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未来の集合住宅のカタチ。ソーシャルアパートメントに潜入取材!

SOCIAL APARTMENT

SOCIAL APARTMENT

おしゃれなプールバー?

いえいえ、ここはとある“ソーシャルアパートメント”の入り口。大型テレビのあるリビング、パソコン、Wiiまで、住民みんなで共有して生活する新しい集合住宅のカタチがここにある。その魅力を探ってみよう!


“ソーシャルアパートメント”とは、

コミュニケーションの生まれる共用スペースを設置することにより、住人同士の交流を促進させるコンセプトのマンション

のこと。発想としては、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を居住空間に応用させたもので、生活を共にすることにより、普段は築けないようなネットワークを創ることができる住居形態として、20~30代を中心にじわじわと広がりを見せている。

簡単に言えば、ワンルーム賃貸マンション、あるいはワンルーム型の社員寮に共用リビングなどの施設が充実しているものなのだが、その魅力はいったいどこにあるのだろうか? “ソーシャルアパートメント”という言葉の生みの親で、この事業を手がける株式会社グローバルエージェンツの代表、山崎さんにご案内いただき、東京都目黒区にある「ソーシャルアパートメント恵比寿」を訪問してきた。

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SOCIAL APARTMENT

恵比寿ガーデンプレイスから程近い閑静な住宅地に静かにたたずむコチラの建物が、4月4日にオープンしたばかりのソーシャルアパートメント。一見、普通のマンションと何ら変わりないが、オートロックの玄関に入るとその違いに気付く。部屋番号のついた大きな靴箱があり、ここから先は土足禁止なのだ。住民の共有スペースは靴を脱いだここから始まる。

まず案内していただいたのは地下にあるリビングと共用キッチン。

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共用のリビングルーム SOCIAL APARTMENT

広々としたリビングにおしゃれな家具と大型テレビ、そしてパソコン、Wii、DVDプレーヤーなど、家庭のリビング以上に充実した設備があり、ゆっくりくつろぎ、楽しめる空間となっている。共用キッチンはまるでレストランの厨房!業務用冷蔵庫に大型シンク、ガスコンロ、電子レンジ。女子ならワクワクしてしまうこと必至の広々とした夢のキッチンスペースには、入居者それぞれの棚も完備。自分の食器や調味料を保管しておけるので、部屋との往復も難なくこなせそうだ。

各階には、清潔なシャワールームとランドリー、お手洗いが充実している。さらに最上階には、広々としたルーフバルコニーまであり、共用部分を使えば使うほどここでの生活が楽しめそうだ。

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広々としたルーフバルコニーは風が気持ちいい! SOCIAL APARTMENT

充実の共用スペースに囲まれて、ソーシャルアパートメントの住民はどのように暮らしているのだろう。山崎さんが1年前に完成した物件「J-AMS Court 浅草」の例を教えてくれた。

住民はとても仲が良く、メーリングリストで連絡を取り、夏には花火鑑賞会、春にはお花見など、頻繁に集まっているようです。最初こそウェルカムパーティは弊社で企画しましたが、その後は全て住民が自発的に行っています。我々は、インフラを提供することに徹し、あとは住民に任せているんです。

さらに、それぞれの趣味や特技を生かし、サークル感覚で家具デザインの展示会に出品したり、ミュージカルを演じたりもしているのだという。そして、何よりも貴重なのがそのような交流から生まれるコミュニケーションだと山崎さんは言う。

社会人になり会社と家を往復する生活を送っていると、人脈が希薄になり、本来持っていた発想の広がりがなくなってくる方が多いのです。より現実的になり、アイデアがなくなり、自分の世界が狭くなってしまう。ここでは、何の利害関係や上下関係もなく、全く異なる職業や価値観を持った人間同士が時間を共有できます。その中で落ちている自分の可能性に気付き、世界が広がっていくのです。

現在、入居者の9割は20~30代の社会人で、残り1割が学生。男女は半々で、全体の2割が外国人だという。

もっと学生が増えてくれるといいと思います。現在の画一的・形式的な就職活動では、現実の社会が見えてこない。この空間で社会人と時間を共有し、様々な業界の実態や本音、時には愚痴を聞くことで、自分が進むべき道を見定めることができると思うのです。外国人との交流で自然に国際感覚も身につくことでしょう。

入居希望の方には、必ず社員が面談を行い、そのコンセプトに共感してもらっている。

きちんとコンセプトを知っていただくために、そのような形式をとっています。ソーシャルアパートメント入居希望者の2割は口コミ経由。コンセプトに集まって来る人が多いので、住民の共通点は“社会に対して前向きである”ということです。

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個室空間の家具は一部備え付けとなっている SOCIAL APARTMENT

プライベート空間はシンプルなつくりだが、ベッドや机、ミニ冷蔵庫など最低限のものは備わっているので、トランクひとつで入居なんてことも可能なのもうれしい。ゲストハウスと比べると賃料はやや高め(近隣のワンルームマンションと同程度の相場)だが、コミュニケーションや交流は、住民に何物にも変えがたい大切なものを与えてくれることだろう。

グローバルエージェンツが手がける物件は、現在は首都圏が中心だが、今後は全国、そして世界中の都市にネットワークを広げていきたいという。

物理的に共有できるのは同じアパートの中だけかもしれませんが、それを越えた物件間の交流も広げていきたいです。例えば海外旅行に行けばその都市の物件に泊まるなど、世界中どこに行っても家族がいるようなネットワークになるといいですね。

現在26歳。大学生だった22歳の時にこの会社を立ち上げた山崎さんの目には大きな夢が現実のものとして確実に見えているように感じた。

取材中、私が玄関であれこれ物色していると、「入居を検討されているんですか?」と男性が声をかけてきた。彼はここの入居者の方。そのごくごく自然なコミュニケーションこそ、ソーシャルアパートメントの姿なのだと感じた。さらに驚いたのは、部屋の鍵をかけていない住民がいたこと。かつての日本がそうだったように、近隣住民の目がセキュリティであるこのマンションに、もはやハード面での必要以上のセキュリティは不要なのかもしれない。

この日、都内にある自宅マンションに帰ると、エレベーターで偶然同じ階の知らない方といっしょになった。取材の余韻で思い切って声をかけてみると、なんと隣の部屋だという。この時、一人暮らしだった隣人がいつのまにか結婚していたことを、初めて知ったのだ。

ソーシャルアパートメントとの出会いは、私のように物理的に入居が不可能な人間にも、コミュニケーションの扉を開いてくれた。共用施設がなくても、もちろんコミュニケーションは可能。ただきっかけがないだけなのだ。

多くの大切なものを教えてくれるソーシャルアパートメント。それは本来人間が持っている当たり前のコミュニケーション能力を取り戻させてくれる場所。この住居形態がもっともっと広がり、多くの人々に気付きを与えてくれることを願いたい。

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