「半農半X」というのをご存知だろうか?読んで字のごとく、半分農業をするという持続可能な生活アクションと共に、自分の天職を楽しもう!というものだ。
この半農半Xの提唱者である塩見直紀さんと、農をテーマにさまざまな「種播き」を呼びかける市民参型のイベントを行っている「種まき大作戦」から本を通した種播きとして、「半農半Xの種を播く—やりたい仕事も、農ある暮らしも」が出版された。実際に、半農半Xって可能なの?と疑問を持つ人も多いかもしれない。しかし、実際にいるのだ。とてものびのびと自分の生き方をデザインしている人たちが。
・半農半マクロビオティック料理家
・半農半豆腐屋
・半農半生理解剖学講師
・半農半NPO
・半農半蔵人
などなど、実に様々な職を持った人が半農半Xを実践しているのがこの本を読めばわかるだろう。「半農半Xアンケート調査」にある半農半Xをはじめたきっかけや、座右の銘、農とXの2つが必要な理由にあるそれぞれの答えを知るだけでもおもしろい。
さらに、塩見直紀さんと、環境イベントに欠かせない人である歌手の加藤登紀子さん、娘さんで歌手のyaeさん(yaeさんは土と平和の祭典の実行委員長でもある)のスペシャル対談も収録されている。14ページにも及ぶこの対談は読み応えたっぷりだ。
また、
Q:半農半Xを始めるにあたり、家はどうしたらいいのでしょうか?
Q:家族の反対があったら、どう乗り切ったらいいでしょうか?
Q:初期投資は、いくらぐらいと考えたらいいでしょうか?
などといった半農半Xを始めたい人の質問に塩見直紀さんが丁寧に答えてくれるQ&Aのコーナーもあり。安心して半農半生活を始められそうだ。巻末には、半農半Xお役立ち情報として、農業研修ができたり、都市農村交流ができるなどといったNPOや施設の紹介ページがあるので、半農半Xをのぞき見したい人はぜひ活用してほしい。
食の問題が取り立たされている今日。食のあり方を通して、もう一度「自分の生き方」について考えてみる必要があるのかもしれない。最後に、種まき大作戦実行委員会・特定非営利活動法人トージバ代表理事の渡辺尚(たかし)さんの言葉を。
現代社会のなかで、多様な農的ライフスタイルへの道しるべとなるであろう半農半X。このことば、この生き方に、私は未来を感じます。100人いれば100通りの生き方があるように、100通りの農への取り組みがあるはずです。
たくさんの半農半Xをこの本から感じ取り、できるところから実践していってください。「成せばなる。成さねばならぬ何事も。成らぬ己は成さぬなりけり」大地と暮らせば、種を播けば、「すべてよし」なのであります。