みなさんのお家にある器は、何でできていますか?そしてどこで、どんなふうに作られているか知っていますか?
今日ご紹介するのは、材料はすべて自然のものを使い、さらに製造プロセスもオープンにしていこうという新しい発想のデザインプロジェクトです。
「Autarchy」と名付けられたインスタレーションで発表された、この器のポイントは3つ。
1つめは材料。内訳は、オーガニックブレンドの小麦粉70%・シリアル等を作る過程で出る農業廃棄物20%・石灰石10%となっています。
小麦粉が主な材料って、すぐに壊れそう…。と心配になった方もいるかもしれませんが、これらは松ヤニと天然ゴムにでコーティングされていて、耐久性、防水性にも優れているそうです。ただ、スープなど、あまりに水分たっぷりのものにはちょっと不向きだそうなので、サラダや煮物などを入れてみましょう。
2つめは着色。この見た目も美しいナチュラルな色は、ほうれん草やシナモン、パプリカなど、すべて野菜とスパイスで着色されています。
そして3つめのポイントは、この器は生分解できる性質であること。微生物の働きにより、捨ててもしっかり自然にかえります。
材料、つくる過程、使わなくなった後まですべてナチュラルという、こちらのデザインプロジェクトを進めているのはイタリアのデザインスタジオ「Formafantasma」。「すべての素材は、昔ながらの方法を活かすことで、もっといろいろなことに使うことができる」という思いから、こちらの作品を発表したそうです。
材料と製造プロセスはすべて公開!背景の情報をシェアすることで、ものづくりに関わる人々の意識を変えていきたいという意図もあるようです。
石油が発掘され、プラスチックが普及する前は、自然に還るものに囲まれて暮らすのが当たり前でした。懐かしい知恵を再発見し、現代に応用することで、結果的に美しいデザインが生まれていくのかもしれません。
(text:土橋遊)
[via CO.DESIGN]
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