ホンダのハイブリッドカー、「インサイト」の売れ行きが好調だ。2009年4月の新車販売台数で、「インサイト」が首位の座に就いた。しかも、普通自動車唯一の1万台超え、ハイブリッド車で初の首位、というおまけつきだ。
2位、3位には、それぞれホンダ「フィット」(9443台)、トヨタ「ヴィッツ」(6706台)と、燃費性能に優れた小型車が名前を連ねた。また、軽自動車も含めた販売台数では、トップ3を軽自動車が独占した。低燃費・低コストのクルマが売れている。
景気後退、ガソリン価格上昇、環境意識の浸透など、さまざまな理由が考えられるが、「エコカー減税」の導入も追い風になっていることは間違いないだろう。
「エコカー減税」の正式名称は、「環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税・自動車取得税の特例措置」。国土交通省発表資料によると、どのクルマが減税の対象になるかが、その基準とともに細かく記されている。
「エコカー」として認定される対象は、電気自動車(燃料電池車含む)、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車、ディーゼル自動車、ハイブリッド自動車、低燃費かつ低排出ガス認定自動車の6種類。車体重量や燃費、排ガスの量に応じて税金が免除されたり減額されたりするという減税措置だ。
ところが、発表資料にはこの特例措置の目的が明記されていない。「減税」なのだから景気刺激策であることは間違いないし、「エコカー」の普及促進を狙っている措置であることも、名前から推して知ることができる。
だが、これらの「エコカー」を普及させた先に、どのような社会像を描こうとしているのかが見えてこない。20年から30年後、石油は今と同じように使えるだろうか?クルマは今と同じように気軽に使えるのか?使えない想定に立つのであれば、社会の中でクルマをどう位置づけていくのか?ビジョンは難しいまでも、こうしたことについての議論が聞こえてこないのは気掛かりだ。
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移動や輸送の手段が変われば社会の形も変わる。逆に言えば、社会の形を変えれば、必要な移動手段も変わる。
モータリゼーションを前提に成り立っているのが今の社会の姿。将来的に石油が今ほど使えなくなることを想定すると、クルマに頼らなくても生きていける社会の姿を考えていく必要があるだろう。
例えば…
巨大な流通網を前提にせず、食料や生活必需品は近隣で賄えるようにする。地産地消を推進する。そのときの移動や輸送の手段は、自転車やリヤカーなど、あくまで人力を中心に据える。クルマは、どうしても人力では賄えない場合の補助的な手段とする。
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クルマ好きや自動車産業で働く人にとっては受け入れられない提案かもしれない。もちろん、簡単に答えを出せる問題ではないし、実現にあたっても様々な課題がつきまとうことになるだろう。だが、石油が使えなくなったときのことを想定して、来たるべき社会の形、来たるべき時代のクルマについて、議論するときが訪れているのは間違いない。
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