今やエコロジーの代名詞となったオーガニックコットン。最近では、ファッションブランドでも多く取り扱われるにようになっていて、愛用者も増えている。そのオーガニックコットンを推進するプログラムが始動した。それが、「プレオーガニックコットンプログラム」! インドのコットン農家を、オーガニックコットン栽培へ移行するのを支援するプログラムだ。
実は、コットン農家がオーガニックコットンに移行するには3年が必要。それは、オーガニックコットンが、3年間無農薬、無化学肥料の土地で栽培された綿花とされているからである。
無農薬農法開始から認定までの3年間は、収穫量が減るのに買い取り値が上がらず20〜30%の収入減。そこへ、プレオーガニックコットンとしてプレミアムを付けて買い取ることで、農家のオーガニック移行にかかる経済的負担を軽減、オーガニックへの移行をサポートするというわけだ。
photograph NAKANO Yukihide
サポート内容をまとめてみよう。
○移行期間中のコットンにプレミアムを付けて購入
○インド最大級のオーガニック農業支援団体「RAJ ECO FARMS(ラージ・エコ・ファーム)」と提携し、たい肥の作り方や遺伝子組み換えでない種の提供など、有機農法の指導
○世界的オーガニック認証機関である「CONTROL UNION(コントロールユニオン)」のオーガニック認証の取得
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でも、なんでこんなにオーガニックコットンを推奨するの? と疑問を持つ人もいるのでは。
実は、コットン畑の畑面積は世界の全農作物の約5%と少ないのに対し、世界の殺虫剤の25%はコットン畑で使われていると言われている。 (www.organicexchange.orgの資料より)
農薬は、肌に触れれば皮膚がただれ、雨で沁みだした水が井戸に流れ込み村人はその水を飲んで内臓疾患を引き起こす。土の中の微生物を殺し、土が死に収穫量が落ちる。そうして、まずしい農民が収穫量を上げるためにより多くの農薬を買い、多くの借金に苦しみ続けているのだ。
その現状を打破するために、このプログラムを運営するkurkkuは、上記の取り組みを実施。また、紡績では「PATSPIN INDIA LTD(パットスピン・インディア)」と提携。9台の風車を所有して工場の消費電力の約25%を風力発電でまかない、“風が紡ぐ糸”を製造する、環境への配慮を大事にする企業だ。
何気なくいつもの服に袖を通すことに、どれだけ責任があるのか。農薬の悪影響を分からない世界で生きているけれど、消費者である私たちがオーガニックコットンを選択すれば、生産地の未来は変わるはず。それが1年後なのか、もっと遠い先になるのか…。すべては私たち次第なのだ。
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