\新着求人/地域の生業、伝統、文化を未来につなぎたいひと、この指とまれ!@ココホレジャパン

greenz people ロゴ

「Water Planet 2008」イベントレポート! 「川ガキのいるところ」スライドトークイベント&「Sustainable Japan2008

wp_main.gif

8月にスタートした水のえらび方を考えるキャンペーン「Water Planet 2008」も、先日無事に主要イベントを終了しました。その間に開催されたイベントの中から、「川ガキのいるところ」スライドトークイベントと朝日新聞社主催シンポジウム「Sustainable Japan2008」のレポートをお届けします。

「川ガキのいるところ」スライドトークイベント

kawagaki.jpg

8/30日にデザインハブで開催されたのが、川ガキ写真家村山嘉昭氏をお招きしてのトークイベント。ミッドタウンガーデンでの野外展示の水際で、子どもたちが無邪気に遊んでいる風景も印象的でした。

家から川にそのまま遊びにいける子どもたち – 村山さんは川ガキをこう定義します。「言ってしまえば、キャンプなんかで川に遊びに来る子どもたちは川ガキもどきなんです(笑)」

そんな地域に根ざした川には、さまざまなローカルルールが存在します。名札を掲げて誰が来ているかわかるようにしたり、赤い印が出ていたら危険!というメッセージだったり。それでも川ガキはルールを飛び越えて、背が伸びるたびに自分だけの遊び場を見つけていきます。

足の届くようになった岩場やちょっと高いところからの飛び込みスポット、遊び場の変化が成長の証となる。年少組がうらやましそうに目で追っている。そんな世代間の交流が、写真にはいきいきと収められています。

wp_kawagaki.jpg
“(c)村山嘉昭(川ガキ写真家)”

スライドでは村山さんが好きな川がたくさん紹介してくれました。徳島県日和佐川、熊本県嘉島の湧水公園の魚のいるプール、どぶ川から二十年かけて緑が戻った東京の野川。同じ場所で撮り続けるからこそ、感じている変化があるようです。次第に聞こえる「昔は良かった」という声。

村山さんはよく「川ガキは絶滅危惧種」と言います。ひとつは川で遊びことが学校で禁止されたり、キレイな川が減ってきていること。そして、漁業組合が協力して子どもが自由に川で魚を採ってもよい「解放区」をつくった高知県の安田川や、高校生がアルバイトで見張りをする四万十川のような事例もありますが、多くの川では、関心が一部の人だけのものになって忘れられていったからです。

そのために「子どものときから川の思い出をつくることが重要なんだ。」と村山さんは言います。体で覚えたことは忘れない。川ガキたちももちろんテレビゲームに熱中するけど、夏になれば川に出かける。「そっちの方が面白いものがあることを彼らは知っているから。」

「写真を撮ることが川遊びなんです。」遊び仲間にしか見せない、子どもたちの本当にはしゃいだ笑顔に、水の恵みの気持ちよさがそのまま表れているようでした。


「Sustainable Japan2008」

sympo.jpg

9月15日(祝)には、朝日新聞社主催のシンポジウム「Sustainable
Japan2008」が開催されました。基調講演は、海洋冒険家の堀江謙一さん。御年70にして今年も波の力だけでハワイから日本まで6000kmを航海してきたという強者です。

No Passport, No English, No Moneyでサンフランシスコへ向かった航海など、ユーモア溢れるかつての伝説的なみやげ話に、会場のお客さんも身を乗り出して聞いていました。より高い目標に向かっていく飽くなき冒険心は、壮大すぎる自然に向かっていく、人間の小さくとも尊大な誇りを感じさせました。

続いてのパネルディスカッションは、「水をえらぶ暮らし」がテーマ。パネリストとして水文学の沖大幹さん、イラクやアフガニスタンなどで水を含む様々な支援活動を行うピースウインズジャパンの大西健丞さん、サステナビリティコンサルタントの足立直樹さん、そして消費者代表としてアイドルの八田亜矢子さん。モデレータはThink the Earthの上田壮一さんです。

沖さんは、専門であるバーチャル・ウォーターから世界で起こり始めている渇水から洪水まで、水を考える様々な切り口を紹介。中国の古い言葉「飲水思源」(水を飲むときは、どこから来た水なのかを必ず思う)を借りて、「飲食思水」(何かを食べるときにはバーチャルウォーターのことを思う)が大切だと締めくくりました。

また、大西さんは、アフガニスタンでのタリバンとの交渉など日本にいたら想像できない、水問題を解決するための現地の取り組みを生々しく解説。その土地に実際にどれくらいの水があるのか予測が立てられる水資源調査に注力しつつも、情勢に左右されるもどかしさにも触れていました。

足立さんは企業のCSRで水の保全に取り組む事例を紹介。同じ水を使い続けるキヤノンの工場や、従来の1/6の使用量で済むTOTOのトイレなど、技術による対策の有効性を感じさせるものでした。

続いてのパネルディスカッションでは、八田さんが実際に、何が出来るのかという生活者の目線で専門家に質問していきます。水の地産地消や水を巡る紛争など、さまざまなキーワードが出ましたが、再確認したのは日本は水が豊かな土地である、ということ。

「湯水のように」「水に流す」など日本語にも染み入って、打ち水など日本らしい生活の知恵がある。その土地柄によって水を大切にする方法は本当に多様です。例えばピースウインズジャパンのように、水文学によって水資源が少しずつ明らかになると、次の年を見越した対策ができるようになる。「水の問題は、解決できる問題なんです」という沖さんの言葉が印象的でした。


この夏Water Planet2008に参加して感じた、自分と水の関係のさらなる変化。greenz.jpでも「水」についての記事を書くためにリサーチする中で、たくさんのポジティブな可能性を発見しました。

「水」と言っても、まだまだ大きいことではありますが、気候変動、生物多様性、エネルギーと並ぶ根本的なトピックとして、引き続き発信してゆきたいと思います。