連載26年、単行本103巻、もはや知らない人はいないだろうというほどの有名マンガ「美味しんぼ」、20年以上に渡って繰り広げられてきた究極と至高の対決はもちろん料理によるものだった。しかし、9月26日号からはじまったエピソードは料理ではなくなんと「環境」がテーマに! あの「美味しんぼ」が環境をどう「料理」するのか、対決はまだ始まったばかりだが、ちょっと見てみよう。
ことの起こりは(マンガの中の話です一応)、海原雄山が天竜川河口の中田島砂丘の縮小に心を痛め、山岡士郎は六ヶ所村近くで無農薬米を作っている農家から手紙が届いてふと気づくことから。環境破壊が食生活を脅かしていると。
そして海原雄山の提案で沖縄の泡瀬干潟を訪れる。この干潟の埋め立てによって特産のアーサーの収穫に影響が出る可能性が高く、希少生物の絶滅の恐れもあり、しかも埋めたれられた結果作られる人工島の使い道は決まっていないという。それでも工事が止まらないというのは日本の公共工事のあり方に問題があるということになる。
そしてこの泡瀬干潟と同じ問題が、天竜川にも、六ヶ所村にも、築地にも、長良川にも通じるのだという…
最初の数話を読んだ感じでは環境問題の入門的な記述を多くしつつ、専門的で深い知識も盛り込んでいくという方向性のように思えた。「美味しんぼ」という有名マンガでこういうことをするというのは、環境問題への理解を深めるという点ですごく大きな意味があると思う。しかし逆に有名マンガだからこそ変なことはかけないというプレッシャーもあるだろう。しかし、この「環境問題対決」を描くに際しては環境問題のスペシャリスト達のサポートを得て、本当の最先端の情報をどんどん入れている。
中でも取材に同行し、マンガにも登場しているのが田中優さん。環境問題、平和問題にかんしてさまざまな著作を描き、さまざまな活動に参加されている文字通りの専門家だ。ご自身のブログでも「美味しんぼ」のことに触れられている。裏話っぽくて面白いのでこちらも合わせてぜひどうぞ。
しかも、田中優さんといえば反原発の論客としても有名だから、六ヶ所村についての部分では相当な話が出てくるのではないかと期待してしまう。原発の問題は干潟やダムと比べてはるかに複雑な背景を持つ、果たして山岡士郎はそれをそう「料理」してゆくのか、普段はマンガを読まないという方もこれは要注目!
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