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【Bioneers 2008(6)】2日目レポート!

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ジャニン・ベニュス

いよいよエコスゴイパイオニアが3000人も集まるBioneers カンファレンスが終了!いつになく大きな転換期にある今、現場ではどんな空気が流れていたのか、速報レポートします。関連記事はこちら!

こんにちは!greenzクリエイティブディレクターのYOSH@北カルフォルニアです。さっそく二日目のレポートをお送りします。

今日のオープニングは、『11th hour』で印象的な言葉を残したイロコイ族のチーフ、オレン・リオンズ氏。「現代文明は何よりスピリットを殺している」「戦争をする贅沢はもうない」。渋い語り口から紡ぎだされる一語一語が、じーんと心に響きました。


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左:デヴィッド・オー 右:デューン・ランカード

朝のチューニングが終わって、ジャナン・ベニュスが登場!Bioneersの常連であり、今回は月曜日にバイオミミクリにフォーカスした一日のセッションも開催されます。

バイオミミクリは自然からインスピレーションを受けて、サステナブルなデザインに応用する技術イノベーションのこと。世間を騒がしたあのレーザーレーサーも、実はバイオミミクリの手法で開発されたのをご存知でしたか?自然から学んだ事実を化学に応用する「グリーン・ケミストリー」も世界的に広がりつつありますが、循環型社会のリアリティを内包したエポックメイキングなコンセプトだと思っています。

二酸化炭素を固定して生分解性プラスチックをつくったり、光合成を応用して太陽光パネルを開発したり、数十もの豊かな事例は物質主義の延長にはない未来の生活を物語っていました。

そして、生物の百科事典プロジェクトEncyclopedia of Lifeとも連携したAskNature.orgがまもなく公開!人類の責任と可能性として、確実にバイオロジーの時代へ向かってますね。


アショカ財団フェローでもあるデューン・ランカード氏は、アラスカのイアット族の出身。「Non-profit+for-profit=social profit」という彼の言葉は、greenzとbiopioの関係をうまく表現していて、すっと応援された気がしました。


続いてのデヴィッド・オー氏は、気候変動の重要な論客。彼が取り組んでいるのは、次の大統領が就任100日以内に取り組むべき方法をまとめたPCAPというイニシアチブで、大きなムーヴメントになりつつあります。他にも「軍事産業に100%の税金を」「広告に課税せよ」「未来の世代の権利を」といったアイデアはどれもスカッとする提案!まるでギグのような爽快なセッションでした。


そして『ディープ・エコノミー』も翻訳されている文筆家にしてアクティビスト、ビル・マッキベン!「+2度」が気候変動のティッピングポイントであることが知られつつあるからこそ、次の数字として大気中の二酸化炭素濃度を「350ppm」に抑えようという、350という数字を広めるというアクションを始めています。

会場ではCOP14が開催されるポーランドに次期大統領を派遣しようというケータイキャンペーンを募っていましたが、いろんなメディアの天気予報で大気中の濃度がレポートされるくらいに、この数字が根付くといいですね。(ちなみにメンバーの一人がgreenzを訪ねてくれて、今サンフランシスコの宿をお世話になっています)


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左:グレッグ・ワトソン 右:サンドラ・スタイングラーバー

グレッグ・ワトソン氏は再生可能エネルギーのスペシャリスト。相互依存する社会で様々なインパクトを想像するシステム思考で考えると、おのずと持続可能な社会につながっていく。「思ってるより、はるかに多くのオプションがある」という言葉で締めくくりましたが、ファーマーズマーケットがここ数年で顕著な伸びを見せていたり、小さな動きの積み重ねが川のように大きな流れにつながるを再確認しました。


この日のトリは、21世紀のレイチェル・カーソンとも呼ばれるサンドラ・スタイングラーバー氏!柔らかな語り口で最後は会場が総立ちでした。彼女は今まで3つの賭けをした、と語り始めます。

30年前にガンを告知されたとき「ガンは遺伝的要因ではなく、環境的要因ではないか」。生物学を学ぶ学生のとき、「エコノミーとエコロジーが壊れるとしたら、先にエコロジーが壊れる」。そして子どもができたとき、「子どもが大人になるときには、有害物質がまったく社会になっている」。

一つ目の賭けは正解、二つ目の賭けは「両方とも壊れかけている」ということで間違い。では3つの賭けは?「これは賭けではなく願いです。そして、きっとそうなるでしょう。」この強い願いがあれば、きっと願いは叶うでしょう。


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各会場はレイチェル・カーソンテントなど重要人物からネーミング

続いて、午後の分科会もざっと紹介します。

“iTube, YouTube, WeAllTube: Digital Media and Distribution Innovations”は、みんながメディアを持つ時代だからこそ、傍観者ではなく問題解決者になろうという力強いメッセージ。よく聞くことだけど、メディアの新旧関係なくビジョンが一致団結していて、どこかうらやましいのは気のせい?11th hourのレイラは、なかなか社会的インパクトを与えるためのプロジェクトにお金が回っていない現状を訴えながら、長い視点でアクションを応援する支援を「ヴィジョナリー・マネー」という言葉で表現していて、なかなか言い得て妙なフレーズ。

“Encyclopedia of Life: The Web of Life Meets the Worldwide Web”は、TEDプライズによって実現したもの。パネリストのイザベラ・カークランド氏が「こういったリソースに触れることで、表現が広がっていく。」と言ったのはまさにその通りで、集めた知恵を土台に、新しい価値観が開かれていくのはワクワクしますね。今やシチズン・サイエンスの時代、単なる科学的な実態調査ではなく、社会変革のプラットフォームとして、ますますウェブサイトがこなれてきました。

他にも、グリーンビルディングに定性的な評価を加える運動や、アショカ財団が始めて間接的なビジネスであるメディア企業(環境コンテンツの映像プロデュース)に支援を始めたり、ブラックからグリーンへの変化からもう一歩進んだ取り組みが、いろんなところで萌芽しているのを実感しました。


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ブックショップには重要な本が勢ぞろい!ビーガン料理は、ベリーのスムージーがおいしかった

最後に「株価が下がったあの日は、どの新聞も頭を抱えて叫んでる写真が一面を飾っていた。それはまさに古いパラダイムが崩壊した音なのよ!」とは、ジャナン・ベミュスがこの日の冒頭で語った言葉ですが(えいやの大歓声!)、このことと大統領選挙について、こちらに来てからずっと考えています。

金融危機については、いろんな意見がある。痛手を負った方も多いですし、手放しに喜べるものではないでしょう。結局は今の時代と自分をどう照らし合わせるのか、これからのひとつひとつの選択が大切でしょう。greenzもわざわざグリーンと言わなくてもすむような、エコスゴイ時代になるのかも踏ん張りどころを意識して、11/4の選挙を待ちたいと思います。

3日目に続く!