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余った食べ物で、新たな地域コミュニティをつくる。イギリス最大のスーパー「Tesco」が、地域に食品を寄付するプロジェクトを開始!

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みなさんは、買ってきた食べ物を腐らせてしまい、捨ててしまったことはありませんか?

「もったいない」と思いながらも、ほんの少しだからと無駄にしてしまった食べ物たち。世界では約13億トン(出典元)、日本だけでも年間約1800万トンもの食品が捨てられているのです。

そのうち、まだ食べられるはずなのに捨てられてしまった「食品ロス」は、日本で500万〜800万トン。これは日本国民全員が、毎日おにぎり約1〜2個分の食べ物を捨てているのと同じ量で、世界の食糧援助量(2011年で年間約390万トン)をはるかに上回ります。(出典元

そんな食品廃棄を少しでも減らそうと、世界中でさまざまな取り組みが、企業や行政によって始まり話題になっています。

最近では2月にフランスが、規模の大きなスーパーマーケット(400㎡以上)を対象に、まだ食べられるはずの食品の廃棄を禁止し、余剰食品を慈善団体へ寄付することを義務づける法律を制定。2017年の2月11日までに、対象となるスーパーは慈善団体と契約を結ぶよう求められており、もし従わなかった場合は罰金が科せられるとのこと。(出典元

このように世界各地で食品廃棄に向けた取り組みが活発化する中、イギリス最大のスーパーマーケットチェーン「Tesco」は、余った食品を全て地域の慈善団体に寄付するプログラム「Community Food Connection」を始めると発表しました。
 
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「Tesco」は昨年だけで約6万トンの食糧を廃棄し、その半分以上、約7000万食分に相当する食品がまだ食べられるものだったそう。

とはいえ、ただ単に余った食品をそれぞれの慈善団体に均等に分配したとしても、結局慈善団体でも余ってしまう可能性があるのでは? そこで「Tesco」が考えたのは、より効率的に、それぞれの団体が本当に求めている食品を届けられるしくみでした。

イギリスで食糧支援を行っている団体「FareShare」と、アイルランドの社会的企業「FoodCloud」と手を組み「FareShare FoodCloud」というアプリを開発したのです。

そのしくみはいたってシンプル。「Tesco」の各店舗がその日に余った食品をアプリへ入力すると、登録している慈善団体には近くの支店から、余っている食品のリストが届きます。慈善団体は、そこからほしいものだけを選んで受け取ることができるのです。そして慈善団体はそれを食事として、食べるものを必要とする人たちに提供するのだそう。

「Tesco」はすでに14店舗でこのプログラムを実験し、6ヶ月間で22トンの食品を寄付、5万食もの食事を提供したのだとか!
 
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スーパーとコミュニティが直接やり取りができ、ほしいものだけを受け取れるしくみ。

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ほしい食品だけを選ぶことができるので、実際に提供する食事にもバリエーションが生まれそう。

単に食品を寄付をするだけではなく、スーパーマーケットと慈善団体がアプリを通してつながり、余った食品を通して地域の人々に貢献するというこのプログラム。日々の食料確保に悩む貧困状態の人々とのコミュニティ形成にも役立つので、今後、世界のモデルケースとなることも期待できそうです。

こんな、ちょっと新しい寄付のしくみを発表した「Tesco」。CEOのDave Lewis(以下、デイヴさん)は、これから本格的に始まる「Community Food Connection」について、このように語っています。

私は、スーパーを利用してくれているみなさんが、余った食品が大量に捨てられていることを問題視していると気づきました。だからこそ全ての支店で余った食品を、地域の慈善活動団体に寄付し食糧を必要とする人たちを助けようと決めたんです。

このプロジェクトは、私たちにとって食品廃棄を減らすための大きな第一歩でもある。いずれは、「Tesco」のどの支店でも、まだ食べられる食べ物を捨てるなんてことは、なくしたいです。

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TescoのCEO、デイヴさん

イギリス最大のスーパーマーケットチェーンの決断だからこそ、人々に大きなインパクトを与えるであろう「Community Food Connection」。

年間1430万トンもの食品が毎年廃棄されている(出典元)、EU諸国の中で最も食品廃棄量の多いイギリスだからこそ、国内最大のスーパーマーケットチェーンの一歩が、国民の意識を変えることにつながりそうですね。

デイヴさんをはじめとする「Tesco」のメンバーが”売る立場”として食品廃棄の問題に取り組む一方で、”買う立場”の私たちにもできることがあるはず。

もちろんスーパーなどで食品を買いすぎないことが一番の解決策ですが、もし買いすぎてしまったときは料理をつくって、ご近所さんや友だちにおすそ分けをしてみてはいかがでしょう。食品廃棄を防ぐだけでなく、地域の人々とつながる機会になりますよ。
 

[via THE HUFFINGTON POST, TRUE ACTIVIST, Equinox Recycling, FareShare]

(Text: 神本萌)

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