身近で起きている環境問題が放置されているのを複雑な思いで見ている人や、自作の動画を世界に向けて発信したい人に、チャンス到来!
アメリカのテレビ局のABCが、テレビ番組『Earth 2100』の一環として、動画を世界中から募集中。応募作品は公式サイトにアップロードされる。「最も心を動かす作品」として認められれば、来年オンエアされる同番組の1コマとして採用されるというのだ。
『Earth 2100』は、今年9月にオンエアされたドキュメンタリー番組。2時間にわたって、世界中の学者や活動家が、いま方向転換をしなければ、先端技術や知識や財産を投じても迂回できない「世界の終り」が今後100年以内に到来しかねないと警告した。
21世紀は、人類が生き残るか死に絶えるかを決定づける1世紀となるだろう。
これは、環境シンクタンクPacific Instituteの共同創立者でありプレジデントのGleick博士の言葉。行動すべきは今だ、と同博士は語る。
このような深刻な発言を次から次へと受けたABCは、いまアクションを起こさずにして迎える100年後の危機的な社会をイメージできる番組を作ろうと考えた。そして、前代未聞のプロジェクトに踏み切った。地球の危機をリアルにイメージできる動画づくりに、視聴者の協力を呼びかけたのだ。
『Earth 2100』の公式サイトには、2015年、2050年、2100年の「予告編」がアップされている。それらの予告編をベースにストーリーを作るのは、応募者たちだ。
ABCは、あなたが想像する将来の地球の危機が、生々しく視聴者に伝わるようなパワフルな動画を求めている。その動画や内容は、ABCの担当チームの手で、現実味のあるドキュメンタリーの一部として取り入れられる。詳しい内容は、公式サイトの「The Rules」ページまで。
この10月31日、スタッズ・ターケルさんというピュリツァー賞作家が96歳で亡くなった。彼が「希望-行動する人々」などの著書で語っていることだが、人を行動に導くには、危機感よりも希望を示すほうが効果的だと私は思う。たとえば、悲観に暮れながら「さあ行動しよう!」とパワー全開する人を、私は知らない。このABCのプロジェクトは、いわば最悪のシナリオを募集しているのが、気になるところだ。
「将来を変えるためには、まずその将来をイメージすることから始めなければいけない」というメッセージが込められている『Earth 2100』。あるいはABC側の意には反してしまうのかもしれないが、迫り来る危機を伝えながらも、どこか希望を感じさせる動画が集まるといいなあと思う。