「いつも」の品で「もしも」の備え。大切なあの人に贈る、無印良品のキャンペーン「ITSUMO MOSHIMO 2012」(後編)

こちらの記事は街をつなぐ防災情報マガジン「Standby」によって寄稿されています。

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無印良品が8月10日から始めた防災キャンペーン「ITSUMO MOSHIMO 2012」。前半ではその企画メンバーの高橋孝治さんに企画背景やプロダクトデザイナーとしての想い、東日本大震災以後の変化について伺いました。

後半では「ITSUMO MOSHIMO 2012」の商品開発で工夫された点やおすすめの商品、そして改めて思う防災への想いについて、聞いていきます。

既存の商品を振り返り、再編集することの大切さ

企画をされた高橋孝治さん(左)と広報を担当されている小塚文成さん(右)

企画をされた高橋孝治さん(左)と広報を担当されている小塚文成さん(右)

緒方 震災を風化させずにという視点はStandbyもとても大切だと思っています。実際にプロジェクトを進められていて、商品開発の視点等なにか変わったところはありますか?

高橋さん 開発ではないですが、「編集」という視点が大切になりつつあるなと感じています。空港のなかに「MUJI to GO」という店舗を出しているのですが、そこは新たに商品開発というよりは、無印良品にある既存商品で旅行にも使える商品群を編集した品揃えの店舗なんです。新しいものを作るというだけではなく、既存品の持つ多様性をお客様に提案することをやっていきたいです。

ごく普通な収納ボックスが、「再編集」で人気商品に。

好評だった「ポリプロビレン頑丈収納ボックス」

好評だった「ポリプロビレン頑丈収納ボックス」

緒方 ちなみに「ITSUMO MOSHIMO 2012」に載っている商品で、おすすめのものはありますか?

高橋 すごく好評だったのは「頑丈収納ボックス」です。これは発売して、しばらく、お客様の反応があまりなかった商品です。きっと、生活の中でいろんな使い方をしてくださっているのではと思いますね。あとおすすめなのが「いつものもしも 風呂敷」です。ふだん使いのイラスト、もしもの時のための知恵がイラストで描いてあります。収納ボックスにしても風呂敷にしても、このようなプロモーションの中だと興味を持ってくださっているんだなと感じています。

実際に備えてみてわかった視点を商品開発に取り入れる。

「ITSUMO MOSHIMO」に載っている、後輩から先輩へ贈る防災グッズ一覧

「ITSUMO MOSHIMO」に載っている、後輩から先輩へ贈る防災グッズ一覧

緒方 他に商品開発で工夫された点などはありますか?

高橋 実際に自分で防災セットを家に備え、検証をしています。72リットルの旅行用のキャリーバッグに妻と僕の分の備えをリュックそれぞれ収めてみました。リュックがちょうど2つ収まるのですごい便利でした。あとは、食のローリングストック法を実践してみました。2人分の3日間の食料は、とても多い量になります。何か減らせるものはないかなと思い、災害時に必要な3日分の食糧を、それまでは1日3食分用意していましたが、2食に減らそうということになりました。

実際に何が必要で、どのように備えたらいいかを可視化することがすごく大切だと思っています。ローリングストック法という食料備蓄法は、いろんなマニュアルやネット等で見ることはありますが、ただテキストで伝えるだけだと実践はできないんですよね。実際に備えてみてわかった視点を取り入れ、無理の無い備えができるようにブラッシュアップをしていく必要があります。また、自分で備えている防災セットも定期的に点検して、必要があればバージョンアップして、商品自体もブラッシュアップしていけると、押し付けがましくならなくていいかなと思っています。

歯を磨くように備えることが当たり前な社会になるといい

MUJI to GOの商品「トラベル用仕分けケース」

MUJI to GOの商品「トラベル用仕分けケース」

入山 新しく始まった、自分のためではなく、誰かのために贈り物をして防災に使えるものをプレゼントする企画がとても素敵だと感じました。この発想はどのようにして出てきたものなのでしょうか?

高橋 プラス・アーツの永田さんが、大切な誰かを思いやる気持ちで、震災への備えをプレゼントできるといいよねと言っていて、それを具現化した形になります。防災に使えるものを贈るということを通して、震災に備えるということがネガティブでなくポジティブに捉えられるようになるといいなって思います。僕が素敵だなと思う言葉は「エチケット」で、歯を磨くことのように備えることが当たり前だし、スマートだと思うような日本になるといいなと思います。

緒方 当たり前のように震災に備えられる、そんな防災カルチャーができると素敵ですよね。改めて企画をスタートされて、防災について問題意識として変わったことや思うことは何かありますか?

高橋 ちょっとしたことでもいいので、将来の震災に備えるための何かを始めて欲しいですね。今回、きっかけという言葉を多く使っていて、何か備えるということに背中を押してあげるようなことができたらと思って企画しました。いきなり防災グッズをフルセットで備えるのだとハードルが高いだろうなと思います。備えて終わりではなくて、何か防災に対してポジティブに捉えられることがみんなに広がっていけばいいなと、いろんな人に備えるキッカケを与えられたらいいなと思いますね。

東北の方々の声も取り入れ、防災を再検証していきたい

緒方 Standbyとしてもちょっとした備えでも始めることができるきっかけを提供できたらと思います。今度神戸で開催される展示について教えてください。

高橋 はい、10月6日にオープンしたデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)に、無印良品がパートナーとして入居する事が決まり、MUJI+クリエイティブスタジオというスペースをオープンしました。そのスタジオのオープニングイベントとして「ITSUMO MOSHIMO 2012」を再編集しました。

また、今後「ITSUMO MOSHIMO」の根幹となる部分の再検証をしたいと思っています。具体的には東日本大震災の被災者の方々の意見をしっかり聞いていこうと思っています。阪神淡路大震災の時と比べ、色んな事が変わっていると感じていますので。

緒方 時代に合わせて再検証していくことはすごく大切なことだと思います。ちなみに、展示以外で今後やっていきたいことはなにかありますか?

高橋 備えのきっかけづくりをしていきたいので、ワークショップも積極的にやっていきたいなと思います。みんなで防災グッズをつめてみて、どれくらいのボリュームや値段になるかシミュレーションができるワークショップなんて面白いかもしれませんね。

緒方 Standbyとしてもワークショップなどオフラインのイベントで防災に触れられる機会を今後作っていけたらいいなと思っています。同じテーマで活動する者として協働していけると嬉しいです。本日はありがとうございました!

高橋 こちらこそありがとうございました!

(前編はこちら!)

(Text:緒方康浩

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