いよいよ近づいてきた第45回衆議院議員選挙。最近の選挙演説では、政治家も環境に関する政策を掲げることが多くなってきた。
“環境への取り組みを最優先に行います!”
“地球に優しい政治を!”
こんな言葉の連呼を耳にするたび、私たちはわからなくなる一方だ。環境に対する政策を本気で推し進める意志のある候補者はいったい誰なのだろうか?
そんな疑問に真正面から答えを出そうとするサイトが8月10日、オープンした。その名も「エコ議員つうしんぼ」。
“エコを軸に政治家を採点してしまおう!”というコンセプトで、第45回衆議院議員選挙の候補者ひとりひとりに環境政策に関する質問を投げかけ、その回答をすべて公開するという大胆な取り組みだ。グリーンピープル必見のこのサイト、さっそく覗いてみることにしよう。
ちゃんとエコなの、だれだかわかります。
ストレートなキャッチコピーが「エコ議員つうしんぼ」の入り口。採点結果が気になるところだが、まずは候補者に投げかけた質問からチェックしよう。
質問は全部で25問。「自然エネルギー」「地方分権」などの基本的施策から、「ジュゴンの保護」「高尾山トンネル建設中止」など、環境の観点から重要視される具体的な問題にまで及び、一問一問、具体的にいったいなぜこの施策が重要なのかが説明されている。
たとえば、8問目「原子力」においては、
原子力発電は、資源国でのウラン採掘時の環境汚染とCO2排出、日本国内での情報公開と説明責任コストや国民の知る権利のコスト、運転リスク、地震活断層リスク、核廃棄物処理リスク、食糧への風評被害、未来への負担まで考えに入れると、残念ながら決して安価でローリスクなエネルギーとは言いがたい。現在日本の エネルギー政策は、原子力へ比重をややかけ過ぎの向きがある。
原子力委員会(内閣府)、原子力安全委員会(内閣府)、原子力安全・保安院(経産省)などの担当官庁に環境省が入っていないので、チェック体勢が不十分なことも指摘されている。発電のシビリアン・コントロール、自然エネルギーへの暫時的転換も含め、建設的なエネルギー政策の見直しを実現していこう。
と、決して偏りのない視点から問題の核心をつく説明が添えられる。投票する側である私たちも、頭を整理するために必読の内容だ。
では、いよいよ各候補者の採点結果を見てみよう。選挙区ごとに候補者の名前が並び、回答のあった方には具体的な数値が「エコ議員ポイント」として100点満点で表示されている。回答は提案可(4点)、賛成(3点)、保留(2点)、反対(1点)、無回答(0点)の5つからの選択式だが、自由記入のコメント欄もそのまま掲載されており、なぜ反対なのか、保留なのかについてもその候補者の意識が伝わるようになっている。採点の数値より、むしろこのコメント欄で候補者の考え方を知ることができるだろう。
北海道9区に属する民主党党首鳩山由紀夫氏は67点で、コメントもぎっしり。福岡8区の麻生太郎氏は…?
「候補者は当選したいがために、全部“賛成”と答えるんじゃないだろうか?」
そう思った方もいるだろう。実は、エコ議員つうしんぼのすごいところは、選挙後も責任を持って(責任を持ってもらうために?)その政治家を追い続けるということだ。
まず、選挙が終わったら当落をサイト上で発表。そして、当選議員が“提案可”と回答した施策は、法案提出の結果についても随時サイトにアップしていく予定だ。さらに、各当選者へ連絡を取り、どのように動いてもらえるか話し合い、その経緯や結果もすべてサイトで公開するという。
ここまでの徹底ぶりなら、とても軽い気持ちで回答できないだろう。いわば、このサイトはエコ政策に関する候補者のマニフェストともいえるのだ。
エコ議員つうしんぼチームの坂田昌子さん(虔十の会代表)によると、候補者へのアンケートはすべて郵送で候補者に直接送り、回答を依頼したという。坂田さんとマエキタミヤコさん(サステナ代表)を中心とするチームメンバーがインターネットなどで全候補者の住所・連絡先を調べ、全1200通を郵送。宛先不明で戻ってきたものに関しては政党に連絡して再送するという、徹底的に地道な作業を遂行した。
「あくまで候補者が政党としての立場を超えて個人の立場から答えていただきたいと考えているので、政党や他団体には依頼せず、個人に郵送するという手段を取りました」
8月10日現在、約400通の回答が届いているという。
「最終的な回答回収の目標は全体の半分である600通。これ以上そろえば、有権者にとってかなり参考になるものになると思います」
と坂田さん。最終的に回答がなかった候補者に関してはゼロ点になってしまうので、回答があるかないか、というだけでも候補者の意識がわかる。今後も次々に回答がアップされていく(すべてチームメンバーの方の手入力!)ので、選挙直前まで、要チェックだ。
サイトでは、エコ議員つうしんぼを広めるためのフライヤーやバナーが自由にダウンロードできるようになっている。趣旨に賛同する方は、周りにもこの活動を広めてみてはいかが?
「エコ議員つうしんぼ」のフライヤー
「エコ議員つうしんぼ」を通して丸裸になる候補者の環境対策意識。あなたはこの採点を、どう捉えますか?
また、来週8月24日(月)には、みんなで「エコ議員つうしんぼ」を見て、仮投票してみるイベント「エコ議員つうしんぼ の会」が開催されます。マエキタミヤコさん、杉並区議会議員のすぐろ奈緒さん、虔十の会の坂田昌子さんが、今回の選挙について、「つうしんぼ」について、トークして、みんなで仮投票してみます。ぜひ、お越しください!
エコな議員がわかる。投票できる。