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【カンヌ広告祭2008から(1)】問題を「自分ごと」に変える強いアイデア

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Morgacito

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世界最大の広告祭カンヌ広告祭
先週フィナーレを迎えました。

去年はアウトドア・ライオンで
環境広告がグランプリを取るなど、
ソーシャル系のすばらしい広告が
たくさん見られたのですが、
今年は全体的に地味な印象を受けました。

昨年の「不都合な真実」のブレイクで
エコなネタはインフレを
起こしてしまったのでしょうか。
それとも、もはやとりたてて訴えるべきことではなく
当たり前のことになったのでしょうか。

後者であることを願いつつ、
受賞作のうち、気になったソーシャル系の
広告を何日かに分けてご紹介していきます。

(私は英語がとても弱いので、
 解釈には自信がありません、あしからず…。)

今日ご紹介するのは、
「ダイレクト・ライオン」という部門。
消費者に直接的な行動を促すキャンペーンが
対象になります。

グランプリは、インドの新聞社によるキャンペーン
LEAD INDIA」です。

leadindiasm.JPG

インドが独立して60年になりますが、
経済的な発展を遂げる一方で、
格差や環境などの問題は尽きません。

LEAD INDIAは、
インドを変えていくのは一人一人の行動であることを
さまざなまなメディアを使って訴え、
国民が国づくりに積極的にかかわっていく
ムーブメントを巻き起こしました。

独立の父、ガンジーの言葉
「You must be the change we hope to see in the world」
の精神に則った壮大なキャンペーンです。

その一端であるCMをご覧ください。結構感動的です。
●Lead India(youtube)

いまの日本人に、このメッセージに応えられる
タフでポジティブな精神はあるだろうか、
と考えさせられてしまいました。 

ゴールドを獲った
BLACK BOY RUNNING WATER
には驚きました!

thirstysm.JPG

チャリティ番組が放送される前日の三日間に、
テレビ番組のスタジオセットに置かれた水を、
突然画面に飛び込んできた黒人少年がグイッと飲んで去る、
というメディア内でのゲリラキャンペーンです。

蛇口をひねればきれいな水が
いくらでも飲める国に住んでいると、
水の大切さについてあまり意識することはありませんよね。
それが画面に突然出てくる少年の行動によって、
冷や水を浴びせるような感じで
世界の水の問題について意識させようというのが
アイデアの核となっています。

この視聴者の常識を打ち破るアイデアにより、
口コミの嵐が巻き起こり、チャリティ番組では
たくさんのお金が集まったようです。

シルバーの「HELP ME READ THIS」も
裏切り方がスゴいです。

信号待ちで止まっている車に
ストリートチルドレンが
新聞や雑誌を売りに来るのですが、
その新聞・雑誌の袋に
「HELP ME READ THIS」(僕にこれを読ませろ!)と
描かれたシールが貼られているのです。

買ってくれではなく、
「読ませてくれ」ですよ。
普通に車に乗ってたら何事かと思いますよね。

さすがにダイレクトライオンに選ばれる広告は
ダイレクトに心に響きますね。

受賞作はどれも、
無難をよしとする日本では「空気読め!」と
言われかねない強烈なアイデアに満ちていますが、
世界には本気でメッセージを伝えるために
勇気ある行動をとる広告主がいるもんですね。