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【シアトル通信No.1】ソーシャルイノベーション in シアトル密着レポート!

シアトルの有名スポット、パイク・プレース・マーケット

シアトルの有名スポット、パイク・プレース・マーケット

今回から始まる『シアトル通信』。ここでは、本拠地をシアトルに構える人材育成NPO「iLEAP(アイリープ)」のプログラムコーディーネーターとして参加する筆者が、全米有数のサステイナブル都市と呼ばれるシアトルの様々なムーブメントを数回に分けて紹介していこうと思う。

米国NPO法人iLEAP(アイリープ)は、ポジティブな社会変革の為に努める新世代の国際市民を育てるトレーニングプログラムを主催するワシントン州政府と米国連邦政府に認可された非営利団体(501c3)だ。

筆者が携わっているのは、社会起業家・サステイナビリティー・ソーシャルイノベーションなどに興味のある日本人学生・社会人向けのトレーニングプログラム。「世の中の注目を集めるこのムーブメントを本など情報だけではなく、体で感じて学ぶ事は何か出来ないか?」 という考えのもと、シアトルを中心に活動する社会起業家の一人、ブリット・ヤマモト氏がこのプラグラムを教えている。彼は「プログラムを通して参加者が様々な社会問題解決へのアクションを起こす事が出来るようなサポートがしたい」と語ってくれた。

米国NPO法人アイリープ代表 ブリット・ヤマモト氏
米国NPO法人アイリープ代表 ブリット・ヤマモト

アイリープ主催のプログラムは主に

International Fellowship program
アジア・アフリカ社会人向け国際開発問題トレーニング
Taking the LEAP
アメリカ人学生・社会人向け国際開発問題トーレーニング
Social Innovation in Seattle
日本人学生・社会人向け社会起業家トレーニング

の3つから成り立っている。

現在は、『自分が変われば世界も変わる』をテーマに新しいプログラムがスタートし、シアトルの社会ビジネスやNPO運営について多角的に学ぶ事が出来る。クラスで行われるワークショップ形式の講座と、現地の団体やNPOの現場で働くインターンシップを組み合わせた実践的な学習がメインとなるが、実際にダウンタウンに点在するNPO/NGOを始め社会的な活動をする営利団体を訪ね、その方針・理念になどに触れたりもする。訪問団体は、フェアートレード・福祉・グ リーンビルディング・エコバンクなどさまざまだ。

授業はすべて英語で行われるこのプログラムだが、今回は日本から七名の参加者がプログラムに参加。刺激的な 四週間を過ごしているようだ。

プログラム内のクラスの様子
プログラム内のクラスの様子

シアトルは、アメリカ北西部に位置し、世界を結ぶ大規模 な港を持つ太平洋岸北西部地域の最大の都市。しかし、なぜこの都市がソーシャルイノベーションのフィールドで、社会起業家を目指す人々の間で今注目されているのだろうか?

実は、無数の非営利団体などと力を合わせ、全く新しい方法で現代の社会問題解決に取り組んでいるのがシアトルなのだ。そして、多くの企業は従来の利潤追求の形を変え、 コミュニティーを強く意識した社会的な経済活動をいち早く始めている。また、日本でも様々な活動が評価されているソーシャルベンチャー・パートナーズ(SVP)の本拠地もこの土地にある。

2008年のアメリカにおける最もサステイナブルな都市として、ポートランド、サンフランシスコに続き第三位にも選ばれているこの土地をアメリカ国内では『ソーシャルイノベーションのシリコンバレー』と呼ぶ。そう、何か新しい事を生み出し発信する土壌がここにはあるのだ。

グリーンビルコンサルタント会社へのインタビュー
グリーンビルコンサルタント会社へのインタビュー

インドNGOワーカーのロバート・マチャドさんと参加者の近藤亮一さん
インドNGOワーカーのロバート・マチャドさんと参加者の近藤亮一さん

参加者の一人、立教大学に通う近藤亮一さんは、『このプログラムでは、シアトルでの滞在を通して世界で起きている事、そしてそれに関わる人の様々な活動や見えない努力を知る事が出来る。何より一番うれしかったのは自分がグローバルコミュニティーの一員であると認識できた事』と、このプログラムについて話してくれた。そして、プログラムが終わったらインドのNGO視察にも興味があるとの事だ。

ソーシャルイノベーションとは、社会的な活動が起こすポジティブな社会変革のこと。しかし、社会問題解決とは、決してシンプルな事ではなく様々な要素を含んだ複合的な解決策が要求される。このプログラムでは、バンドエイドのような“応急処置”ではなく、その前後にある問題を総合的に意識する事が出来るようにデザインされている。日本の社会問題を取り組むにも、世界を意識したクリエイティブな発想が若者から生まれてくると、面白い時代がやってくるかもしれない。

次回の『シアトル通信』では、シアトル発のフェアートレードムーブメントを紹介する予定。どうぞお楽しみに!