ドイツ連邦環境省は、2008年の1年間で、再生可能エネルギーに関する新しい研究助成に計170件、合計で1億5000万ユーロ(約180億円)を認可したことを発表した。2007年の助成額と比較すると50%増加している。
この背景にあるのが、2000年に制定され2004年に改定された「再生可能エネルギー法(EEG:Erneuerbare Energie Gesetz)」。短期と中長期の数値目標を次のように設定している。
・短期:再生可能なエネルギーの割合を、2010年までに2000年値の2倍に増加=2010年までに国内総電力に占める再生可能エネルギー電力の割合を12.5%に高める。
・中長期:一次エネルギーと電気の消費において、再生可能エネルギーを、2030年までに30%、2050年までに50%までに引き上げる。
再生可能エネルギー電力のシナリオ
縦軸:発電量(テラWh/年)、横軸:年。紺色:水力、薄い水色:風力(地上)、濃い水色:風力(海上)、緑色:バイオマス、黄色:太陽光、赤色:地熱、オレンジ色:ヨーロッパ諸国からの購入分
出典:Erneuerbare-Energie-Leitstudie 2008, UMWELT Nr.12/2008, BMU(再生可能エネルギーの見通し2008)
短期目標については嬉しい誤算で2007年に前倒しで14%を達成してしまったし、懐疑的に見られていた中長期の目標に対しても、今回の発表などを通じてドイツが本気であることを示している。
こうした動きを牽引しているのが風力発電と太陽光発電だ。アメリカのエネルギー省が発表したレポートによれば、風力発電の発電量は541億3700万キロワット時(日本は36億7900万キロワット時で9位)、太陽光発電の発電量は26億7000万キロワット時(日本は17億8700万キロワットで2位)と、ともに世界1位を誇っている。
一方日本では、平成14年(2002年)3月22日に石油代替エネルギーの2010年の供給目標について閣議決定がなされたが、その中で再生可能エネルギーに分類される水力、地熱、その他新エネルギー(太陽光、風力など)は、石油に換算してそれぞれ2000万キロリットル(全体の3%程度)、100万キロリットル(全体の0.2%程度)、2000万キロリットル(全体の3%程度)と、総エネルギー供給量の6%程度しかカバーできていない(経済産業省 資源エネルギー庁 「長期エネルギー需給見通し概要」参照)。
こうした政策の弱さが経済にも影響を与え、2005年まで太陽電池生産で世界1位だった日本が、2006年には中国に、2008年にはドイツに抜かれ3位に転落した(参照:Tech-On)。そして、2009年にはアメリカと台湾にも抜かれるだろうという予測が出ている(参照同じ)。また、企業でも2007年にはシャープがドイツのQ-Cells社に首位の座を明け渡している格好だ(参照:ソフトエネルギー)。
日本の政策を見ていて思うのは、中長期の視点を欠いた、余りにも現状に寄りすぎた目標設定だ。現状を踏まえることはもちろん大切だが、今のまま進んではよろしくない状況が全く改善されていない。あるべき未来の姿を描き、そこから逆算するバックキャスティングの考え方を取り入れた大胆な目標設定を期待したい。