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greenz.jpは、読者の意識や行動のトランジションを起こせているか? 2024年の読者アンケート結果を公開!

WEBマガジン「greenz.jp」は2023年7月、合言葉を『生きる、を耕す。』にリニューアルし、「ソーシャルグッドなWEBマガジン」から「『生きる、を耕す。』を実践するWEBマガジン」に生まれ変わりました。

進むべき道をしっかりと見据えて前に進んで行くためには、いまの自分たちがどこにいるのか「現在地」を確認することが、とても大切だと思っています。

そこで今年、5月31日から6月23日までgreenz.jp読者アンケートを実施し、86名からの回答をいただきました。

ふだんgreenz.jpを読んでくださっているみなさんがいま、自分の暮らしや社会、そしてグリーンズに対して、どのようなことを感じているのか。みなさんの声をまとめました。

(1)読者のみなさんの関心

「まずは、あなたがどんなことに関心があるのかお伺いします。5段階で数えてください」の問いに対して、「関心が高い」と回答した方の合計割合で順位をつけました。

アンケートで「関心が高い 」と回答した方の合計割合

最も関心が高かったのは「人と地球の双方に良い影響を与える仕事への従事(93.1%)」、続いて「フードロス削減につながる行動(88.4%)」、「環境に負荷の少ないエネルギーの利用(88.4%)」などがランクインしました。一方で「デモ活動など、政治を変えるための活動(37.2%)」は半数に満たず、「狩猟採集を取り入れた暮らし(54.7%)」も5割程度に留まりました。

仕事、食、エネルギーなど暮らしや生活に直接関わる事象は関心が高くなりやすく、政治、狩猟採集など本来的には暮らしや生活に関係しているものの、直感的にその関わりを感じづらいものは下位となる傾向が読み取れました。

(2)暮らしの実践とそのハードル

暮らしのなかで実践していることと、実践していないこと、また、どんなことがハードルになっているのか伺いました。

「あなたは『生きる、を耕す。』ため、暮らしのなかの「実践」をどのくらいしていますか?もしも実践していない場合、どんなことがハードルになっているのかも伺えるとうれしいです」の問いに対し、「実践している」と回答した方の合計割合で順位をつけました

実践している割合で9割を超えたのは「日常生活における自炊(97.7%)」と「マイバッグ、マイボトル、マイ箸の利用(91.9%)」となりました。一方で「耕作、食べ物の自給(38.4%)」「再生可能エネルギーの利用(30.2%)」「コンポストトイレ(3.4%)」などは4割以下で、それぞれの実践のハードルとして下記のような意見が寄せられました。

■「再生可能エネルギーの利用」における実践のハードル
「条件が整わず自宅には太陽光パネルが設置できなかった」などファシリティ面の制限のほか、「新電力の会社の撤退が多く、切り替えに踏み切れなかったから」など電力会社への不信感といった声が実践のハードルとして寄せられました。他にも、再生可能エネルギーの中でも太陽光に関しては、「ソーラーパネルの設置場所や蓄電池の製造過程によっては火力の方が環境に良い場合があると考えるから」という意見も見受けられました。

■「コンポストトイレ」における実践のハードル
「コンポストトイレ」については、「コンポストトイレがどんなものなのかよくわからない」「ノウハウ全てを理解していないし、集合住宅内では設置が難しそうなため」などコンポストトイレを設置する前提となる知識不足をあげる声が多く見受けられました。

他にも実践のハードルとして項目問わず、「心に余裕がない」「お金がない」「場所がない」「時間がない」といった理由も多く寄せられました。これらの結果から、実践に至るまでには、「精神的・時間的・金銭的余裕」がハードルとなり、その上で「情報収集」を行い、必要な資源(場所、設備、周囲への説得など)を準備できる状態にもっていくまでに、かなりのエネルギーが必要なようです。

選択肢の他にも、実践していることとして下記が寄せられました(アンケートより一部抜粋・編集)。

・洋服を自分で直して再び着る
・猟銃免許を取得
・公共交通機関の利用より、体調の良い時は10キロ前後歩く
・解体される家からゴミになってしまう物をもらう
・自宅の庭をオープンガーデンに
・里山の開墾と農作物の収穫の手伝いを通じて、自然環境再生の末端に関わる
・牛乳や卵を買う時は日付が古い方を選んだり、できるだけ自然に近い方法で育てられた食材を買う
・東京から地方への移住
・有機農家のもとへ通い、一緒に作業
・再エネ100%電力へのパワーシフト、太陽光発電の設置
・消費活動に依存しないこと
・薪の自給
・耕作放棄地の再生
・考えたり、対話する場所への参加
・森林の間伐作業や外来植物の草取りのボランティアに参加
・無理なく学べるコミュニティの開催への協力
・不耕起栽培の農家さんや、農家さんを支援する企業・団体が主催するイベントに参加
・ローカルフードまつりの主催
・パーマカルチャーや自然農を実践を見学
・子どもたちとの対話、地域での立哨(りっしょう:監視のこと)や学校行事への参加、町の議会の傍聴

(3)greenz.jpを読んで感じていること

greenz.jpの記事の中で、関心のあるテーマについて伺いました。


「greenz.jpの記事のなかで、どんなテーマに関心がありますか?(複数選択可)」という問いに対し、チェックボックスにチェックがついた数の総計で順位づけを行いました

「暮らし」への関心が最も多く84.9%、次に「食・農」が73.3%という結果になりました。一方で、扱う記事がそもそも少ない「政治」「災害」などは、いずれも24.4%という結果になりました。

ここで、過去のアンケートも少しみてみましょう。下記は2022年に実施した読者アンケートの結果ですが、当時は「ローカル」、「コミュニティ」が上位にランクインしていました。

2022年実施アンケート。「あなたが特に興味のあるテーマを教えてください」という問いに対し、チェックボックスにチェックがついた数の総計で順位づけを行いました

この結果から、2年前に比べ、読者の関心が「暮らし」「食・農」にシフトしているように感じました。特に「農」に関しては、消費するだけでなく生産側にまわりたい、つまり消費型の暮らしから抜け出したいという意思があるのかもしれません。

また、「これまでgreenz.jpで読んだ記事のなかで、特に印象に残っているもの(任意/最大3つ)」に寄せられた回答記事のうち、回答数の多かった上位4つの記事を紹介します。

他にも、森、海、自給、コミュニティ、生かす、活かす、共同作業、自然農、幼児期の自然教育、エネルギーや食の自給自足、気候変動、パーマカルチャー、植物関係、福祉の働く場といったキーワードが寄せられました。

(4)greenz.jpの記事やイベントをきっかけに生まれた、「意識」の変化

「グリーンズの記事やイベントをきっかけに新しく学んだり、意識が変わったりしたことはありますか?」という問いに対し、「はい」と答えた方は73.3%となりました。

「意識を変えるきっかけになった記事」とその理由について、ピックアップしました。

浜の息吹を感じる宝物のようなアクセサリー。お母さんたちの手しごとブランド「OCICA」
その後の友廣裕一くん(合同会社シーベジタブル共同代表/「OCICA」の事業創設者)
や池田美砂子さん(greenzライター、エディター/株式会社beの取締役)と直接ご一緒する機会もしばしばあり、地域のために必要な仕事・活動をどうやって起こしていくのか、どう終わりをつくるのか、今も考えさせられています。

社会を変えたい。でも「私にはできない…」? 5人の実践者に学ぶ、あなたの暮らしと社会を結ぶヒント
私は将来シェアハウスを運営したいので、大変参考になった記事です。

この農業で取り戻す。地球を救うと掲げるパタゴニアが食品事業を通して本気で挑む「リジェネラティブ・オーガニック」
服屋さんが、どうして酒を売るのか。そこから読みはじめた記事でしたが、自身の価値観がアップデートされ、さらにパタゴニアファンになりました。

アイスクリームから、経済も生き方も再定義する。神奈川県茅ヶ崎市の不耕起栽培農家「はちいち農園」衣川木綿さん・晃さんが、「SOYSCREAM!!!」を立ち上げた理由
衣川夫妻の多くの言葉にヒントや気づきを頂いたが、その中で環境問題への取り組みなどについても「楽しんで実践することが大事」とおっしゃっていたのが印象的だった。これまで自分を含め多くの人が、環境問題への取り組みは我慢を強いられるものだと認識していたと思うが、その固定観念を壊してもらえた。

「この子を可愛いと思えない」「大人を信じられない」。愛着の問題に苦しんだ里親子が、安心な関係をつくり「この家族で幸せ」と言えるようになるまで
最近でたばかりの記事で本当に恐縮ですが、朝から涙が止まらなかったので…。里親家庭で本当に苦しい時を乗り越えられて今がある姿を見ることができ、「里親家庭」という制度の枠組みの中で出会ったお二人ですが、人として向き合うとか、人として関わる、といった経験の積み重ねが子どもたちが知らず知らずに受けた傷を癒していくのだろうと、何度も記事から感じとることができました。里親制度もまだまだ支援を入れたり家庭を開いていくことが重要であると痛感させられています。けれども人と人との関係を深いところで結びつけていくためには、地域の人たちの協力が必要不可欠なのだと確信させられました。(一部を抜粋させていただきました)

生きる、を耕す本 エコビレッジという実験場
こうした内容には興味はありますが、自身で実践できるスキルや人脈があるかというと、ないに等しいのですが、実際を知ると視野も広がりますし、いまある国内のエコビレッジの一覧など具体的な情報は、機会があれば、そこへアクセスしてみようかと思えたりもしますし、自分ひとりでは踏み込むことのできない情報にふれることでいまの変化にもつながる気がします。

リジェネラティブ デザイン カレッジ
参加者に実践者が多く、みんなが試行錯誤して進めているところを見ると、私もやってみたい、やってみようと思えるようになりました。

(5)greenz.jpの記事やイベントをきっかけに生まれた、「行動」の変化

グリーンズの記事やイベントをきっかけに意識が変わった後、さらに実践したり行動に移したことについて聞いたところ、さらに実践したことや、行動に移せたことが「ある」と答えたのは58.1%という結果になりました。

6割近くの読者のみなさんの行動の実践につながった事実は、グリーンズとして、とても励みになります!

実践したことや、行動に移した具体的な内容は、「暮らしのなかでできる実践をした」が最も多く67.4%、その次に「日常の消費活動を見直した」が50%となりました。

一方、「転職した」「地域へ移住した」はそれぞれ13%、「起業した」は4.3%と仕事や住まいにおいて大きな変化があった人もいたようです。

また、それぞれの項目において、その経緯と内容についても聞きました(一部抜粋・編集)。

■暮らしのなかでできる実践をした
・コンポストを始めた。
・マイボトルを持ち歩く、ミツロウラップを使う、味噌作りや梅仕事をするなど。今の暮らしのなかで少しの工夫で変えられることを実践している。
・シードボールを息子とつくって、近くの植え込みにbombした。結局咲いたのかどうかよくわからなかったけど、面白い経験だった。関わっていたカフェのイベントで、エナジーボールというスイーツに因んでシードボールをつくり、お持ち帰りのギフトにして提供してみた。

■地域活動をはじめた
・サステナビリティをより目的そのものとして捉え直すことができ、そうしたら何をすればいいか、何ができるかを考えるようになりました。○○のためのサステナビリティというとらえ方から、サステナビリティのための○○と考えるようになった結果、事業からより暮らしに近い領域での活動が始まり、割くリソースのバランスも変わってきています。

■マイプロジェクトを始めた
・自分も環境や人のせいにすることなく、自分のできることから行動し、今年で10年目を迎えるスポーツクラブを立ち上げて、継続できたこと。
・リジェネラティブ デザイン カレッジでの仲間と共に、食べ物部を立ち上げ、プラネタリーヘルスダイエットに関するワークショップの企画・実施などに取り組むことができました。
・リジェネラティブリーダーシップの講座から仕事に活かせるものがあると思い、社内に提案をした。

■地域へ移住した
・コロナがいちばんのきっかけですが、自然農を始め、結果、移住しました。少なからず、グリーンズにも影響を受けていると思う。

■使用するエネルギーを見直した
・自然由来のエネルギー発電に切り替えた。
・再生可能エネルギーの電力会社をはっきり意識したのはグリーンズを通しての自然電力が初めだったと思う。

■転職した
・グリーンズジョブズの求人で転職した。

■日常の消費活動を見直した
・日常の消費活動を見直しました。生産者の責任だけじゃなく、消費者にも責任があるなと。
・エシカル消費、行動。

■コミュニティを立ち上げた/参加した
・たくさんありますが、パーマカルチャーを学びにワークショップへ参加したりしました。
・会社を退職し、農的な暮らしにシフトしていこうと、地域の中で活動する農家さんや活動家の方にアプローチしていっている。現在は静岡県と企業のコラボによる地域創生プロジェクトに参加。
・農家として気になりながらも踏み出すのに躊躇していた先進分野へ、リジェネラティブ デザイン カレッジに参加することで学びを深めている。
・昨年語学コミュティの仲間と80人でモンゴルでゲルキャンプに参加した。1歳~70歳までの仲間と共に1週間寝食を共にする中、乳幼児を連れたお母さんは諦めていた乗馬体験ができた。それはみんなでその乳幼児を見守ることができたから。(中略)それ以降私の中で「シェアハウス」という新たなキーワードが見つかり、起業して運営したいと思うに至った。そしてできれば自分の住む地域でそれをかなえたいと思い、地域で社会活動で起業ができるプログラムがあり、今年の夏にそれに参加を決めた。

■その他
・いままでは深くエコな活動をしているひとに近づきがたかったり、身近にあるそうした活動やショップなどに少し近づきがたいと感じていたところがありましたが、そうしたものに興味を持って近づいていくことができやすくなったと思います。その理由として、そうした活動をしているひとたちの想いなどを記事などで読んで、理解することで距離が近づくような気がするのかもしれません。どこまでがgreenz.jpの記事きっかけか分からないけれど、どの項目もいろいろ影響を受けていそう。

(6)アンケート回答者の現在地

今回のアンケートを通して、想像以上にグリーンズの記事や活動がきっかけとなり、読者のみなさんに変容が起きていることに驚くとともに、背中を押してもらえるような結果となりました。

一方で、その人次第で、それぞれ違うストーリーがあるはずだとも感じました。今後は、そういった背景の部分を、読者のみなさんへのヒアリングを実施できればと思っています。

ここで、アンケートにご回答いただいたみなさんの「現在お住いのエリア」をご覧ください。

■お住まいのエリア

そして、アンケートの最後は「イラストのなかで、3年後のあなたはどこにいたいですか? むずかしく考えずに、直感で答えてみてください」という問いをみなさんにお聞きしたのですが、結果はこのようになりました。

上位にある30、22、15、25はいずれも、田畑を耕すなど、農的な暮らしをしているエリアと読み取ることができそうです。

イラストの解釈に正解はなく、答えがある問いではありませんが、ぜひみなさんもこの問いを受けて感じたこと、イメージしたものを大切にしていただければうれしいです。