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ビジネス志向で社会的課題に挑むフロンティア!「社会起業家」って最近どうよ?

Better World Books: Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by Better World Books

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貧困、食料不足、環境問題など、地球規模で中長期にわたって取り組むべき課題は山積している。このような社会的課題の解決にビジネスの手法を取り入れ、収益を稼ぎつつ、社会を変革に導こうという「社会起業家」が世界でますますホットだ。社会起業家の先進国である米国の最近の動向を調べてみた。

社会貢献型企業の米認定機関「B Lab」によると、米国における社会起業家は3万人規模で、市場全体で推計400億米ドル(約4兆円)の収益を上げているとみられている。資金調達面での環境整備も進んでおり、貧困問題に取り組む社会起業家に対して専門的に投資する「Acumen Fund」や地元サンフランシスコのソーシャルビジネスやグリーンビジネスに投資を行う「Bay Area Equity Fund」など、社会起業家を専門に投資するベンチャーキャピタルも増えてきた。

社会起業家は、ビジネス界からもより多くの注目を集めている。米経済誌「BusinessWeek」は、2009年1月から5月にかけて、アメリカの有望な社会起業家を選ぶ読者アンケートを実施。第1次アンケートで読者から推薦された200を超える候補企業の中から、greenz記事「世界の子供におそろいの靴をプレゼント!」で紹介した「TOMS」を含むトップ25を編集部が選考し、さらにトップ1を決めるウェブ投票を行った。

最終投票結果によると、36%の得票率でトップの座に輝いたのは「Better World Books」だ。2002年、米ノートルドーム大学(University of Notre Dame)の学生3人が立ち上げたこの会社は「世界の識字率向上への貢献」をミッションに掲げ、オンライン書籍販売を行っている。現在、アマゾンドットコムなどの大手競合としのぎを削りながら、2008年には前年比40%増の2100万ドル(約20億円)もの収益を上げ、着実に事業規模を成長させている。もちろん、彼らの取り組みはこれだけではない。以下の紹介動画のとおり、書籍販売から得た収入をもとに、アフリカの子供たちに書籍を届ける活動「Books for Africa」や識字率向上プログラム「Room to Read」、カンボジアやブラジル、リベリアなどの学校での図書館設置に対して、600万米ドル(約5.8億円)以上を寄付してきた。

2008年秋以降の不況を機に、20世紀型の資本主義の功罪を振り返り、持続可能な社会の実現に向けた新しいビジネスのあり方が世界中で模索されているが、そのひとつの形として、経済的価値と社会的価値を同時に創出しようと取り組む社会起業家が注目を集めている。もちろん日本も例外ではない。2008年4月の経済産業省「ソーシャルビジネス研究会報告書」によると、日本の社会起業家は約8,000人で、市場規模は推計2,400億円。米国に比べればまだ小さな市場だが、今後、米国のように資金調達の流動性を高めたり、公募コンペなど表出の場や社会起業家同士のネットワーキングを進めることで、この市場は徐々に広がっていく可能性はある。

社会もビジネスもチェンジの時代。過去の事例や既存のセオリーも十分な資金も人材もないという「ないないづくし」から、荒野に挑むフロンティアのような精神で、社会的な課題に立ち向かい、解決へと前進していく。そんな社会起業家の挑戦はまだ始まったばかりだ。

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