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“フェアウッド”って知ってる?フローリング、机、鉛筆…木材も選ぶ時代がやってきた!

Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by janusz l

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「フェアウッド」という言葉をご存知だろうか。伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材や木材製品のことで、最近、その認証制度や考え方が確立しつつある。「フェアトレード」が途上国の生産者や労働者を支援する取引形態であるのに対し、「フェアウッド」は、木材やその製品の生い立ちを明示することにより、森林そのものや、木材に関わるビジネスを持続可能なものにする役割を担う。

この度、フェアウッド調達のための支援や情報発信を担う団体として、フェアウッド・パートナーズが活動を開始した。

今なぜフェアウッドと言う概念が必要なのか。現状の森林や木材の問題点と、フェアウッドの意義を探ってみよう。


まず、私たちの身の回りを見てみよう。テーブル、椅子、机、フローリングと、あらゆるところに木材が使われているが、それがどこでどのように伐採され、加工されたものか意識したことがあるだろうか。私はまったく考えたことがなく、その木の種類さえも知らない自分に気付いた。

でも、もし家具の中に違法伐採によるものや環境破壊につながる悲しい生い立ちの木材が使われているとしたらどうだろう。それを使うたびに後ろめたい気持ちになってしまうかもしれない。

そんな悲しいことが起こらないように考えられたのがフェアウッドという概念だ。フェアウッド・パートナーズのホームページによると、フェアウッドとは次のような木材・木材製品のことを言う。

・最低限、違法伐採でない木材
・信頼できる第三者機関の森林認証を受けた木材
・古材や廃材を再使用した木製品
・修理・再生した木製品
・近くの森林から生産された木材

まだ明確な定義とはいえないが、その意味することは伝わるだろう。フェアウッド・パートナーズは、これを指標として、環境と社会へのリスクが小さい木材の調達を考えている企業などに情報とコンサルティングを提供し、木材調達の際の選定基準を示してあげる活動を行っている。

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フェアウッドの木材商品(画像提供:フェアウッド・パートナーズ)

ではフェアウッド調達には、どういった意義があるのだろうか。

ひとつには、森林そのものを守る必要があること。現在、商業伐採やエネルギー開発、またその背後にある短期的視野の経済政策や貧困問題など数々の原因により、森林伐採が止まらない状況にある。世界中で、年平均(2000年~2005年)で730万haもの森林が失われているというデータ(FAO地球森林資源調査GFA2005より)もある。

これらの原因は森林がきちんと管理がされていないことにある。持続可能な管理がされている森林では、森林再生が適切に行われるため、その木材を伐採して使っても二酸化炭素の排出を抑えることができる。木を切ることそのものが悪いのではなく、きちんと木を選びさえすれば、森を守ることにもつながるのだ。

また、森林経営を買い手として支える意義も大きい。昭和30年代には90%以上あった木材の自給率も、安価で一度に大量入手できる外国産の木材の輸入により、その割合は急激に下降。現在では、20%ほど(林野庁 木材需給表より)となり、日本の林業は衰退の一途をたどっている。フェアウッドを選ぶことにより、海外の違法伐採などを阻止し、結果として日本の林業を守ることにもつながるだろう。

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森林認証制度FSCマークのついた文具を選択することも、林業を守ることにつながる(画像提供:フェアウッド・パートナーズ)

そのほかにも、企業にとっては政府や住宅メーカーで広がる「グリーン調達」を先取りし、企業イメージアップにつなげることもできるし、消費者にとっては木材選定の基準として参考になるといったメリットがあるだろう。

フェアウッド・パートナーズは、2009年6月に国際環境 NGO FoE Japan (財)地球・人間環境フォーラムが共同で設立。始動したばかりの組織だが、実は2002年より「フェア・ウッドキャンペーン」として積み重ねてきた実績がある。積水ハウス東急ホームズといった住宅メーカーの調達方針策定やその運用を実際に支援するなどの活動を経て、このたび新たな組織としての出発点に立ったのだ。

現在は、ホームページに「フェアウッド相談室」という窓口を設置して調達意欲のある方の相談に応じたり、セミナーやトークショー、情報発信をメインに活動を行っている。フェアウッドに関する映像「木の来た道」上映会は定期的に各地で行われており、今後も開催が予定されているので、興味のある方は足を運んで見るのもよいだろう。

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木の来た道」上映会の様子(画像提供:フェアウッド・パートナーズ)

そしてぜひみなさんに見てほしいのは「森林の見える木材ガイド」というサイト。木材となる樹木を、名前や産地、用途別に検索することができるのだが、その情報量の多さに驚かされる。木の産地、特徴、用途はもちろんのこと、「環境評価」として輸送負荷、伐採地の環境負荷、絶滅危惧リスクなどをグラフで表示しており、その樹木が抱える現在の問題点をひと目で把握することができる。一度、知っている名前の木を調べてみると、目からウロコの情報が得られることだろう。

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森林の見える木材ガイド

“フェア・ウッド”という考え方は、食べ物の生産地と同じように、木材の生い立ちに注目してみることの大切さを教えてくれる。「消費者の目が厳しくなっている」と言われて久しいが、実はまだまだ無意識に消費しているものが多いのが現状だろう。

「フェアウッド」を知ることをきっかけに、あらゆるものを可視化する取り組みが他の分野にも広がっていくことを願いたい。