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私たちが考えるこれからの選挙の形。One Voice Campaignによるネット選挙を解禁する公職選挙法改正案を解説!!

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こんにちは、ネット選挙運動の解禁を目指すキャンペーン「One Voice Campaign」の江口晋太朗です。

12月の衆議院総選挙が終わり、新政権が誕生しましたね。

ネット選挙に関する意識も日に日に高まり、ついに与党である自民党含めて多くの政党が一丸となり、ネット選挙運動の解禁に向けて大きく動き出しているのを、ご存知でしょうか?

今がネット選挙解禁の大チャンス!

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つまり、私たち一人ひとりの声とアクションによって、ネット選挙運動の解禁へと政治が動き出したのです。大げさに言えば、日本の政治の歴史を変える可能性がある大きなチャンスなのです。

そんな機会に、市民からも公職選挙法改正案を提案するべき!というわけでOne Voice Campaignでは、公職選挙法改正案をつくってみました。

公職選挙法」とは、簡単に言うと、私たちが政治家を決めるための選挙に関する法律です。その改正案である「公職選挙法改正案」は、その法律を今の時代にあったものにアップデートしようよ、という提案なのです。

ぜひみなさんに読んでいただき、気になったことなどをこの記事にコメントしてください。

とはいえ、「公職選挙法改正案」そのものは、法律として書かれていてわかりにくいので、改正案の考え方(理念と論点)について整理した上で、専門家による解説をつけて紹介します。

解説をお願いしたのは、One Voice Campaignのメンバーでもあり、今回の法案作成で中心となった谷本晴樹さん(尾崎行雄記念財団主任研究員)です。

尾崎行雄記念財団主任研究員の谷本晴樹さん

尾崎行雄記念財団主任研究員の谷本晴樹さん

長いですが、大事な話なのでぜひ読んで下さい!

公職選挙法改正案の考え方(理念と論点)

インターネットの利用が規制される「文書図画」を例外に

現在の公職選挙法は、選挙期間に使用できる文書図画(候補者の名前や名前を連想させるものを表示するもの)をハガキやビラなどに限定し、また枚数まで定めています。ホームページやメールもその文書図画にあたるとして禁止にされています。そこで、インターネット関連のものは「禁止の例外」にしようとしました。ここは昨年まであった自民党やみんなの党の改正案と同じです。これによってソーシャルメディアを含めたネットの利用は自由になります。

車上や演説会の告知などでもインターネットを利用可能に。

ネットが自由化されても、実際には活用を邪魔する条文もあります。その一つに車上での選挙運動の禁止があります。この条文があるために車上では候補者の名前をひたすら連呼する、という行為しかできないのです。そのため、この条文を削除します。また、演説会の告知も現在の法律では手段が限定されています。そこで、ネットで自由にできるようにしたいと考えています。

公開討論会の開催を可能に

いまの法律では、討論会自体も開かれる限定されています。しかし「誰でも自由に討論会を開いて、誰でも自由に告知できる」状態がいいのではないでしょうか?討論会は、実際に直接候補者の主張を比べる絶好の機会です。第三者として誰でも討論会を企画開催し、そこに議員を集めて議論をさせたり、その企画をネットで告知したり動画も中継できるようにしたいと考えています。

政見放送のインターネットでの動画配信を可能に

いまは昼間の時間帯でしか選挙活動をおこなえません。また、テレビなどでの政見放送も放送される時間が決まっています。仕事を持っている有権者はなかなか見ることができません。また、Youtubeなどで政見放送が放送されているのは、本来、公職選挙法違反として問われるものなのですが、実際には検挙が追いついていない状況です。

そもそもとして、候補者や政党の主張をじっくり吟味するという意味においては、政見放送は大きなツールです。ですので、これを「候補者」ではなく「有権者」本位のものにすべきです。政見放送をネットで流すことができるようになれば、誰でも自分の都合に合わせて政策を見比べることができますし、候補者にとっても自分の主張をより多くの有権者に届けることができるようになるはずです。

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当選後のインターネットでのお礼などを可能に

いまの公職選挙法では、候補者が当選した際におこなわれる「お礼のあいさつ行為」(ホームページやブログなどで、当選させていただきありがとうございます、という表明をすること)が禁止されていますが、これをインターネットでおこなうことはなんら問題ないと思われるので、こちらも解禁したいと思っています。

インターネットでのパンフレット・書籍の配布を可能に

これもまた、インターネットが自由化したとしても活用が邪魔されている条文なのですが、公職選挙法はパンフレット・書籍の配布できる場所を選挙事務所などに限っているんです。おかしいですよね? ネットであればPDFなどのデータをウェブ上で公開し、誰でもダウンロードや印刷をおこなうことがすることができます。今でいえばkindleでゼロ円で販売だってできます。

候補者の意見に賛同したり、協力したいと思った人、あるいは資料にしたい人も、自由に再配布できるようにした方が良いと思います。より候補者の意見を広く多くの人たちに届けることができますし、有権者としての能動的な活動を支援する一つの手段になると考えます。

メールでの選挙運動を可能に(ただし、拒否する人に送ってはならない)

メルマガなどで日頃の政治活動を発信する議員も多く増えました。有権者にとっては、これらも貴重な情報源です。しかし、現在の公職選挙法ではメールが使用できません。そこで、選挙期間でもメールを使用できるようにします。しかし有権者としては、あまりにメールの頻度が多かったり、気が変わっても送られ続けると困ります。そこで、受信する側が拒否をした場合はそれに従う、という形を提案します。

有料広告の禁止

インターネットが使えるようになっても、選挙にお金がかかることは間違いありません。ところで、昨年の衆議院選挙ではネット上に各政党の広告が大々的に展開されていたことに違和感を持っていた人も少なくないと思います。選挙ではインターネットが使えないと、あれほどニュースになっているのになぜ、と思った人も多いと思います。

これらは公職選挙法が規制する「選挙活動」ではなく「政治活動」という理屈なのです。しかし有権者にとってはどちらも同じようなものです。これでは、資金力によって選挙の差が出てしまい、公平な選挙、という公職選挙法の趣旨に反していると思います。そこで有料の広告を規制するべきだと考えました。

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落選運動は責任者の連絡先を明記

アメリカや韓国などでは、すでにネット選挙がおこなわれていることをご存知の方も多いと思います。そこで問題になるのは、ネガティブキャンペーンなどの落選運動です。匿名などによるネガティブキャンペーンによって、誹謗中傷が飛び交っては真っ当な政策議論がおこなわれません。

そこで、政治家を応援するようなポジティブキャンペーン、もしくは落選運動など議員を批判するキャンペーンそれぞれとも、活動の責任者のメールアドレスなど連絡先を明記することを義務づけることにします。これによって、責任の所在を明確にすることができます。選挙は政治家だけが作るものではなく、私たち有権者も同時に作っていかなければいけません。

成りすましなどに虚偽表示罪を適用

もちろん、誹謗中傷などの行為や、議員など特定の個人に成りすましてデマを流す人もでてくると思います。そこで虚偽表示罪を適応し、2年以下の禁錮もしくは30万円以下の罰金を科すことにします。こちらは、すでに自民党が提出している公職選挙法の改正案にも盛りこまれており、それらを踏襲しました。

誹謗中傷に対するプロバイダ等の削除義務を7日以内から2日に短縮

それでも、ネット上に嘘やデマが掲示板などに書かれることもあると思います。もちろん、いまのままだとデマが書かれても候補者側はなにも反論できません。つまり、ネット選挙運動が解禁になることで、こうしたデマに対して候補者はオンラインの上で反論することができます。自分の真実を自身のホームページなどで明記し、デマに反論できる一つのツールになるのです。

同時に、そうしたデマが書かれた掲示板などに対して削除要請を候補者はすることができます。削除依頼は、これまでは7日間以内に書き込みをおこなった人から削除の同意をしない旨の回答がなかった場合、その箇所を削除することができます。しかし、7日間という時間は短期決戦の選挙においてはあまりに悠長なものです。

そこで、7日間から2日間にすることで迅速な対応をおこなうことができます。もちろん、なんでもかんでも削除しては表現の自由が脅かされますので、「真実に反する誹謗中傷で選挙の公正を邪魔するもの」のみの削除をおこなう、という規定も忘れてはいけません。

投票について、自書式から記号式(○(マル)を付ける方式)に変更

投票方法に関する議論も公職選挙法にはあります。現在の選挙では、直筆によって候補者の名前をしっかりと書かないと無効票になります。そして、現段階で多くの書き間違いなどが発生している状況があります。そこで、名前を直筆で記入する方法から候補者の名前の一覧から◯をつける記号式へ変更し、書き間違いや集計の簡素化を目指したいと思います。

これによって、人件費の削減や集計結果の効率化が図れれます。選挙にかける予算を短縮することも、国の税金を効率よく使うという意味において大事な視点です。また記号がネットと相性がいいことは、言うまでもありません。これは将来のネット投票を見越しての規定です。

「私たち」でつくる、これからの政治との関わり方

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以上が、今回One Voice Campaignが掲げる公職選挙法の改正案の論点です。いかがでしたか?

この法案は1から私たちが作ったものではなく、すでに自民党やみんなの党などから提出されている法案をもとに議論し、それらの中から、「私たちにとって真に必要なものはなんだろう?」ということを考えながら作成した、可能な限り理想的で現実的な法案として作りました。(自民党、みんなの党の改正案との比較表はコチラ

もちろん、私たちはこれで公職選挙法が完璧だとも思っていません。ここで提案したいことは、誰かがつくったものをそのまま受け入れるのではなく、政治家や行政に関わる人たちもわたしたちも、一緒に議論しながら政治をつくりあげていく。それが民主主義だと思います。

自分たちでこれからの社会をどうしていきたいのか、日々の生活をどう生き、どう暮らし、どう世の中と向き合っていくか。インターネット選挙運動の解禁は政治の一つの手段であり、そこから身近な問題について向き合い、考え、行動していくことが大事なのです。

みなさんのコメントをお待ちしています!