日本でも深刻化している、空き家問題。日本全国には約849万戸の空き家があるとも言われ、その利活用が進む一方、取り壊しになるケースも多くあります。(出典元)
街で空き家が壊されている光景を見て、「この建材たちはすべてゴミになってしまうのか…」と悲しく思った方もいるのではないでしょうか。
建築と環境の問題に着目し、いち早く対策に取り組んでいるのが、環境先進国と言われるオランダの首都アムステルダム市。同市の政策として打ち出した「2050年プラン”サーキュラー・エコノミー”」の中では、リサイクルできる建築について言及しています。
そんなオランダを中心に活動する建築家チーム「Woonpioniers」は、「住む人にとっても、地球にとっても無理がなく健全な建築」を目指し、これまでもタイニーハウスやコハウジング(Co-housing)など、一歩先をいく建築を手がけてきました。
今回は、そんな彼らのつくる「Indigo Lia」をご紹介します。ライフステージに合わせて自由に形を変え、土地や周りの環境を痛めることがない建築です。
その特徴は、大きく分けて3つあります。
1. 自分好みに組み立てることができる
二人暮らしなら小さく。家族が増えたら増築。やがて時が経って住む人数が減ったら小さく戻すなど、家の大きさを住む人によって自由に変えることができるのです。
彼らは自身のウェブサイトで、
「自分好みに大きさを変えられる」組み立て式にしたことで、パーツの大量生産が可能になり、クオリティを保ちながらコストを抑え、施工期間も短くすることができました。
と語っています。家を建てるときに必要なエネルギーやコストも抑えることを可能にしたのです。
2. バイオマテリアルの建材を使っている
そんな組み立て式の「Indigo Lia」のこだわりは、建材にもあります。木材、セルロース、藁、麻、粘土などのバイオマテリアル(生体材料)をベースにつくられ、有害な化学物質の使用を最小限に抑えています。「Woonpioniers」はこれらの自然由来の建材を、堆肥化して土に還すところまで構想しているそうです。
家を建てるときだけではなく、家を壊した後のことも考えられています。
3. 環境に優しく住める家である
「Woonpioniers」が目指すのは、環境に優しく、住む人も快適に生活できる家。家を建てる際には、その地域の気候や日照、周りの環境、住む人のライフスタイルも考慮し、エネルギー消費をできるだけ少なくするように設計します。さらには「オフグリッド」になるための工夫も取り入れるといいます。
私たちは長年活動するなかで、ソーラー発電や雨水ろ過装置、コンポストトイレなどオフグリッドな暮らしについても学んできました。こうした知識を活かすことで、住む人が部分的に、または完全に公共インフラから自立して暮らせる家をつくれると思っています。
自由で、自然にも、人にも優しい「Indigo Lia」。
これまで、人が快適に生活するために、自然環境が犠牲になってきた側面があります。しかし、建てる住宅を組み立て式にして、素材に気をつけることで、暮らしやすさと自然への配慮を両立することができるのだと「Woonpioniers」の建築は教えてくれます。
当たり前に買っていたものを、
「何かで代用できないか」
「シンプルなものの組み合わせでつくれないか」
と考えてみることで、楽しみながら自然にも優しい暮らしができるのかもしれませんね。
[via designboom.com, woonpionior.nl, wowowhome.com]
(編集: Mizuno Atsumi)
– INFORMATION –
10/29(火) キノマチ大会議 2024 -流域再生で森とまちをつなげる-
「キノマチ大会議」は、「キノマチプロジェクト」が主催するオンラインカンファレンスです。「木のまち」をつくる全国の仲間をオンラインに集め、知恵を共有し合い、未来のためのアイデアを生み出すイベントです。
5年目となる今年は2024年10月29日(火)に1DAY開催。2つのトークセッション、2つのピッチセッションなど盛りだくさんでお届けします。リアルタイム参加は先着300名に限り無料です。
今年のメインテーマは「流域再生で森とまちをつなげる」。雨が降り、森が潤い、川として流れ、海に注ぎ、また雨となる。人を含めて多くの動植物にとって欠かせない自然の営みが、現代人の近視眼的な振る舞いによって損なわれています。「流域」という単位で私たちの暮らしや経済をとらえ、失われたつながりを再生していくことに、これからの社会のヒントがあります。森とまちをつなげる「流域再生」というあり方を一緒に考えましょう。