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30分以内なら無料! 3/20スタートの「シクロシティ富山」、遂に詳細が明らかに!

「シクロシティ富山」の設置イメージ

「シクロシティ富山」の設置イメージ(写真提供:シクロシティ株式会社)

日本初の「ヴェリブ」型コミュニティサイクルが、いよいよ3月20日から富山県富山市でスタートする。その名を「シクロシティ富山」。先頃、遂にその詳細が明らかとなったのでお伝えしよう。

「シクロシティ富山」は、富山市内中心部に15箇所、約300m間隔で設けられた貸出・返却ステーションに150台の自転車を配置。ステーションは駅や公共施設の近くに設置され、利用者はICカードを使って24時間いつでも自由に自転車を借りることができ、しかも使用後はどのステーションに返却してもよい

「シクロシティ富山」のステーション配置状況

「シクロシティ富山」のステーション配置状況(画像提供:シクロシティ株式会社)

利用料金は30分までが無料で、31分~60分までが200円。それ以降は30分ごとに500円が発生する。つまり早く返却するほどお得なシステムだ。

利用するにはウェブサイトでの事前登録が必要となる。市内を走るトラム(路面電車)「富山ライトレール」などで使えるIC乗車カード「パスカ」を使用する場合は基本料金として毎月500円を支払う(3月1日から19日までに登録を済ませると、初年度に限り250円/月)。また、短期利用向けの「7日パス」の基本料金は1000円で、いずれもクレジットカードで決済する。

そもそも「ヴェリブ」とは、フランス・パリ市で2007年7月にスタートしたコミュニティサイクルの名称だ。市内1451箇所に設置したステーションに、レンタサイクル20600台が配備されている。公共交通ではフォローできない短距離移動を、クルマに頼らずに実現するために導入された。

パリ市内の「ヴェリブ」設置状況

パリ市内の「ヴェリブ」設置状況(写真提供:シクロシティ株式会社)

ヴェリブが画期的だったのは、「どこのステーションに乗り捨ててもOK」という利便性をコミュニティサイクルとして初めて実現したことにある。また、従来のコミュニティサイクルでは自転車の盗難・紛失がネックとなっていたが、利用者の事前登録とクレジット決済の導入によりこれを解決。しかも丸1日借りれば自転車1台が買える位の料金(183ユーロ=約2万3千円)を払わなければいけないため、利用者は一刻も早くレンタサイクルを返そうとする。よく考えられたシステムなのだ。

これにより、ヴェリブはパリ市内の自転車利用を2001年との比較で倍増させたという。その一方で「公共交通の利用者が自転車に流れただけ」「CO2削減や渋滞緩和の効果が見えにくい」との指摘もある。

「シクロシティ富山」のレンタサイクル(写真提供:シクロシティ株式会社)

「シクロシティ富山」のレンタサイクル(写真提供:シクロシティ株式会社)

また「シクロシティ富山」の場合、重量20kgのママチャリタイプの自転車を採用している。3段変速機を装備するものの、ペダルが重く感じるのではという懸念もぬぐえない。さらに今後、自転車が歩道上の歩行者に脅威を与えないよう、富山市は車道に自転車レーンを拡充することも問われてくるだろう。

しかしともあれ、今回の「シクロシティ富山」の導入は、都市で小回りの効く自転車の利便性を再発見させてくれる可能性を秘めている。富山市といえば、2つの異なる事業者(富山ライトレール、富山地方鉄道)がトラムを運行しているという全国でも珍しい都市。クルマにのみ依存しないグリーン・モビリティの先進地として大きな潜在力を持っている。トラムとの相乗効果で「シクロシティ富山」がどんな活躍を見せてくれるか、まずは注目してみたい。

路面電車やコミュニティサイクルだけじゃない!?
マイクロEVのメーカーも富山市内にある