greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

新しい人工島のカタチ。「エネルギー島」計画が進行中!

Courtesy Energy Island

Courtesy Energy Island

人工島には、現代社会にとって不可欠なものもあれば、なんとなく出来上がりそのまま存在しているものもある。では、エコでサステナブルな地球にするための人工島ってどうだろう?こんな発想から、再生可能エネルギーを発電する人工島「エネルギー島」への取り組みが進行中。ところで「エネルギー島」って、なんだ?

「エネルギー島」とは?

発明家のドミニク・ミカエル(Dominic Michaelis)とその息子で建築家のアレックス(Alex Michaelis)が取り組む「エネルギー島」(Energy Islands)プロジェクト。「エネルギー島」では、海底と表面の温度差を利用して発電する海洋温度差発電(Ocean thermal energy conversion ・OTEC)を活用。海水の熱移動に伴い発生するエネルギーを抽出し、これを使ってタービンを作動させ、発電する仕組み。250メガワット規模の電力が得られる。また、海洋温度差発電では、タービン作動のため、海底から毎秒10万ガロン(40㎥)の海水を脱塩することが必要。これにより、電力1メガワットあたり3万ガロンの淡水が副産物として得られることになる。

「エネルギー島」を実現するための課題は?

「エネルギー島」における課題はコスト。発電したエネルギーを陸地に移動させるため、水中ケーブルの敷設や運搬用燃料電池などのインフラも必要。これらのインフラコストも含めると「エネルギー島」で発電する電力コストは時間キロワットあたり推定9セントから13セント。一方、50%効率の風力発電のコストが時間キロワットあたり8セント、石炭による火力発電が4セント。「エネルギー島」の割高感は否めない。

「エネルギー島」は、プロジェクト全体で、6億ドル(約5400億円)の価値を見込んでいます。

「エネルギー島」プロジェクトチームは語る。英ヴァージングループ(Virgin Group) の創設者・リチャード ブランソン(Richard Branson)が運営するVirgin Earth Challengeに対して2500万ドルの出資を求める一方、新たな投資家を求め、上海へ出向いている。

「エネルギー島」でどんな生活ができる?

ミカエルは、「エネルギー島」にこの島で働く労働者が移民することを想定。船着場や食料を生育する温室など、生活に必要なエネルギーも島でまかなう。また「エネルギー島」は新たなエコリゾートとしても注目。この島で過ごす休日をちょっと想像してみよう。ウォータースポーツを満喫できるだけでなく、深海で生き生きと棲むたくさんの魚とたわむれることができるのだ。

「エネルギー島」から学ぶヒントって?

実は、海洋温度差発電という技術自体、それほど新しいものではない。19世紀初頭から世界中で研究されており、日本でも「NPO法人海洋温度差発電推進機構」(OPOTEC )を中心に研究活動が続いている。また、「エネルギー島」プロジェクトと同様の動きは他にもある。英誌・Times of Londonによると、オランダ企業・Kemaが水力電力システムを活用した人工島プロジェクトを計画。1500メガワットの補充電力をオランダに供給すべく、2020年からの稼動を目指す。

海洋温度差発電が、200年もの時を経て、再生可能エネルギーの選択肢として再び脚光を浴びている。地球温暖化を食い止めつつ、エネルギー源を確保するためには、海洋温度差発電のような技術をいかに取り入れるかが重要なことだと改めて感じるニュースだ。

Via :LiveScience, The Times and EcoGeek
Tree Hugger