『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

学生が考える「スマートライフ」とは? デザイン界の「金の卵」によるアイデア満載の展覧会が開催中

greenz/グリーンズ 金の卵 トップ

現在、六本木のアクシスギャラリーで「金の卵 オールスターデザインショーケース」という展覧会が行われています。この展覧会は毎年テーマを設けてデザイン系の大学3年生と大学院生に作品を作ってもらい、その中から優れた作品を展示するというもの。7回目を迎える今年のテーマは「スマートライフ ―エネルギー再考」。

「あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア」を探すgreenz.jpとしてこれは見逃せない!ということで、どのようなアイデアが出てきたのか見てきました。

18の大学から34の作品が出展されているこの展覧会ですが、加えて大学として取り組んでいるプロジェクトも3つ展示されています。その中の一つで会場でもひときわ目につくのが千葉大学の「植物工場」。実際の植物工場プラントが展示されており、それぞれの野菜に適した波長の光で照らされているのでなんとも近未来な感じです。

greenz/グリーンズ 金の卵 植物工場

「サブウェイ野菜ラボ」など店舗内に植物工場を設けている飲食店もあり、植物工場自体はそれほど珍しいものでは無くなって来ました。しかし、ここで注目したいのはこちら。

greenz/グリーンズ 金の卵 野菜ブックエンド

なんと、ブックエンドの中で野菜を育てています。千葉大学では家庭用の植物工場の開発を行なっており、その内の一つとして研究されているのがこのようなインテリアになるプラントです。こんな隙間家具ならぬ隙間植物工場なら一人暮らしの人などでも導入しやすいかもしれませんね。

さて、今度は学生の作品の中から面白そうなものを見て行きましょう。まずは日本大学の前田紗希さんの作品「L.O.L(Laughs Outlet Loud) エル・オー・エル」をご紹介。こちらはさすだけで使用している電力と電気代を表示できるコンセントタップ。似たような製品はすでに商品化されていますが、こういうシンプルなものにこそデザインの力が必要なのだろうと実感した作品でした。デザインは人それぞれに好みがありますが、私はこのデザインならつけてもいいかなと思いました。実際に節電に効果もありそうだし。

greenz/グリーンズ 金の卵 L.O.L

続いて筑波大学の西村渉さんの作品「箱戦記」。こちらは通信販売が盛んな今、梱包材となるダンボールがモッタイナイ!ということで、その問題に目を向けてもらおうと考えた作品だそうです。内容はというと、この「箱戦記」の参加者は一定の規格に基づいて通信販売などに使う箱を製作、それを流通に乗せてどれだけ使われたかを競いあうゲームだそうです。

箱をどうデザインするかということもそうですが、流通のあり方というプロセスをデザインし直すという視点が非常に面白いし、そこにゲームを持ち込むというのもいい着眼点ではないかと思いました。実際に機能させるためには色々と工夫が必要かと思いますが、なんだかわくわくするアイデアでした。

greenz/グリーンズ 金の卵 箱戦記

次は、東北芸術工科大学の大屋彰さんの作品「Under the White」。こちらは、東北の豪雪地帯の冬のレジャーとして「越冬野菜狩り」というものを提案しようというアイデア。雪の下で冬を越す越冬野菜を植える際にあらかじめICタグをつけておき、冬に写真のようにかんじきにセンサーを付けるなどして宝探し感覚で野菜を掘り出そうというものです。出展者から話を聞けなかったのが残念でしたが、農業とレジャーを結びつける面白いアイデアではないかと思いました。

greenz/グリーンズ 金の卵 Under the White

34の作品の中には「これはちょっと無理なんじゃ…」と頭をかしげるものもありますが、キラリと光るアイデアもありました。其々の作品は実際に目で見てもらえればと思います。

キュレーターの佐野恵子さんも

変わりゆく社会の中でデザイナーがどのような役割をはたすことができるのか。社会を俯瞰してデザインに何ができるのか。そのようなことをじっくり考えることが出来るのは学生の間だけなのだから、ぜひ考えて欲しい。

と話すように、学生時代にこのようなことを考えることがきっと社会に出てから生きてくるのではないでしょうか。そして、アイデアとしても今は実現不可能なものでも近い将来にはもしかしたら可能になるのかもしれない、そのような可能性も感じさせてくれる展覧会でした。

「第7回 金の卵 オールスターデザインショーケース」

期間:2012年8月30日(木) ~ 9月9日(日)
時間:11:00 ~ 20:00 (最終日は17:00まで)
会場:アクシスギャラリー
入場料:無料

参加大学(五十音順)
岡山県立大学/金沢美術工芸大学/札幌市立大学/静岡文化芸術大学/首都大学東京/情報科学芸術大学院大学/女子美術大学/千葉大学/筑波大学/東京造形大学/東北芸術工科大学/東北工業大学/富山大学/長岡造形大学/名古屋芸術大学/名古屋市立大学/日本大学/法政大学/武蔵野美術大学/明星大学 ほか

出品学生によるプレゼンテーション(入場無料、予約不要)
9月1日(土)14:00~
9月4日(火)18:30~
9月6日(木)18:30~
会場 シンポジア(AXISビル B1F)