以前greenzでも紹介した米Googleの社会貢献部門Google.orgは、安い再生可能エネルギーを開発するプロジェクトの一環として、地熱発電の新技術「Enhanced Geothermal Systems(EGS)」に取り組む米AltaRock Energy社など3者に、計約1025万ドル(約11億2800万円)を投資すると発表しました。
従来の地熱発電は、地下から噴出する約150~250度以上の蒸気によってタービンを回して発電します。しかし、地下の圧力が低かったり、水分が足りなかったりで蒸気が噴出しないような場所でも、地下に高温の熱源さえあれば、ポンプで水を送り込むことで熱水として取り出し、発電することができます。このような、高温だけど圧力が足りなくて蒸気が噴出していない地熱資源を高温岩体とよび、それを使った前述のような発電を、日本では高温岩体発電と呼んでいます。
マサチューセッツ工科大学の報告によると、米国の地下3~10kmにある高温岩体の2%を利用するだけで、米国が必要とする年間エネルギー利用量の2500倍以上の発電が行えるそうです。高温岩体発電にこんな大きなポテンシャルがあったなんてびっくりです。実用化すれば火力発電も原子力発電も要らなくなるのではないでしょうか。今後アメリカのエネルギー政策やエネルギー業界がどうなるのか、とても楽しみです。
高温岩体発電は日本では1974年より研究が始まっていました。しかし、その研究が終わってからは国も電力会社も研究・開発に力を入れておらず、通常の地熱発電や小水力発電とともにほとんど注目されることがなくなってしまいました。
しかし、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が1993年度に、日本の地熱地域の0.3%を対象に行った調査では、高温岩体によって2900万kWの発電ができると見積もられました。2900万kWというのは、原子力発電29基分に相当するのですごいです。調査地域を拡大すれば、この量はさらに多くなるでしょう。
「日本は資源が少ない」とか「再生可能エネルギーは不安定」というようなことが言われていますが、実は日本には、地熱という安定した資源がこんなに多くあるんですね。それを使わないままでいるなんてもったいなすぎるので、この機にぜひ日本でも進めてほしいです。