Web2.0の巨人、Googleが次に取り組むのはPower2.0。Power2.0は、日本ではあまり語られていない言葉だが、インターネットや鉄道、高速道路にも匹敵する大変化をもたらす、と息巻くアナリストもいるほどだ。
Power2.0は、Power GridともSmart Gridとも呼ばれる。ここでの「Grid」の意味は、電力ネットワークと言い換えてもいいだろう。つまり、Power2.0とは新しい電力ネットワークのことだ。老朽化しつつある電力システムを刷新するとともに、「Smart Meter」と呼ばれる電力使用量をリアルタイムにモニターする機器を4,000万世帯に配布することが、オバマ政権の「アメリカ再投資・再生計画(The American Reinvestment and Recovery Plan)」の中で取り組む一つの政策にもなっている。
その分野に、Web2.0の巨人であるGoogleも参入する。家庭内でどの機器がどれくらい電力を使っているかをほぼリアルタイムにモニターできる、「PowerMeter」というガジェットを開発中だという。現行の「Smart Meter」の多くは利用者に情報を開示しないタイプのものが多く、そのことに対する不満が「PowerMeter」の開発動機になっているようだ。次の言葉がそのことを物語っている。
Unfortunately, many of today’s smart meters don’t display information to the consumer. We consider this unacceptable. We believe that detailed data on your personal energy use belongs to you, and should be available in a standard, non-proprietary format.
残念なことに、今日の「Smart Meter」の多くが、消費者に情報を表示しない。我々は、このことは受け入れ難いと考えている。エネルギー利用に関する詳細情報は利用者自身に属するものであって、標準の独自仕様ではないフォーマットで利用できなければならないと我々は考えている。
なお、「PowerMeter」の開発は、政府や電力事業者、装置メーカーなどとの連携の下に進められているプログラムだ。現時点ではまだ誰もが使えるようにはなっていないが、Google社内の試験では、年間で3,000ドル(およそ27万円)の電気代削減につながったケースもあったようだ。岡田斗司夫氏のレコーディング・ダイエットではないが、「見える」ようになることの効果は大きいということか。
とはいえ、年間で27万円も電気代を削減するとは、一体どれほどの電力を使っていたものやら。エネルギー消費大国、そしてエネルギー利用効率も低い省エネ劣等国アメリカが、本気で省エネに取り組むきっかけになることを期待したい。
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http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20081110/161031/
「Smart Meter」について勉強する(その1)