近年の環境ブームで、環境にやさしい建築技術や、デザイン、建材に関する情報は入手しやすくなった。でも、いざ物件を探してみると、そういう配慮のもとに建てられた物件を見つけるのは難しい。そんな悩みを解決してくれる会社『Green Renter』が、オレゴン州のポートランドで誕生!
『Green Renter』はウェブ上に、グーグル・マップ付きの賃貸物件情報を提供している。物件の登録も検索も、無料サービス。それだけなら、特に話題に取り上げるまでもない。画期的なのは、取り扱うのは「グリーン物件」のみ、という点だ。
『Green Renter』のサイトでは、LEED認証物件やEPAエネルギー・スター格付け物件はもちろん、「グリーン・ビルディング」や「サステナブル建築」などのキーワードで検索された物件も紹介されている。そして、「自称」グリーン物件も、条件を満たしていれば、紹介される。
その条件は、そんなに厳しくない。7分野(エネルギー、水、建材、設備、周辺環境、認証/表彰、その他のグリーン特徴)のうち、1分野でもグリーン特徴があればクリアである。ちょっと甘すぎ?とも思ってしまう。でも、そこには、より多くの人々を巻き込んで、まずはグリーン物件への関心度を上げ、供給と重要を増やしたい、というスタッフの願いが込められている。当面は物件のグリーン特徴を挙げるにとどまり、物件の評価はユーザーに任せることにしているのも、同じ理由からだ。
日本では今年、環境省主導のエコ住宅普及促進事業が始まる。事業概要を見るかぎり、焦点はエコリフォームの普及に絞られている。残念ながら、賃貸物件のグリーン化にはあまり効果がなさそうだ。
Green Renterのグリーン賃貸物件紹介ページ。いまのところ活動範囲は、ポートランド市内に限られているが、いずれは全米展開を目指している。現在、ビジネスパートナー募集中とのこと。
今回調べてみて、日本のエコ住宅普及の取り組みは16年前からあったことを知った。国土交通省が1992年に創設した環境共生住宅建設推進事業のことだ。長い歴史があるだけに、日本には独自の建物のエコ格付けもある。
次に部屋さがしをするときは、不動産屋に、「その物件の省エネルギー対策等級はいくつですか?」とか、「この物件はCASBEE評価を受けてますか?」とか、質問してみようと思う。環境意識の高いテナントが増えれば、日本の不動産会社の物件検索項目にも、エコ性能が記載されるようになるかもしれない。