一人ひとりの暮らしから社会を変える仲間「greenz people」募集中!→

greenz people ロゴ

green Books 最新号『グリーンズ編集学校の教科書』がようやく完成! greenz エディターたちに聞く、グリーンズから学んだこと [イベントレポート]

all

みなさんはgreenz.jpがどのような人たちの手によってつくられているか、その舞台裏を知りたいと思ったことはありませんか?

2015年2月13日、虎ノ門にあるリトルトーキョーで、green Books第4号『グリーンズ編集学校の教科書』完成記念トークイベントが開催されました。ゲストに迎えたのは、greenz.jpのエディターたち。

彼らは、読者のみなさんからは見えない舞台裏で、ライターが書いた記事の品質を高めてくれる縁の下の力持ち。日々greenz.jpで公開される記事の校正や、チームの仕組みづくりなど、とても重要な役回りを担っていただいています。

今回のイベントには、greenz エディターの杉本恭子さん、飛田恵美子さん、増村江利子さん、そして赤司研介さんが全国から集ってくれました。トークのテーマは、「グリーンズライターとして学んだこと」。当日の様子をお伝えします!
 
all2
参加者は「グリーンズ編集学校」の受講生を中心に、greenz peopleや読者のみなさんなど、さまざまな立ち位置でグリーンズに関わっている約40名。会場は同窓会のような、どこか懐かしい雰囲気に包まれていました。

「編集」とは、人とのご縁をつなぐこと

『グリーンズ編集学校の教科書』は、日頃グリーンズが考えている編集のあり方や企画のつくり方、インタビューのまとめ方など、グリーンズライターとして身につけたい記事制作のノウハウを詰め込んだ一冊。

また、greenz people会員に「greenz.jpの記事ができるまで」の裏側を伝えることも、この本の大切な役割のひとつです。
 
greenbooks
『グリーンズ編集学校の教科書』とは、NPO法人グリーンズがgreenz people(グリーンズの寄付会員)のみなさまに年2回のペースで発行している「green Books」の第四弾。そして「グリーンズ編集学校」の公式テキストでもあります。

まずは進行を務めるグリーンズ編集長のYOSHさんが『グリーンズ編集学校の教科書』に込められた思いを語るところから始まりました。

YOSHさん 僕が考える編集とは、ひと言でいうと「情報発信をきっかけにご縁を育てること」です。「いかに情報を整理して分かりやすく伝えるか?」というのは、編集者の仕事として当然だとして、グリーンズが編集するのはその先にあるもの。

書いた記事がきっかけとなって、それを読んだ知らない人同士がつながったり、新しいプロジェクトが生まれていったり。いちばんの価値はそこにあるのではないかと思っています。

yosh
グリーンズ編集長のYOSHさんから greenz エディターのみなさんを紹介。当日は全国にいる6名のうち、4名が駆けつけてくれました。

「小さな社会のつくり方」

実はライター自身がグリーンズの取材をきっかけに変わっていく姿を日々感じているというYOSHさん。今回登壇した増村江利子さんも、自身の人生を大きく変えたひとりです。
 
masumura

増村江利子さん
greenz エディター/シニアライター。国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスディレクター。一児の母。主なテーマは、暮らし、子育て、食、地域、エネルギー。暮らしの工作家。毎日を、ちょっぴり丁寧に暮らしたいと思っています。

増村さんは、空間製作ユニット「グランドライン」の取材をきっかけに、昨年末、長野県諏訪郡富士見町に移住しました。そんな増村さんがグリーンズライターとして学んだこととは?

増村さん たとえば、社会を変えたい思いはあるけれども、真っ向から向かい合って一人の力で変えるってすごく難しいことだと思うんです。

でも一部分を掘り下げて、自分のサイズでできることをマイプロジェクトとして周りの人に広げていく。そんな「小さなコトの起こし方」だったらできる。これはグリーンズの取材から学んだことです。

ある取材先の人が言っていたんですけど、川にたとえるなら、大きな本流をせき止めるのではなく、小さな支流をつくることで川の流れを変えていく。

そうやって工夫しながら川のかたちをつくり変えていくことがもう、小さな社会をつくってることなんだなって、お話を聞いていて感じたんですよね。

いきなり大きなムーブメントをつくるのは難しいけれど、まずは自分にできる、手応えのあることの積み重ねから始めてみる。小さいことだけをやろうという話ではないんです。

意思のある小さな試みは、ほかの誰かの一歩をつくる。そうするとあちこちに広まって、社会が大きく変わっていくんじゃないかって。

移住先の富士見町で、街や人の魅力を伝える「小さなコト」を起こし始めたという増村さんのはじめの一歩は、たくさんの人に出会い、笑顔で話しかけることから。これからどんな「小さな社会」をつくっていくのか楽しみです。

「ゆだねていれば、上手くいく」

次に登壇したのは、京都在住の杉本恭子さん。杉本さんは「マイプロショーケース関西編」や、「震災20年神戸からのメッセージ発信」など関西方面の企画を一手に引き受けています。
 
sugimoto

杉本恭子さん 
greenz エディター/シニアライター。大阪生まれ、東京経由、京都在住。関西を中心に活動するフリーライター。人の話をありのままに聴くことからテーマを深めるインタビューに取り組む。インターネット寺院「彼岸寺」にてお坊さんインタビュー「坊主めくり」連載中。

日々の仕事のなかで思いがけない問題に直面しても、いつも的確なアシストで、慌てず丁寧に仕事を進めていくという杉本さん。その芯の強さに、YOSHさんはいつも背筋がぴっと伸びる思いがするのだとか。

杉本さん とにかく精一杯やったら、あとはもう相手にゆだねてしまえばいい。自然体でいさせてもらいながらも、いい仕事ができている、というのが私とグリーンズの関係です。安心して自分をゆだねられる関係性を育めているという実感は、他の仕事にもよい影響を及ぼしています。

もともと私には、「グリーンズとこう関わりたい」という理想はなくて。編集部からいただくお話に「できるかもしれないから、やってみましょう」と応える感じで。

「理想のあり方」を決めた瞬間、そうじゃないあり方もまた同時にできてしまいます。理想どおりでなければ自分を肯定できないとなると苦しいです。

あるがままの自分を納得して受け入れる。そのなかでできることを模索しながら相手に届けていけば、結果的に上手く回っていくのではないかと感じています。

仏教的な考え方に影響を受けているという杉本さん。こだわりを持たず、目の前の相手や周りの状況を受け入れながらも自分らしい立ち位置を見失わない。

その姿勢は、「全てのものは、周りとの関係の中でつくられる」という「縁起」のあり方に通じるのかもしれません。

「6に届ける心構え」

続いては、東日本大震災を契機に生まれたものづくりと、背景にある「物語」を紹介する「ものづくりからはじまる復興の物語」という企画を担当している飛田恵美子さんです。
 
hida

飛田恵美子さん
greenz エディター/シニアライター。茨城出身、神奈川在住。「地域」「自然」「生きかた・働きかた」をテーマに、書くことや企画することを生業としています。虹を見つけて指さすように、この世界の素敵なものを紹介したい。東北マニュファクチュールストーリー

YOSHさんいわく、飛田さんは持ち前のバランス感覚で、グリーンズにいつも新しい視点や気付きをもたらしてくれるといいます。そんな飛田さんが逆にグリーンズで学んだこととは、いったいどんなことだったのでしょうか?

飛田さん フリーランスで仕事をしていると、自分と同じことに関心を寄せている人が自然と集まってきます。

一方で学生時代の友だちと久しぶりに会うと、相手の当たり前が自分とぜんぜん違っているんですね。そういう子に「この間のグリーンズの記事よかったよ」と言われるとうれしい反面、伝えたいことが届いているのかどうか気になります。

横尾俊成さんに取材をしたとき、「2・6・2の法則」を教えていただきました。人が10人いるとしたら、そのうちの2人は自分に賛同してくれる人、6人は関心のない人、残りは反対の人なのだそうです。

賛同する2人に届けたところで社会は変わらないから、6の人をいかに巻き込むかを考えなければならない。その言葉に頷きながらもつい、グリーンズの読者ならこの言葉は分かるはずだとか、2の人に向けて記事を書きがちです。

そんなとき友だちを思い浮かべては、その子の視点だったらこんな疑問や反論を投げかけるだろうなと意識しながら書くように心がけています。

異なる価値観を持つ多様な人間関係の中で、自分が大切にしている価値観をどのように伝えていったら、共感を得ることができるのか?

取材を通じて学んだことをヒントに、日々記事の校正を手がけている飛田さん。伝えることの本質に気がつくお話でした。

「ほしい未来はつくるもの」

最後は、グリーンズのgreenz エディターの中で白一点(?)、唯一の男性である赤司研介さんです。赤司さんは東日本大震災をきっかけに、家族との健やかな生活を実現するため、奥さんの両親が暮らす奈良へ移住しました。
 
akashi

赤司研介さん
greenz エディター/シニアライター。1981年生まれ。熊本出身の神奈川育ち。奈良県在住。広告制作会社でライター経験を積んだ後、フリーライターとして活動。モットーは“誰にでも、わかりやすく”。奈良と外国人旅行者のあいだに幸せなしくみをつくるバイリンガルフリーペーパー「naranara」副編集長。

歴史的風土の残る、観光資源の豊かな奈良の地に暮らす人々の営みを「もっと多くの人に知ってもらいたい! 」という思いで、会社勤めをしながら情報発信に取り組んでいる赤司さん。グリーンズでも、奈良県の取り組みを多く紹介されています。

赤司さん ぼくにとっては「こういう生き方をしたかったんだ!」と気づかせてくれるのがグリーンズです。グリーンズのライターとして取材に行くと、その人の生き方や働き方に影響を受ける瞬間がよくあるんですよ。

グリーンズのキャッチコピーが「ほしい未来はつくろう」なんですけど、グリーンズで出会う人たちって、自分の足でほしい未来の方に進んでいっているんですよね。

「自分はどんな未来がほしいんだろう?」ということに思考を巡らせて、動きながらその状況をつくっていかないと、その未来はきっとやってこないんだなって教えてもらってるというか。

ぼくのほしい未来は、家族が笑っている未来。だからまず嫁さんが笑える環境をつくらなくちゃいけないし、ぼくが笑うためには仕事がちゃんとしていないといけない。

「家族が笑えないならそんな仕事はしない!」と思えるくらいでありたいなあと思っています。

もともと「行動すれば、なんとかなる」という大胆な発想の持ち主である赤司さんですが、グリーンズの取材を通じて「行動するから、実現できる」へとアップデート。

取材先で出会う人たちの姿が刺激となって、ご自身の「ほしい未来」を手にする力にさらに磨きがかかったようです。
 
all3
グリーンズを通じたご縁の結びがトークショーの会場でも!読者のみなさんをはじめ「グリーンズ編集学校」の受講生を中心に、greenz peopleやいろいろな関わり方をしている人が集まって、ゆるやかにつながっていけるのもグリーンズならでは。

イベントの締めくくりとして編集長のYOSHさんは、一本の記事をきっかけにライター本人の人生が変わっているのを目の当たりにしているからこそ、「記事を書いて変化していく醍醐味を、より多くの人にも味わってほしい」と思うようになったといいます。

グリーンズを通じて出会うさまざまなご縁が人生を豊かに変えていく、そんなリアルなストーリーをたっぷり味わった夜。

green Books第4号『グリーンズ編集学校の教科書』は、ご入会いただくと翌月にはお手元にお届けします。

みなさんも『グリーンズ編集学校の教科書』を参考に、取材や記事のライティングに挑戦してみませんか? それがきっかけに、新たなつながりが生まれるかもしれません。