「Twitter」・「Flickr」・「YouTube」といったソーシャルメディアは、いまや米ホワイトハウスにとってすら重要なコミュニケーションプラットフォーム。いつでも誰でも世界中に情報を発信できることから、新しいメディアのカタチとして注目されるようになって久しい。そこで、昨今のソーシャルメディアの具体的な活用例をレビューしつつ、どんなパワーを秘めているのかについて探ってみよう。
ソーシャルメディアの中でも強力なメディアとして注目されているのがTwitterだ。以下の動画で米Clay Shirky氏が語っているように、2008年の四川大地震のとき、地震の発生を世界にいち早く伝えたのは、英BBCや米CNNといった既存のマスメディアではなく、Twitterだったそうだ。インターネットの双方向性が”N(多数):N(多数)”のコミュニケーションを可能にし、ソーシャルメディアという場が生まれたことで、テキスト・画像・動画といった様々な形状の情報を社会的な資本としてネットワーク上で共有できるようになったのは、画期的な変化だといえるだろう。
ソーシャルメディアには、志を同じくする仲間が場所や時差を超えてつながれるという利点がある。100万人以上のユーザが参加する「Social Actions」やエコ生活に関する情報共有メディア「Green Living Ideas」、10代の若者向けの地球温暖化防止アクションサイト「Cool it Schools」は、環境問題など世界が協力して解決すべき課題への具体的なアクションを促すソーシャルメディアだ。このほか、オンラインで寄付を募るサイトも増えている。例えば、greenz記事「この夏、ソーシャルネットワーキングの社会的価値が試される? Summer of Social Good」で紹介した「Summer of Social Good」では、2009年6月1日~8月28日の間、初の寄付キャンペーン で募金活動中だ。同様の寄付サイトとしては、日本にも「チャリティ・プラットフォーム」がある。
草の根メディアであったソーシャルメディアは政治にも活用されている。米ホワイトハウスは、オバマ政権誕生後「White House 2.0」を立ち上げ、国民との幅広い意見交換に活用しているし、日本でもYouTubeで政党が動画を配信したり、政治家がブログで活動状況を報告するケースが増えてきた。「Google未来のためのQ&A」、「Yahoo!Japanみんなの政治」や「楽天Love Japan」など、既存ポータルサイトでも政治専門チャネルがリリースされている。
一方、ビジネスでもソーシャルメディアを取り込む動きが見られる。greenz記事で取り上げた「Green Entrepreneur」や「IDEA INDEX」、「Green Challenge」は、ソーシャルメディアが社会起業家にとっての新しい表出の場として活用されている例だ。日本でも「セキュリテ」など社会起業家と投資家をつなぐプラットフォームが立ちあげられている。さらに、「getsatisfaction」など、企業と消費者・市民とつながれるプラットフォームが誕生したり、「SocialYell」や「Greenwashing Index」などのように、ソーシャルメディアが第三者機関的な役割を果たし、企業の社会的責任や公正性をモニタリングする例も多くみられる。
オンラインのコミュニケーションがリアルな場に発展するケースもある。代表例は2009年2月にTwitterが主催したチャリティイベント「Twestival」だろう。「charity: water」という慈善団体への支援のため世界200以上の都市で様々なイベントが開催され、以下の動画で報告されているとおり、2009年4月には、このイベントの収益金でエチオピアに井戸が設置されたそうだ。
Twestival Well Drilling – Day 1 from Ethiopia – charity: water from charity: water on Vimeo.
ソーシャルメディアを通じて個人が世界に向けて情報を発信することができるようになり、中央集権的な社会・組織のあり方からフラットな世界へと徐々にパラダイムシフトが起こっていると分析する人もいる。いずれにしろ、人のコミュニケーションやつながり方がダイナミックに変化しているのは間違いなさそうだ。クリックひとつで世界が変わる…!ソーシャルメディアを自分のメディアとして活用し、一人ひとりがアクションを起こすことで、よりよい世界につなげることができるだろう。
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