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クリエイターなど自分のプロジェクトをスタートさせたい人はマストチェック!これからの資金調達の形、”Kickstarter”

greenz/グリーンズ kickstarter Hall of Fame

面白いアイデアはあるけれど実現する資金がない!

そんなときにはそのアイデアに賛同してくれる人にお金を出してもらえればありがたいですよね。それが可能になるシステムがいま欧米で広まりつつあります。その中でも最も注目に値するサービスが「Kickstarter」以前取り上げた「iPod nanoを腕時計にする」というアイデアを実現させたのがKickstarterなのです。どうしたらアイデアをKickstarterで形にできるのか、その仕組みを説明しましょう!

アイデアを持つ人が広く出資者を募ってそのプロジェクトの資金を集め、それが実現した暁には製品や利益を還元する。そのような資金集めの方法をファンドレイズといいます。日本ではまだまだあまりなじみのない資金調達手段ですが、海外ではすでにかなり一般的になっています。

Kickstarterの基本的な流れは、何か実現したいアイデアを持った人がそのプロジェクトについてのページを作成、目標金額を決め、動画と文章で自分のプロジェクトについてアピールします。出資金額についても自分でメニューを作成、金額ごとにプロジェクトが実現した場合に得られるさまざまな特典を決めていきます。

アーティストの場合

たとえば、新しいアルバムを製作したいと考えたアーティストのBleuは8,000米ドルを目標額として、次のようなメニューを用意しました。

greenz/グリーンズ kickstarter Bleu

1$:感謝
5$:新譜から3曲をMP3で進呈
12$:リリースの2週間前に新譜のデジタル版をダウンロードできる
20$:CDの実物に加え、2週間前のデジタルダウンロードも可能。
25$:サイン入りCDと2週間前のデジタルダウンロード。
40$:サイン入りCD、デジタルダウンロードに加えてオリジナルTシャツを進呈
50$:40$の特典に加え、Bleuの未発表曲を4曲進呈

だいたいここまでが通常のメニューで、250$まではこれにコンサートの招待、1時間のビデオチャットなどの特典が追加されます。
そして450$になると、なんと!「Bleuがあなたの家でディナーを作ってくれる」特典、550$ではなんと!「Bleuがオリジナルのバースでソングを作ってくれる」特典、650$では「1時間のプライベートライブ」などと続き、1800$だと「スタジオでレコーディング」、2500$で「一生涯ライブ無料」、5000$になるとなんとなんと!「次のアルバムで1曲歌える」という特典がついてくるのです。

ここまで色々なメニューを提案する人はなかなかいませんが、アーティストがオリジナルのバースデーソングを作ってくれて550$というのは安いと思いますし、家まで行って料理するなんていうアーティストとしての活動とは全く関係ないものまで入っているところが面白いですね。

そんなアイデアのかいもあってか、約40,000米ドルを集め、見事目標を達成、しかも5000ドルの出資をした人も出ました。次のアルバムではその方の声が聞けるわけですね!

出資しやすいプラットフォーム

そして、このKickstarterでもうひとつ重要な点は、目標額に到達しなければ出資が得られないという点です。つまり、“all or nothing”

満額得られるか1銭も得られないか。これはプロジェクトを立ち上げる側としては目標額の設定が非常に重要になることを意味します。目標額がプロジェクトが実現できないほど小額では困るし、しかし額が大きすぎると目標が達成しにくくなる。そのため、コストを徹底的に洗いなおして、無駄を省いてプロジェクトが実現できるぎりぎりのラインを算出する必要が出てくるのです。それがプロジェクトが実現する確率を高めているように思えます。

出資する側には「リスクがない」という利点もあります。目標額に到達しなければそのまま出資額が帰ってくるだけですし、到達すれば約束された特典を得ることができるわけですから。それはつまり「出資しやすい」プラットフォームでもあるということを意味します。

親切なユーザーインターフェース

そして、感心したのはプロジェクトを探すUIのよさ。まずトップページに行くと、今オススメのプロジェクトが並んでいます。そこから「Discover」というリンクをクリックすると、「新着」や「人気」のプロジェクトが並び、サイドバーには「人気」「もうすぐ終了」「殿堂入り」といった注目すべきリストの一覧、さらに都市やジャンルのリストも並びます。

しかも、一覧画面で写真と目標額に対して今どれくらい到達しているかがひと目でわかるようになっているのです。

下のメモリのグリーンの割合が多いほど目標到達が近い

下のメモリのグリーンの割合が多いほど目標到達が近い

先日greenz.jpでも取り上げた「iPod nanoの腕時計」は見事殿堂入り、結局941,558$(約7500万円)まで金額を積み上げました。この殿堂入りプロジェクトの中にはgreenz.jpも仲良しの@simplescottオバマキャンペーンデザイン本出版プロジェクトも。84,613$を集めて見事に出版され、greenz.jpも本にクレジットされました!
なんだかうれしいものですね。これがファンドレイズに出資する魅力というものなんでしょうか。

映画を制作する場合

さらに面白いプロジェクトはないかと、とりあえず興味がある「Film&Video」カテゴリーを見てみると、「Linotype: The Film」というプロジェクトが目に付きました。内容を読んでみると、Linotype(19世紀末に発明された印刷版型を作成する装置で現在はほとんど使われておらず、操作できる職人もほとんど残っていない)についての映画を作るプロジェクトだとのこと。出資額は10$から2500$で、2500$出資するとProducerとしてクレジットされるということです。しかも、その2500$を出資している人がなんと3人も!その結果、8000$の目標額に対して24000$以上を集めています。

greenz/グリーンズ kickstarter Linotypw

Filmのジャンルを見ていると、プロデューサーを募るものも多く、その多くが数千ドルというそれなりの高額であるにもかかわらず、応募者が結構いるのです。自分が観たいとか興味がある映画なら多少のお金を払ってプロデューサーになってもいい!という人は意外と多いようです。

日本でもこんなファンドレイジングサービスがあれば、制作費集めに苦労している自主映画制作者ももう少し楽になるのに!などと思ってしまいます。もちろんそのためにはプロデューサーになりたい!と思わせる企画力が必要なわけですが、企画力とアイデアと製作する実力があれば出資を得ることができる、そんなサービスはぜひ日本でも実現してほしいところです。

それ以外では、iPhoneアプリのアイコンをiPhone4対応にするためのプロジェクトというのがありました。これはiPhoneのバージョンアップ後も無料配布を継続するという目的のもので、2,000$の目標に対してなんと27,413$が集まりました。その率1370%!
これなら、これまで制作者のウェブサイトなどで地道に寄付を募っていたフリーソフトの開発者などが多いに利用できそうです。

画像などで詳しく説明、企画者のプロフィールも見られる

画像などで詳しく説明、企画者のプロフィールも見られる

現在のところプロジェクトを立ち上げるにはアメリカ合衆国の銀行口座が必要となっていますが、現在アメリカ国外からでも参加できるよう計画中だとか。ぜひ日本でも利用できるようになってほしいですね!

魅力的なプロジェクトを生み出す可能性が広がる

自分たちで行おうとしていること、”マイプロジェクト”が魅力的であれば、賛同してくれた人々が出資してくれる。その仕組みは誰かの損になるということもなく、自分でアクションを起こせていない人にとっては出資することで貢献でき、さらになんらかの形でリターンを得ることもできる。そして、アクションを起こしたい人にとってはそのチャンスが広がります。

このサービスが広まることで、魅力的なマイプロジェクトが世界中にあふれる日がくるかも!

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