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東京で人と人が楽しくつながるコミュニティをつくるには? アーバンパーマカルチャーの最先端ポートランドから学べること

「パーマカルチャー」とは、自然界のパターンや成り立ちから学び、近代の知識も活かしながら、持続可能な社会をつくる方法論。あるいは、従来の科学に倫理を取り入れ、“理解する”“つくる”よりも、“改善する”“復元する”ことにフォーカスする「デザインの科学」。

そしてそれは、私たちの生き方を変える“レンズ”である。

去年9月に東京・渋谷で開催された「アーバンパーマカルチャー・ギャザリング withマット・ビボウ」DAY1(レポート記事はこちら)では、そんなパーマカルチャーの本質について改めて学びました。

そして今回レポートする、その翌日に開催された「DAY2」でさらに深めたのは、その「アーバン=まち」での実践について。会場のある渋谷をはじめ、自然豊かとは言えない大都市・東京においても、パーマカルチャーをベースにした暮らしやコミュニティ、社会をつくることができるでしょうか?

この日、“まちから起こす、やさしいかくめい”をテーマに登壇したのは、ポートランドのアーバンパーマカルチャー最先端を走り続けるNPO「シティ・リペア」のコアメンバー、マット・ビボウさん、東京大学准教授・宮沢佳恵さん、そして、greenz.jp編集長・鈴木菜央。「アーバンパーマカルチャー」というキーワードでつながる3人の言葉から、これから始まる未来への希望を、一緒に感じてみましょう。

マット・ビボウ
ポートランドのアーバンパーマカルチャー最先端を走り続ける実践的リーダーであり、パーマカルチャー教育者であり、ファーマーでもある。ポートランドのアーバンファーム「Jean’s Farm」を仲間とともに管理・運営するとともに、シュタイナー教育をベースにしたアウトドア学校「Mother Earth School」を運営。パーマカルチャー教育者を育成する「IPEC(Institute of Permaculture Education for Children)」のCEOも務める。行政と市民活動をつなぐNPO「シティ・リペア」のコアメンバーとしても12年に渡り活躍中。

宮沢佳恵(みやざわ・かえ)
東京大学大学院農学生命科学研究科・准教授。「人々の日常の行動が変わるのは、生態系に良いかどうかではなく、その行動自体が喜びとなり幸福感をもたらすときである」という仮説のもと、自然と調和した食に関わることの喜びを伝える食育や流通、パーマカルチャー、コミュニティーガーデン、日本ミツバチ飼育などを含む幅広い研究を展開中。

鈴木菜央(すずき・なお)
NPO法人グリーンズ代表理事、greenz.jp編集長。
外資系建築コンサルタント会社勤務、「月刊ソトコト」編集・営業を経て独立、2006年「greenz.jp」を創刊。「green drinks Tokyo」(2007年〜)、「せんきょCAMP」(2012年〜)、「わたしたち電力」(2013年)などの言い出しっぺ。千葉県いすみ市在住。家族4人で35㎡のタイニーハウス(車輪付き)+小屋にて、小さくて大きな暮らしの実験中。著作に『「ほしい未来」は自分の手でつくる』(講談社 星海社新書)。

ヒントは既に会場の中にある

今回のイベントは、マット・ビボウさんの話を中心に、ただそれを聞くだけにとどまらず「みんなで話して、つくりたい未来を考えよう」というギャザリング方式で行われました。

1日目の“こどもとパーマカルチャー”に続き、この日のメインテーマは“まちから起こす、やさしいかくめい”です。まずはファシリテーター佐藤有美さんの呼びかけからゆっくりとスタート。「今日、どんな話しが聞きたいと思って参加しましたか?」と、参加者へマイクが向けられました。

周りの人と「どうしてマットの話を聞きにきたのか」を共有する時間も

佐藤さん 今日、この会場には既に各地で様々な活動をはじめている人が多く集まっていると思います。話をすることできっとヒントがいっぱいあるし、ここで活動仲間を見つけられるかもしれません。農法の話ではない、まちと人の関係性づくりにおけるパーマカルチャーの話をたくさん持ち帰ってください。

パーマカルチャーとは、つくりかえる、
つなぎ直すクールなデザイン:宮沢佳恵さん

まず登壇したのは、東京大学准教授の宮沢佳恵さん。パーマカルチャーの基礎についてのわかりやすい解説と共に、「今、なぜ、パーマカルチャーなのか」というお話が明確な言葉で語られました。

基調講演に登壇した宮沢さん。小学生のお嬢さんは、この日の受付を担当してくれました

「パーマカルチャーは自然の循環に倣い、伝統的な循環したシステムと、私たちが得てきた技術や知識を統合して、より豊かで持続的な生活や社会をデザインしていくこと」と宮沢さんは言います。

宮沢さん 日本の伝統的な暮らしは、確かに循環・調和していたけれど、人がつながることにおいては、ある意味強制的なものだったと言えます。かつての日本の村、地域ではみんなで協力しないと生きていけないという環境背景がありました。

そんなしがらみを経験した人たちが都会に流れてきたとき、そこには地域で住民同士がつながらなくても生きていける、という環境がありました。

そこでつながりをあえてつくろうとしないことで、プライバシーと自由を得てきたわけです。

「パーマカルチャーは日本の文化にも影響を受けている」と宮沢さん

宮沢さん では、あえてアーバン(都会)で、またつながりをつくるってどういうことだって考えると、それは、伝統的なものに戻るのではなく、“喜びと自由を得たつながり”をつくろうということだと思います。強制的ではなく、喜びと自由を持って、つながっていく。

どんなシステム、デザインがあれば、本当に地域の人、都会に暮らす人が楽しくつながれるのか。その実践をこれからおふたりのスピーカーはお話くださると思います。私もワクワクしながら聞きたいと思います。

農業ではないパーマカルチャーの話—シティ・リペアの実践から

さて、ここからマイクを取ったマットさんは、都会でパーマカルチャーの理念を取り入れながらまちをつくり変えるポートランドのNPO「シティ・リペア」の活動事例とともに、20年という月日を経て築いてきた“行政と市民活動を結ぶ取り組み”について語りました。

すぐにレポートをお伝えしたいところですが、まずは、シティ・リペアについての予備知識をお伝えしておきましょう。

「シティ・リペア」とは1996年、ポートランドの建築家マーク・レイクマン氏が始めたプロジェクト。

住民同士をつなぎ直しコミュニティを再構築するプロセスの中で、近所の交差点にカラフルなペインティングやベンチ、掲示板、シェアライブラリーなどを実際につくり出してしまう“インターセクション・リペア(交差点ペインティング)”を実践するなど、「プレイス・メイキング」と呼ばれるその手法が世界中から注目を集めています。

最初に交差点ペインティングがなされた場所の一つ「Sunnyside Piazza」では毎年塗り直しのイベントが開催され、コミュニティに愛され続けている。(写真:佐藤有美)

特筆すべきは、交差点ペインティングを含めたこれらの活動が、「道」や「交差点」といった公共空間を市民の手に取り戻すべく、住民によってゲリラ的にはじめられたということです。

しかし実際にやってみると、コミュニティが強固になり、まちが綺麗に保たれるといったポジティブな効果がありました。そこで、シティ・リペアのメンバーが行政ときちんと掛け合い、今では認可のもと、400以上の交差点ペインティングが存在するのだとか。

行政と市民活動をつなぐポートランドのNPO「シティ・リペア」の活動風景(写真:佐藤有美)

始まりから約20年。現在、ポートランドで有名なNPOのひとつとなった「シティ・リペア」は、行政と市民活動をつなげる大きな役割を持ちながら、前に進み続けています。

都会で豊かにすべき土壌は“コミュニティ”

ここからは再度イベントに話を戻し、シティ・リペアのコアメンバーとして12年に渡り活動してきたマットさんの言葉に耳を傾けてみましょう。シティ・リペアの活動の本質とは?

マットさん 最初に。あらゆるものがつながっていて、循環している、それが僕らの生きている星です。その中で都市は、自然や循環の輪から断絶された環境にあります。

でも、都市で起こる課題に対応するために建物の形を変える、といった対応策をシティ・リペアは提案しているのではありません。また、住民と一緒になにかをつくったり、つくり方のノウハウを伝えたりすることでもないのです。

マットさん 人間は、一人ひとりがクリエイティブなデザイナーであるという素晴らしい資質を持っています。つまり私たちは、すでにある都市の中の機能を再構築することができるわけです。

シティ・リペアは、ひとつの交差点で起こったできごとが自発的に他の地域でも起こり、その効果やインパクトを、もっと都市全体に広めたいという思いから生まれたプロジェクトです。

なので、今回紹介する事例に、同じものはひとつとしてありませんし、それらはどこでも実現できる。そのために必要なもの、豊かにするべき土壌が”コミュニティ”です。

都会に多くあるリソース、それは人でありコミュニティ。それを生かし、そのコミュニティがひとつのものをつくりあげるまでのストーリーに寄り添う、それがシティ・リペアの役割だとマットさんは続けます。

シティ・リペアが実現するまでのプロセスを簡略化したもの。なかでもいつも大切にしているのは、「ポットラック=ご飯の持ち寄り会」。「idea, share, foodは、人を集める強力なツール。食べている間は逃げられないから、こちらの話を聞いてもらうチャンス」なんて話も

マットさん コミュニティをつくり変えるのではなく、尊重しながら、自分がその地域でやりたいことをやる。すると自然と自分のやりたいことに力を貸してくれる余剰物ともいうべき機会や出会いが生まれます。

都市に住んでいる最大のメリットは、いろんなスキルを持っている人が近い存在であること。プロジェクトを実現するために必要なリソースは、都会ほど多いと言えます。

そしてポートランドで起こった幾つかの事例の中には、人々の働き方まで変えてしまったこともあるのだとか。

自然のことを学ぶカリキュラムを教室内で教科書だけで学ぶのはおかしいという PTAの声に対し、父親たちが手をあげ、「アウトドア・クラスルーム」づくりを実施。この活動に魅力を感じたある父兄は、もともとの仕事を発展させ、外教室づくりを本格的に手がけるに至ったそう

マットさん 仕事を辞めたらホームレスになってしまうんじゃないだろうかとか、そんな発想があって、なかなか自分のしたいことに踏み出せないこともあるのかもしれません。でも、こんな例え話があります。

「僕らはロープにつながっているターザンのような存在。そこで一番怖いのはそのロープを離すこと。でもその手を離すと、次につかむべきロープは絶対出てくる。そのロープの先にはコミュニティがあり、そのロープをしっかり持ってくれている」

大事なことは、誰にでも支えてくれるロープはあるということ、そして、今持っているロープを離さないと、次のロープを握ることはできないということです。

「誰かと何かを一緒につくることは、(人類の)DNAに深く刻まれている」と、マットさん。シティ・リペアの活動は、単に街をつくり変えるだけではなく、私たち人間がもともと持っている素晴らしい素質や生み出す喜びを思い出させてくれるもの。マットさんは、実践で得た力強さを持って、私たちにそう伝えてくれました。

さらには、自分たちのつくりたい流れを、行政とともにつくるお話へと続きます。

マットさん わたしたちが生きていく中で、絶対にいいと思ったことを行政や法律に妨げられるのはなんだか違いますよね。

行政を変えようと思ったら、臨界点を超えるような絶対数は必要です。絶対数をつくって、それを目に見えるかたちにして、政策に支持されるかたちで自分たちのつくりたい流れをつくることが大切。

それがパーマカルチャーであり、シティ・リペアだと僕は思っています。

この絶対数をつくるための仕掛けとして実施されているのが、今年で16年目になるVBC(Village Building Coverage)。建物をつくると、コミュニティが生まれる。つくってみんなでお祝いするとコミュニティが深まる。それこそが大事だとマットさんは続けます。

マットさん VBCは毎年6月の10日間に集中して行うお祭りのようなものです。僕らの仕事はそのコミュニティがつくりたいもの、場所に対して、つくり上げるプロセスの旅路をアシストすること。それがシティ・リペアプロジェクトの真の活動です。

たとえば今年のVBCでは、30を超える場づくりの事例が一同に集まったそう。

マットさん この規模になると、かなり行政に対してもインパクトがあります。今は全米中で起こっていますし、ぜひ日本でもインスパイアされていくといいなと思います。

人間はみんなつながりを求めているし、パワーはみなさんの手の中にあり、始まっていると思います。自分自身が美しい素材だという可能性を信じて、必要な助けは求め合って、ぜひ一歩を進んでください。

マットさんから参加者のみなさんへ向けられたのは、あたたかく力強い、未来への希望の眼差し。いつも“人間への希望”を根底に持ち合わせたマットさんの言葉から、読者のみなさんは、何を受け取りましたか?

グリーンズが目指すのは、
みんなが生かされる世界づくり:鈴木菜央

続いて登壇したのは、greenz.jp編集長・鈴木菜央。パーマカルチャーの概念に深く共感し、公私ともに影響を受けているという彼もまた、人が本来持っている可能性を信じてここまで歩んできました。

greenz.jp編集長・鈴木菜央の登壇。このスライド時には、会場中で撮影、メモを取る光景が広がり、共感の輪が広がるのを感じました。

菜央 人は本来、社会課題をすごいスピードでクリエイティブに解決できる力を持っているのに、どうして都会は人の可能性を奪っちゃうような社会なのかなと思うんです。みんなが人生の主役になれるようなそんな活動をしたいなと思い、様々なことに取り組んできました。

ウェブマガジン「greenz.jp」を立ち上げ、NPO法人グリーンズとして「グリーンズの学校」や「green drinks Tokyo」を開催し、さらには寄付会員「greenz people」など、様々なコミュニティ運営をしてきた鈴木菜央。彼の “コミュニティ哲学”は、パーマカルチャーの影響を強く受けているのだとか。

菜央 僕らがグリーンズを運営する上で学んだ哲学はたくさんありますが、そのひとつに“雪の結晶リーダーシップ“があります。コミュニティの中心になって引っ張っていくリーダーシップではなく、本当のリーダーは他の人をリーダーにできる人だと思います。

そして、それは、アーバンパーマカルチャーが言わんとすることに似ているとも感じます。

リーダーを育てられる人を増やす。すると、想いを大事にし合える関係のまま、広がっていく。結果、よりよい社会が広がる。それが僕らのゴールだと思っています。

そして、そんな“ゴール”を見据え、仲間とともに立ち上げたばかりのプロジェクトが発表されました。

菜央 東京アーバンパーマカルチャーのソーヤー海くんたちと一緒に「パーマカルチャーと平和道場プロジェクト」を始めました。果樹園、竹林、広場、畑、作業小屋が揃った2,600坪の土地を、社会をつくる技術を学べる場所にしていこうと大変わくわくしています。

敷地内では様々なワークショップをやりながらどんどん場所を開拓して、マットがやっているJean’s Farmのような素敵な場所にしていく予定です。

パーマカルチャー平和道場プロジェクト。東京から約1時間半、千葉県いすみ市の駅から徒歩8分とアクセスのいい場所に、驚きの広大な敷地。菜央が行って感銘を受けた、オーカス島のブロックスのような場所になる予定。

菜央 ここでは、自分と世界を探求する技術である瞑想やマインドフルネスを学べたり、暮らしをつくる技術として、食べ物をつくること、セルフビルド、DIYなども学べたり。最終的に、地域通貨、マイクロクレジット、コミュニティオーガナイズ、組合など、社会をつくる技術も学べるようにしたいと思っています。

日本中に暮らしをつくり、社会をつくり、ほしい未来をつくる人をたくさん増やしたい。それが僕の思いです。興味のある方はぜひ一緒にチームになってほしいなと思っています。

千葉県いすみ市で産声を上げた「パーマカルチャーと平和道場プロジェクト」。現在、MotionGalleryで立ち上げのためのクラウドファンディングに挑戦中です。プロジェクトの詳細や、鈴木菜央、ソーヤー海さんの想いは、クラウドファンディングのページ内で語られていますので、ぜひチェックしてみてください。

東京から電車で約1時間半。「消費者」から「文化の創造者」になるこのプロジェクトに、あなたも参加してみませんか?

「リーダーを育てる」という視点

3人のトーク終了後はデイライトキッチンによる夕食を囲んだ交流タイム。そのなかで、ポートランドで実際にVBCに参加した佐藤有美さんが語った現地での実感が印象的だったので、ここでシェアします。

この日のメニューは手巻き寿司と、参加者が持ち寄ったポットラック。参加者からギフト形式で添えられたお料理の数々にイベントの暖かさを感じました。

佐藤さん シティ・リペアの立ち位置は、プロジェクトにただ並走したり、代わりにやるのではなくて、次のリーダーを育てるというポジションなんです。

次の年にはもう場を仕切ることができる人が生まれている、つまり、やり方を伝授しながら、人を育てるということ。そのコミュニティの縦の糸と横の糸をどう“編み上げるか”という方法論を教えるというやり方です。

VBCのガイド本を手に語る佐藤有美さん

佐藤さん なので現場は基本的に、そのコミュニティの人たちに任されています。自分たちで好きなように、それぞれの場をつくる。音楽があったり、子どものアクティビティがあったり。お昼になればランチが持ち寄られ、みんなで食べる。

「ペインティング」という簡単な作業をしつつ手を動かしながらも、口を動かしておしゃべりする中で、住民たちがダイレクトにつながっていくのを体感しました。そしていつの間にやら、いつもの交差点に大きな絵ができあがっているんです。

大切なのはペインティング当日だけじゃない。この日に至るまでのプロセスそのものが、一番重要なんですよね。

マットさん、菜央さん、佐藤さんの話に共通するのは、何かを手伝うのではなく、環境を整えることで、次のリーダーとなって活動する人を“育てる”という視点。人の成長がデザインされている環境にこそ、社会を変える力と可能性が眠っているのだと感じます。

参加者それぞれの“まちから起こす、やさしいかくめい”

イベント後半は、参加者とゲストがともに語り合うセッション。参加者からの質問に答えながら、マットさん、菜央さん、それぞれの視点で「まちから起こす、やさしいかくめい」が語られました。

マットさん 世の中のこれからの行き先では、オイルピーク、エネルギー問題など、このままではいけない問題があります。食料問題ひとつにしても、運ぶ、育てるところに関しても化石燃料に頼りすぎている。

シティ・リペアは、ここにくるまで20年かかっていて、冷静に考えるともっとスピードアップしていかないと本質的なゴールには辿り着けない。この5年が勝負だと思っていて、世界中のあらゆる都市が自分たちでいかにローカライズできるかを考えて実行することが必須だと思っています。

今日は僕なりに見てきた光景を話してきましたが、これを皆さんの中でどう形にしていくのか、みなさんに委ねていくしかないと思っています。みなさんが形にしてくれるのを楽しみにしています。

菜央 今、いろんな課題がすごいスピードで育っていて、どうやっていい方向にもっていけばいいのか途方にくれる気持ちになるけど、「知ること」「話すこと」「一緒になにかをつくること」を通じてまわりも自分も変わっていく、そういうことの積み重ねが課題解決の方法なのかなと思いました。

伝えたり、教えたり、みんなをモチベートしていく、マットさんがやっていることは希望のある話だし、僕らのパーマカルチャー道場プロジェクトもそういうことをやっていけたらいいなと思っています。

みんなが学び、実行し、次のステップにいく。結果、そのプロセス自体が豊かな人生だし、新しい人と知り合うことだし、新しいものの見方を得ることにつながっていく。答えはもちろんないけど、大事なことかなと思いました。

ふたりからのメッセージを受け、最後に、ファシリテーターの佐藤有美さんから、参加者に向けて、こんな言葉が贈られました。

佐藤さん シティ・リペアの方法論やVBCはすごいなと思う一方で、これまでにも、わたしたちは日本人として、地域のお祭りをはじめ、盆踊りで輪になって踊ることや、餅つきや流しそうめん、すいか割りなど“食”を真ん中につながること…そういうことを持ってコミュニティを維持してきたことを実感していますよね。

では、日本で、都会で、私たちがこれからどうするか。ただ今日聞いた話の真似をして、交差点を塗ろうっていう話じゃないと思うんです。この長い旅路をどうつくっていくか、プロセスが大事で、それをどうつくろうかということと、どんなやり方でするかということにフォーカスしたい。

日本は今いろんなことが多様化していて、祭りや宗教みたいな拠り所を失って、じゃあなにを中心にやっていくか。今日聞いたことをどう取り込んで、なにをしていこうかと考えるとすごくワクワクするし、私たちがもともと持っているものも大事にして、ぜひ、一緒に”まちから起こすやさしいかくめい”を始めましょう。

最後は大きな輪になって、「わっしょい!」の掛け声

最後に全員参加で集合写真をパチリ

(レポートここまで)

ポートランドのシティ・リペアの実践から、日本で既に始まっている、そしてこれから始まるプロジェクトの話へ、と展開した「アーバンパーマカルチャー・ギャザリング」DAY2。いかがでしたでしょうか。

知ること、話すことから始まる、自由と喜びを持ち参加するコミュニティへ。セルフビルドから、コミュニティビルドへ。それは、難しいことではなく、むしろ都会でこそ実践できること。参加する人、実践する人が増えれば、増えるほど、“まち”から革命は起こっていくのかもしれません。

何かを感じた方、「パーマカルチャー」という言葉が気になってきた方は、東京アーバンパーマカルチャーのホームページや「パーマカルチャーと平和道場プロジェクト」を覗いてみませんか?あなたのすぐ近くで、“喜びと自由を得たつながり”が動き出していますよ。

(photo by arico toyabe)