副支店長のフランシス・ジェーン氏と共に、社会問題に関わる16ものさまざまな団体を訪ね、環境問題に対する具体的なアクションから環境理念、さらに労働環境やスタッフのモチベーションまで様々な角度から見たサステイナビリティー意識に対するインタビューが行われた。
インタビューした16団体の一部がこちら
■ KCTS9(コミュニティーメディア)
■ Paladino&Company(グリーンビルディング)
■ Web Collective(Webデザイン)
■ PCC Natural Markets(生活共同組合)
■ Belt Collins(環境地域開発)
■ Plymouth Housing Group(低所得者向け住宅サービス) など。
シアトルに点在するアクティブな団体とムーブメント。これらの運動の中心に銀行があるのだ。地域貢献を運営理念に置くこの銀行が果たしている、シアトルコミュニティーへの貢献は計り知れない。
ここで、プログラム参加者・鈴木英雄さんの感想を聞いてみよう。
トリプル・ボトムラインなど、新しい言葉やコンセプトを学びましたが、7th Generationという言葉が、一番心に響き残っています。この言葉は、『7世代先の子孫への影響を考えて物事を判断する』という、アメリカインディアンの教えであります。Sustainableな社会を実現するには、目先の技術的な改善ではなく、本来人間があるべき姿を考える事がすべての始まりだと感じており、この価値観はこれからの自分の行動の判断基準になるであろうと感じています。
現代社会を生き抜く上でお金と関わらず生活する事はもはや不可能。しかし、お金の持つ本質を学び、正しい使い方をすれば世界をよりよく変える事が出来るはず。日本でも国際環境NGO・A SEED JAPANが、銀行の資金運用や融資先に着目したエコ貯金の活動に取り組んでいる。身近にあるお金だからこそ、もう一度考えてみても良いはず。
副支店長のフランシス氏よりサステイナブルエコノミーのレクチャー。同氏はiLEAPの理事でもあり、元ベーガンレストランのトップシェフという異色の経歴を持つ。
次回の『シアトル通信』では、グリーンな仲間が集うシアトル版 Green Drinksを紹介する予定。どうぞお楽しみに!