『GOOD』は2006年にアメリカで設立され、雑誌『GOOD Magazine』を創刊した。
『GOOD』とは、“GOOD=いい事”をしたいと思っている人のための、マルチプラットフォームブランドである。しかも、その「いい事をしたいと思っている人」は、「pragmatic idealists(実用主義の理想主義者)」だと言っている。つまり、ちゃんとお金を儲けながら、楽しみながら、世のため人のためになることをする人、という意味。
設立当時のアメリカでは、社会的ないい事をするというのは利他的なもので、自分のことはさて置き義務的にやるもの、というイメージが強かったそう。若者目線で言うと「やってる事はいい事なんだけど、なんかカッコ悪い…」という感じだろう。だから、本当は社会に役立ついい事がやりたいと思っている若い人たちは、なかなか実行に移せないし、そのコミュニティも広がらないという時代だったのだ。そこで「楽しくてお金も儲かる“GOOD”な事をやろう!」という有志が集まり『GOOD』が設立されたのである。
『GOOD Magazine』を購読すると、その購読料は社会貢献団体などに寄付される。いくら寄付するのか、どの団体に寄付するのかは、購読者が選ぶことができる。(アメリカ以外の国からの購読する場合は例外あり)『GOOD Magazine』を買うことで、まず1つ“GOOD”な事に貢献できるという仕組みだ。『GOOD Magazine』の中身は、様々な社会問題を提起する内容となっている。
雑誌『GOOD Magazine』に始まり、WEBサイト「GOOD.is」、動画「GOOD video」、各種イベントから企業やメディア(Starbucks, New York Time, Googleなど)とのコラボレーションまで、今ではそのプラットフォームは正にマルチに広がっている。
見ての通り『GOOD』ブランドのデザインは、どれもクオリティが高く驚くほど秀逸!これなら「社会問題って、堅苦しくてよく分からないんだよね」と思いがちな人たちにも、分かりやすくてとっつきやすい。逆に、「このカッコいい雑誌ナニ?」なんてビジュアルから入って、社会問題に興味を持つ人もいるんじゃないかと思うほど。
GOODが得意とするインフォグラフィック
良いデザインというのは、細かい説明が無くても、一目見ただけでそのエッセンスを伝えることができる。言葉が無くても伝えられるということは、グローバルになり得るということだ。ソーシャルな問題を提起しながら、それを分かりやすく伝えるビジュアルデザインがあったからこそ、『GOOD』はこのように広がり、多くの支持を得られてきたのだろう。設立当初は小さな部屋がオフィスだった『GOOD』は、2年後には100万ドル(約1億円)を調達できるまでに成長したのだ。現在の購読者数は、約7万人にも上るという。
『GOOD Magazine』の存在を初めて知った時、もっと多くの人に知って欲しいと思った。こういう雑誌があること、こういう考え方があること、こういう行動の起こし方があるということを。
『GOOD』で提起されている問題は、辛口な視点もあれば、ドキリとさせられるような事実もある。一口に“GOOD=いい事”と言っても、その人の置かれた状況や環境によって変わるかもしれないし、時代によっても変わるかもしれない。
それでも、できるだけ多くの人が“GOOD”だと思えるようなグローバルな視点で、どんなに時代が変わっても “GOOD” だと思われるような普遍的な視点で、あらゆる事を選んでいきたいと思う。結果的にそれが、長い目で見た “DO GOOD=いい事をする” に繋がるのではないだろうか。
素敵なデザインの『GOOD Magazine』やWebサイト「GOOD.is」を見て刺激を受けたら、明日からカッコよく “DO GOOD” してみない?
※ ちなみに、GOODの雑誌の表紙のデザインは、Open, N.Y.インフォグラフィックのデザインは、Timko and Klickによる