カルチャークリエイティブ

街中に突然あらわれたゴールサイン。日常をエンターテイメントにする仕掛け人Improv Everywhere

熊谷 桃子 2009/03/06



goal-sign街を歩いているところ、こんなゴールサインに遭遇したら、あなたはどうしますか?

カナダ国旗を振ったりゴールに近づく人たちに声援をおくっているのは、Improv Everywhereのトロント支部のメンバーたち。これはいったい何のイベントなのか?


Improv Everywhereは、公共空間で即興演劇を繰り広げるグローバル集団。米国、カナダ、英国、オーストラリア、フィンランド、ギリシャ、ポルトガル、フィリピン、インドネシア、シンガポールなどに拠点がある。彼らにかかれば、無感動な街の一角も、たちまち非日常的なシーンやカオスの場所に早変わり!居合わせた一般の人たちも、即興演劇のアクターに変貌してしまう。

Improv Everywhereトロント支部のウェブサイトには、こんなミッションステートメントが記載されている。

自分たちがつくりあげた「その日」が、人々にポジティブな影響をおよぼす。それが楽しくて、こんなことをしている。我々のミッションは、自分たちの活動の参加者、つまり、その場に居合わせた人々や、このウェブサイト上で自分たちの活動について読む人々を楽しませるエンターテイメントの源であること。
我々の喜びは、頭に浮かんだすごいアイデアに命を吹き込むことにある。その過程で、何の変哲もない風景に興奮をもたらしたり、見ず知らずの人々が生涯を通して人に話したくなるような話題を提供している。

Improv Everywhereはこれまでも、No Pants(メンバーがズボンやスカートをはかずに地下鉄に乗ったり街を歩いたりする)、MP3(メンバーがiPodやウォークマンなどで同時に共通の音楽を聴きながら同じ空間でダンスする)、Frozen(メンバーが同時に1分間身動きを停止してその場でフリーズする)などのパフォーマンスで話題を呼んできた。ニュースになったこともしばしば。そのいくつかは以下の動画で見ることができる。


Improv Everywhere Press Reel from ImprovEverywhere on Vimeo.

ちなみに、最近のパフォーマンスは、地下鉄の長いエスカレーターで人々にHigh Five(お互いの手のひらをパチンと打ち合わせる挨拶の行為。喜びを分かち合う場面で使われることが多い)するというもの。

ともすると集団の悪ふざけと受け止められてしまいそうなパフォーマンス。でも、その場に居合わせた人たちのにこやかな表情を見るかぎり、迷惑行為ではないように思う。都会では、他人に囲まれて暮らしているように感じてしまうことがある。そんなとき、Improv Everywhereの即興演劇に巻き込まれると、人々は興奮と混乱を通じて、そこに居合わせた他人との間に、“私と彼ら”ではなく“我々”という関係を体感するのではないか。

その共有・共感の場では、人々はきっと人種も国籍も宗教も世代も超えて一体感を味わえる。

そんなふうに人とのつながりを感じる瞬間は、地球意識を育むために必要な要素であり、今の社会で失われつつあることのように思う。

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ライター紹介
熊谷 桃子

熊谷桃子(Momoko KUMAGAI)。子供の頃の夢は獣医になること。その夢の実現を目指して15歳でオーストラリアに単身留学。大学入学後、自分は理系ではない、と悟る。同時に、環境・社会問題に興味があることに気づき、環境生態学を学ぶ。卒業後帰国し、国連大学インターン、国際協力NPO職員、環境・CSR経営コンサルタントなどを経験。2006年末、チェコ共和国の世界遺産都市チェスキー・クルムロフを訪れ、その美しい街に恋に落ちる。帰国直後に見つけたチェコ共和国大使館の奨学金に応募・合格し、2007年10月よりチェコ共和国カレル大学に留学。チェスキー・クルムロフにおけるコミュニティ発展および欧米におけるコミュニティ・スクール活動について学ぶ。現在に至る。帰国後は、『地域』を『コミュニティ』に変える組織の設立を目指す。人生の目的は、自分の強みを活かして社会に貢献すること。