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“愛とケアのバスタブ”が、書道家の自分を目覚めさせた。「Gandhi3.0」で世界中のリーダーと根っこでつながった三田愛さんが海外へ扉を開けた理由

“愛とケアのバスタブ”が、書道家の自分を目覚めさせた。「Gandhi3.0」で世界中のリーダーと根っこでつながった三田愛さんが海外へ扉を開けた理由

インドの平和革命家、マハトマ・ガンディー。非暴力・不服従で知られる彼の独立運動のシンボル、糸車に込められた意味を知っていますか?

インドの綿を安く買い入れイギリスで機械生産された綿布ではなく、インドの生産者が手仕事でつくってきた伝統的な綿布「カディ」を選ぶことは、インドの伝統と誇りを取り戻すことにつながる、という独立への強い意志。

ガンディーは何より、一人ひとりが平和的に自立して生きていくことを願っていました。丁寧に手で紡ぐことで、人びとは自然とつながり、お互いを認め合い、自らを発揮していくことができると考えたのではないでしょうか。

そんなガンディーの母国インドで、世界各国さまざまな分野の第一線で活躍する人たちが集い、ガンディーのような精神性で社会変容を起こしていくための10日間のプログラム「Gandhi 3.0」が定期的に開催されています。

2023年1月のGandhi3.0に参加し「次元が違うところに連れて行ってもらった感じがした」と振り返るのは、「地球コクリ!」三田愛(さんだ・あい)さん。最も印象的だったのは、プログラム全体を通して「愛とケアのバスタブに浸かっているようだった」ことだそう。帰国後は家の掃除や片付け、肌のパックなど、自分自身のケアを丁寧にするようになったといいます。

このことは、全ての生命が根っこでつながることを目指す「地球コクリ!」が日本を飛び出し世界の人びととつながっていくための、大きなきっかけとなりました。3年近く経った現在、愛さんは「地球コクリ!」の中で書道家として、世界中と非言語の深いつながりを築いているほか、世界へ向け、“八百万の神”“いのり”“ハレとケ”などを通じた「日本の精神性をめぐる旅」の研究にも着手しています。

少し遡りますが、愛さんが参加したGandhi3.0のプログラムと、そこで得た気づきや価値観を振り返っていただきました。

Gandhi3.0 グリーンズ

2023年のGhandi3.0に世界各国から参加したみなさん(画像提供:service spaceの映像より)

「地球コクリ!」(地球中心・生態系全体のコ・クリエーション研究)
2011年、国内各地で集合的なひらめきから社会変容を生み出すコ・クリエーション(共創)の研究プロジェクト「コクリ!」がスタート。その後、共創の対象を人間社会から地球生態系全体へと広げ、2020年に「地球中心・生態系全体のコ・クリエーション研究(地球コクリ!)」へと進化した。株式会社リクルートじゃらんリサーチセンター研究員の三田愛さんが中心となり、学術・芸術・企業など多岐にわたる分野の人びととともに探究を進めている。
三田愛(さんだ・あい)
「コクリ!プロジェクト」創始者/株式会社リクルートじゃらんリサーチセンター研究員 兼 サステナビリティ推進室/英治出版株式会社フェロー
研究と実践の両面から、コ・クリエーション(共創)による社会変容を探究。現在は、自然と人間の分断を超えた共創をテーマに、「地球生態系全体のコ・クリエーション(地球コクリ!)」の研究に取り組んでいる。書道家(師範)として、世界遺産 花の窟神社や日本遺産 出羽三山神社での書道奉納、世界各地でのパフォーマンス書道を行う。華道・古流松麗会師範。米国CTI認定プロフェッショナル・コーチ(CPCC)。内閣官房、国土交通省、経済産業省など官公庁の各種委員を歴任。

ガンディーの平和的革命と、日本の精神性に共通するもの

愛さんによれば、他の参加者も口を揃えて「人生が変わる体験だった」と話していたというGandhi3.0。「カルマキッチン」などで知られるアメリカの団体「service space」が企画・開催しています。

ガンディー本人の改革を1.0、後継者であるビノーバ・バーベの啓蒙活動を2.0としたときに、世界中にいる平和的革命の精神を持った人たちがつながり、一人ひとりの内なる変容から多中心のネットワークで社会的革命を起こしていくことを「3.0」とする考え方で、これまでにたくさんの人たちが参加してきました。

ホームページに書かれたコンセプトからは、Gandhi3.0の背景には、自然とのつながりが薄れゆく人間がつくった、いくつもの“分断”の加速に危機感を感じていることが読み取れます。「全ての生命が根っこでつながる」を提唱する「地球コクリ!」と目指すところが近く、愛さんがGandhi3.0の招待を受けたのは、自然な流れでした。

愛さん 「地球コクリ!」は地球全体をフィールドに、世界中の人たちと一緒にコ・クリエーションしていく活動だと思っているのだけど、海外とのご縁がまだ多くなくて、ちょうど考え始めていた頃でした。

Gandhi3.0 グリーンズ

三田愛さん(撮影:村崎恭子)

プログラムへの参加が決まり、愛さんは日本発の「地球コクリ!」が世界で担う役割について考えるようになったといいます。

愛さん 日本って、ガンディーの「平和的革命」に近い精神性があると思っていて。縄文時代に1万年近く平和な時代が続いていたのは世界の歴史的にも珍しいことだし、「八百万の神」のように、自然とのつながりを重んじていますよね。全てのものに命があって、その命を大事に思う精神性。

人間が他の生き物を支配し、消費搾取するような関係性が行き過ぎて、今の世の中は気候変動やパンデミック、戦争などが続き、混沌としていて、もう限界にきていることはみんなわかっている。「地球コクリ!」が目指すのは、全ての命が生かされあい、尊重しあい、調和して、コ・クリエーションする、人間はその中の一部として社会をつくる、という意識へシフトをすることです。

ロジカルに説明することが難しいんだけど、日本だから貢献できるものが、そういった精神性だと思っていて。人間が目覚め直すというか、思い出すためのエッセンスを持っている気がしています。それは例えば書道や華道などの「道」にも表れているものがあり、それも活用できるようなイメージをしていました。

自信をなくすも、1:1の対話で根っこの思いに触れる

2023年のプログラムが開催されたのは、ガンディーの故郷であるアメダバードという地にあるリトリートセンター「Environment Sanitation Institute」(環境衛生研究所)。その昔、インドにトイレを広めることで治安の改善を成し遂げた「トイレの父」と呼ばれる人がつくった施設で、市街地の喧騒から離れた、聖地のような美しい場所でした。

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(画像提供:三田愛さん)

Gandhi3.0 グリーンズ

中には、日本でおなじみのあの猿の石像も(画像提供:Eric Elnes/Service Space )

参加者は全員で80名。うち40名がservice spaceの代表、ニップン・メータから招待された世界各国のリーダーたちで、他の40名は10日間のプログラムを支えるボランティアです。

前半の5日間は「Pre-immersion」と称され、いろんな場所へ出向き、さまざまな体験をしました。観光では行かないような、電気もガスも水道も通っていないローカルビレッジで子どもたちに出迎えてもらったり、糸紡ぎやヘナアートを体験したり、混沌とした雰囲気の市街地を巡ったり、寺院で礼拝をしたり。

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ガンディーの教えをもって運営される現地の女学校で、生徒たちがお出迎え。「“やらされ感”がなくて、心から歓迎して歌ってくれたり、話しかけにきてくれたりして、愛をこめた学校運営を感じた」と愛さん(画像提供: Eric Elnes / Service Space )

たくさんの刺激をもらう一方で、愛さんは不安も感じていたそうです。

愛さん 「地球コクリ!」の英語の冊子を持っていき、張り切って準備していたんだけど、2日目の夜だったかな、部屋で参加者のプロフィールを見たら、オバマ元大統領の弁護士だった人やダライラマから表彰された難民支援活動を行うシスター、ハリウッド女優、社会問題をカッコ良く歌うヒップホップ歌手……と、すごい肩書きの人ばかりだったからビビっちゃって。

日本では、リクルートやじゃらんリサーチセンター、前身の「コクリ!」の名前で比較的認知してもらいやすいけれど、そういうのが一切なく、私にはわかりやすい肩書きもないし、英語で「地球コクリ!」の説明をするのも簡単ではなくて、ちょっと自信を失ってしまったんです。

そこで愛さんは、なるべく1:1でじっくりと対話をするように心がけたといいます。グループでの会話に思うようについていけず、自信を失っていた中で「私が得意なのは、一人ひとりの根っこに触れながら深い関係をつくることだった!」と思い出したのです。自己紹介から始まり、徐々に深い質問を交わしていくことで一人ひとりの根っこにある思いに触れることができたそう。5日間でメンバー同士の関係性も構築され、愛さんの緊張も徐々にほぐれていきました。

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(画像提供:Johannes Narbeshuber / Service Space)

祈りの儀式から始まり、みんなが根っこでつながった

参加メンバーは日を追うごとに増えていき、全員が揃った6日目からは、いよいよGandhi3.0のメインプログラムが始まりました。メイン会場となったのは、Pre-Immersionの5日間は使われなかった大きな部屋。全員で話す時はそこで輪になって座り、グループに分かれて話すときは外に出る、というスタイルで進みました。

愛さんは、初日、その部屋に入る前に外で行われた“儀式”が印象的だったと話します。

愛さん 全員で輪になり、床におでこをつける儀礼をしたり、インドの歌手の人が歌を捧げたり。招待メンバーから選ばれた3人による、世界のいろいろなスタイルでの祈りを捧げたあと、リトリートセンターを無言で祈りながら巡って、最後にお部屋に入ったんです。部屋に入るまでに1時間ぐらいかかりました。

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全員で輪になり、祈りから始まったメインプログラム(画像提供:Service Space動画より)

愛さん すごく儀式を大事にしていましたね。センターのあちこちに「太陽へ感謝」のように、祈りの言葉が書かれていて。自然に囲まれ、祈りにあふれた空間を歩きながら、素敵な言葉が飛び込んでくるんです。無言で、歩きながら瞑想をしているようで。いろんなものが混ざり合いながら、でも全て、深い精神はつながっていることを感じられるような時間でした。

Gandhi3.0の思想の一つに「世界中のリーダーたちが根っこでつながり合えば、何かが起きても倒れない」という考えがあるようです。

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センターのあちこちに散りばめられていた、祈りの言葉(画像提供:Service Space /Johannes Narbeshuber )

メインプログラムの2日目から3日間は、1日ごとに“ME”・“WE”・“US”と大きなテーマが設定され、その日の朝に渡される冊子に書かれているガンディーにまつわるストーリーやポエムを読み、それを元にした問いを少人数のグループに分かれて議論して深め、その後みんなで共有する、という流れで進んでいきました。内容は概念的で深いものが多く、愛さんは辞書を片手に臨んだそうです。

愛さん 中でも“US”のテーマが「地球コクリ!」で大事にしていることと同じで。「コクリ!」でずっと言ってきた「システムの中の私たち」「大いなるものの中の自分」のような、深いところでつながっている感覚が問われるんです。だからその場にいるみんなも、そういう感覚、意識だった。「コクリ!」で大事にしているところを彼らも大事にしていたから、13年やってきた自分にこそ出せるものがあるのだと、確信的になっていきました。

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少人数のグループに分かれ、芝生の上で対話の時間(画像提供:service space 動画より)

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屋内での共有は、椅子の一つひとつに”LOVE”、“BEAUTY”などの言葉が書かれた空間で(画像提供:service space 動画より)

非言語の可能性を感じた、書道によるコ・クリエーション

メインプログラムの5日間で、愛さんが最もインスパイアされたのは、2日目の夜に開かれた「サイレントディナー」だったといいます。

愛さん 夕方ごろ「今からはサイレントです」と言われ、会場へ歩いていくと石鹸を渡され手を洗ってから座り、次々とサーブされるインド料理を、インドに敬意を表して手で食べたんです。そうしたら、なんだか懐かしい気持ちが湧き上がってきて、涙が出てきて。ここにいる人たちと深いつながりを感じるのは、前世できょうだいだったのかもしれない、とか、世界情勢が大変な中で「今が集まるときだよ」って神様たちに集められたのかな、っていう感覚になったんです。

翌日「みんなが根っこでつながっている気がした」とその時の感覚をみんなにシェアしたら、「アイが言うことは本当にビューティーでポエティックで心に響く」と言ってもらえて。それがすごい嬉しかった。こういう感覚も、日本の精神性につながるものがあるんだろうな。

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サイレントディナーの様子。プログラムの随所に“サイレンス”の時間があったそう(画像提供:Service Spaceの動画より)

プログラム中のコミュニケーションは基本的に英語。愛さんも英語を話すとはいえ、抽象的な問いを深めていくようなプログラムでは思うように言葉を操れないと感じていたそう。だからこそ、このように「非言語」の場面で、みんなと根っこでつながる可能性を見出しました。

愛さん かつて「コクリ!」で地域や社会の変容を目指していた時にも、体のワークや非言語を取り入れていました。「地球コクリ!」になって生態系全体と向き合い始めたとき、人間以外の植物や動物、地球とつながるために、非言語の何かにチューニングする必要があって。言葉ではない、感覚とかアートとか、そういうものが大事になってくると思っていたんです。

非言語でつながっていく感覚が研ぎ澄まされていく中で、その必要性をはっきりと確信したのは、3日目のこと。37年間書道をしてきた愛さんが、全員の前で書道によるコ・クリエーションの儀式を行ったのです。

愛さん Gandhi3.0への招待をいただき、主催者のニップンと事前のやりとりをしているときに、私からのギフトとして「こんなこともできるよ」と、羽黒山伏の星野先達とともに行ったパフォーマンス書道の奉納の動画を送ったんです。法螺貝がわんわんと鳴り、般若心経を唱えている横で私が書いているものなんだけど。「すごくいい、一緒にコ・クリエーションしたいね」と言われたから、念のため準備をしていたんです。すると向こうはやる気だったみたいで、現地で打ち合わせを進めました。

ボランティアのみんなが、どこで私のギフトが出ると一番いいのか、真剣に考えてくれました。結局、私にとって一番理想的な、みんなに周囲に立って見てもらう形になったんです。

Gandhi3.0 グリーンズ

(画像提供:Service Space)

過去の動画を参考にして「横で音を鳴らす人がいた方がいいね」と、参加者の中から2名、ドラムを叩く人と中米の儀式で使われる楽器を奏でる人に声をかけ、一緒に演じてもらうことに。

愛さんが書いたのは、地球の4元素である「地」「風」「陽(火)」「水」そして「龍」の文字。書き始める前、愛さんは自身の書道について「天地をつなぐ書道」であることを伝えたそうです。

愛さん 私の書道はパフォーマンス書道ではなく、コ・クリエーション儀式(co-creation calligraphy ritual)なのだと伝えました。私が書くのをみんなに鑑賞してもらうのではなく、その場にいる全員のコ・クリエーションでつくる儀式だ、と。

そして、「地」を書くときには“地球”の音を即興で奏でてもらった上で、輪になって見守る参加者全員で地球のエネルギーにつながってもらいました。私はそれを全身で感じながら、腕を通し、筆を通し、墨で紙に落としていく。それを、他の文字でも同じように、「全員での儀式」として行いました。

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愛さんの書道によるコ・クリエーションの儀式の様子は、こちらの動画からもぜひ(画像提供:Service Space)

この時のことを「みんなのエネルギーがつながり合い、私がそれを受けて書いておさめる、という感じだった」と愛さん。これを機に、「地球コクリ!」をリードしてきたこれまでの自分と、アーティストとしての自分を掛け合わせる可能性が見えてきたといいます。

愛さん 私にとって、この出来事がものすごく可能性の扉を開きました。37年間続けてきた書道家・アーティストとしての自分と、20年ほど場をつくってきたファシリテーターとしての自分が、「地球コクリ!」の「全てのいのちとつながる」という意図のもと融合するような感じでした。

あの場の空気感をファシリテーションだけでつくろうとしたら、数時間はかかります。でもアーティストとして「儀式」を行ったら、15分くらいであの空気感をつくれてしまうことが大きな発見でした。実際、私の書道を通じたコ・クリエーション儀式のあと、みんながすごく深いところでつながった感触があり、空気がガラッと変わったんです。

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「龍」を書いている間は「本当に龍が来ていた気がするよ!」と主宰のニップンから、撮影中のカメラが1台その間だけ録画できていなかったという不思議なエピソードとともに伝えられたそう(画像提供:Service Space)

実は愛さん、欧米からの参加者がセッションでよく話し、“言語的”な思考が優れていることに圧倒されながらも、「コクリ!」で身体や自然を使ったワークを多数開催してきた立場としては、少し「もったいなさ」を感じていたといいます。そんな参加者たちが、愛さんの書道のあとは、沈黙の時間も大事にしながら、より深いメッセージで会話をする空気に変わったのだそう。愛さんはこの経験を通じて「非言語」の力を確信しました。

愛さん 非言語やアート、そして日本の精神性やそれが表れる「道」や「祈り」というものにすごく可能性を感じましたし、「地球コクリ!」をやってきた書道家である自分自身が、世界へ貢献できる可能性やヒントをもらえた、すごく大きなチャレンジとなりました。

Gandhi3.0 グリーンズ

愛さんは参加者のみなさんに、一人ひとりの願いを、それが叶う祈りとともに書道にして贈った。バラク・オバマ政権下のホワイトハウスで顧問弁護士兼上級政務官を務めたPreeta Bansalさんの願いは「gentleness(穏)」。理由として「男性社会の中で埋もれがちな自分の中の女性性が解放されるように」と語る表情は、とても穏やかで、「深い根っこでつながれた時間だった」と愛さん(画像提供:Service Space)

愛とケアのバスタブだったから、自分にもできると思えた

プログラムを通し、不安もありながら最終的には書道家としても手応えを感じることができた愛さん。10日間を振り返り、ボランティアスタッフのからの「ギフト」で成り立つ運営のあり方が、アーティストとしての自分を目覚めさせてくれたと語ります。

愛さん Gandhi3.0を運営するservice spaceは、数百人のボランティアで成り立っている団体。このプログラムにも40人のボランティアが参加していたけれど、本当にサービス奉仕の精神で働いていて。どうやったら参加者一人ひとりが自分らしさを発揮できるか、その人が今何に興味があるかをしっかり見極めていて、一人ひとりの目覚めを本気でサポートしてくれたんです。最初に「You are loved」って書いてあるネームタグをもらったり、部屋には私の似顔絵や名前入りボトル、手書きのウェルカムメッセージがあったり、「サービスの報酬はモア・サービスだよ」って話してくれたり。愛とケアのバスタブに浸かっているような10日間でした。

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初日の夜、部屋に入ると愛さんの似顔絵や、”Ai”と名前が刻印されたボトル、手書きメッセージが用意されていた。全体を通して、至る場面に手書きのタグやイラストなどのギフトがあったそう(画像提供:三田愛さん)

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オープニングパーティーでは、ボランティアが手づくりした“You are loved”と書かれたネームタグをつけて過ごした(画像提供:三田愛さん)

世界で活躍する素晴らしいリーダーたちの中で、はじめは自信を失いかけた愛さんが最終的に全員と「魂でつながれた」と感じられるようになったのも、愛とケアのバスタブのような環境で、言動の一つひとつが尊重され、自信を取り戻すことができたから。

愛さん すっごい影響力のあるリーダーたちなんだけど、愛とケアのバスタブだったから、肩書きじゃなく“魂”でつながれたと思います。やっぱり自分の発言を受け入れ尊重してくれると、自信がついて自分らしくあれる。自分はみんなに愛されてるし、このままで大丈夫っていう感覚でいると、「もっと発揮したい」「もっと貢献したい」っていう思いになっていったんです。

だから、「地球コクリ!」を世界でやることに難しさも覚えていたけれど、意外とそうじゃなくて、自分の英語力も含めて、これまで日本国内でやってきたことで十分に貢献できる、と。かつ、そこに書道家としての自分も見えてきた。海外でも堂々と儀式的なパフォーマンスができる、という自信になりました。

Gandhi3.0 グリーンズ

中でも愛さんが感動したのは、自分の書いた書道がみんなの目に留まる場所に飾られていたこと。なんと、最終日に2〜3時間かけて行った儀式では、最後のハイライトの場面に、愛さんの書道が飾られていたのです。

愛さん 私の書を一番大切な場面に使ってくれた彼らの愛とケアにも感動したし、私がそこに貢献できていることが嬉しくて。いろんな感情が入り混じり、一人号泣してしまいました。

Gandhi3.0 グリーンズ

最後の儀式では、無言で数歩歩いては地面に額をつけて祈る、を繰り返しながら広大な会場を一周。神聖な時間のゴール地点で、一番のハイライトとも言える場面に、愛さんの書道が飾られていた

このように、「愛とケアのバスタブ」の状況で自らを発揮できるという体験は、これからの「地球コクリ!」にも大いにいかせるヒントになったといいます。

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帰国後、家を掃除したり肌のケアをするようになったという愛さん。「愛とケアのバスタブの環境を自分でつくっているんだと思う」と話す(撮影:村崎恭子)

愛さん 自然や地球は、すでに私たちを受け入れてくれるし、こっちが気付きさえすれば、向こうは愛とケアのバスタブで迎えてくれているんですよね。そこに気づくっていうチューニングができれば、「地球コクリ!」を全部人の力でやらなくてもいいんじゃないかなと思えるようになりました。

誰にでも、自分が一番愛とケアを感じられる、好きな場所って絶対あるから、そういう場所に行ってみるのも一つですよね。静かで気持ちのいい公園に行ってみるとか、満員電車に乗るのをやめてみるとか。この、自分が気持ちよくて、愛されている感じがするところに敏感になって日々の選択をしていくことで、入ってくるエネルギーが変わる。服でも食べ物でも住む場所でも、実は全部選択できるので、そこは明日からでも、みんなができることかもしれない。

Gandhi3.0の映像をみていると、靴を揃え、掃除をするシーンがよく映ります。決して華やかさはなく、ただ、そこいる人や場所に対しての愛を感じる所作や佇まい。キッチンでボランティアが野菜の皮剥きをしていると、それを見て一緒にやり始める人がだんだんと増えていくような場面もあったそう。「強制するわけじゃなくて、見ていたら自分も関わりたくなる感じ。それが本当に上手だった」と振り返ります。

「地球コクリ!」は世界へ向け可能性を開きはじめた

Gandhi3.0に参加したことは「世界に広がる可能性の扉がバンっと開くきっかけになった」と愛さん。日本国内で300人以上の人たちをつないできた「コクリ!」が、さらに世界中の人たちと根っこで深くつながり、コ・クリエーションによる化学反応を起こしていきたいと語ります。

その中で仲間と大事にしているキーワードは、やはり「非言語」、そして「日本の精神性」です。

愛さん 「Gandhi3.0×日本」の可能性も話し合っています。彼らの良さと、日本だからできることを掛け合わせることが大事だね、と。紛争がある中での平和的革命っていうガンジーの思想を精神的支柱にみんなが集まっているんだけど、平和な日本だからこそ培われる精神性みたいなものは、日本ならではのやり方でできるんじゃないかなって。言葉を使わずに感性を使うような、書道や華道、山伏とかを通して、日本の精神性につながるようなことですよね。

まずは種まきだと思っていて。いろんなギフトを持つ世界中の人たちとつながり、その人たちが探究してきたものと掛け合わせてコ・クリエーションすれば、今まで起きなかったことが起きるはず。そうするときっと、面白いアイデアも生まれてくるから、具体的な共同研究が海外で始まるかもしれないし。

Gandhi3.0 グリーンズ

(撮影:村崎恭子)

日本からの「地球コクリ!」の輪郭が見えてくる中で、もう一つ愛さんが感じている概念が「母性のリーダーシップ」というもの。

愛さん 「コクリ!」って、みんなが本領発揮して行くための「器」をつくるようなイメージなんです。みんなが安心してつながれて、その人の本質に戻るための器をつくっている感覚がある。以前、デザイナーの太刀川英輔さんがこのことを「コクリ!は子宮の中にいるみたいだ」って表現してくれたんですけど、それがすごく好きで。そういうのも日本的だと思うんですよね。全てに命があって、全てが生かされているみたいな世界って、母性的な感覚だろうなと思って。

人だけでなく全ての命が生かされ、本領発揮をして、そのハーモナイズで世界が良くなっていく中には、勝ちとか負けとかの価値観が存在しない。そういうことって今、世界でとても必要とされているんだろうなって感じているんです。

Gandhi3.0に参加してからもうすぐ3年。帰国後は定期的に仲間たちで作戦会議を重ね、「地球コクリ!」は今、世界中の人たちと根っこでつながるために、「祈り」をテーマに動き出しています。

インドやデンマークなど、愛さんによる海外での書道儀式も積極的に行いながら、新たに始まったのが、アートと祈りを融合させ、日常の中の祈りを取り戻していく「地球コクリ!アート」。Gandhi3.0で確信を得た「日本の精神性」を形づくる「日常の中の祈り」を、海外から招いたゲストや現在に生きる日本人に伝えるべく、世界中の民族楽器を即興で奏でる音楽家・奈良裕之さんや、うたうたいの山口愛さんたちとともに、儀式と祈りの旅を探究しています。

Gandhi3.0 グリーンズ

2024年3月、地球コクリ!の仲間と共に、千葉・いすみ市にて行った「祈りの旅」。音楽家の奈良裕之さんとともに、その場にいる人たち全員で、感覚をひらき、共に祈り、「人・神・自然」とコ・クリエーションしていく(画像提供:地球コクリ!)

愛さん 愛とケアのバスタブに浸った体験を通じて、日常の中の「祈り」こそが大事だと確信しました。祈りは、人・神・自然のコクリエーションだと思うんです。

例えば、「野良作業は祈りである」と言う方がいます。農作業だけでなく、発酵食品であったり「お天道さま」や「いただきます」といった言葉であったり、日本には目に見えない命とのつながりを大切にしてきた感覚が食べ物や習慣として残っています。

日本人でも忘れかけているそうした感覚を、日本をフィールドに、アートと旅を融合させることで研究テーマとして成立させ、食や暮らしを通じた精神性の回復を目指しています。その中で、儀式的なものをフィーチャーしたのが「地球コクリ!アート」であり、現在は「日本の精神性をめぐる旅」の研究へと発展しています。祈りを神事として特別な人だけが行うのではなく、私たちが取り戻したい。

Gandhi3.0 グリーンズ

ソース理論の提唱者、ピーター・カーニックさんたちと鴨川市の棚田を訪問。大切に整備された道具屋、美しく並んだ棚田は、地域の長老から受け継いだ毎日の野良作業の表れ(画像提供:地球コクリ!)

Gandhi3.0 グリーンズ

いすみや鴨川などで行う「日常の中の祈り」に対し、沖縄の聖地や湯河原の白雲の滝などでは「ハレの祈り」を行う(画像提供:地球コクリ!)

Gandhi3.0を通して愛さんに起きた変容や気づき、そしてそこから始まった新たな動きから、あなたは何を感じましたか。

政治や学問など、世界の第一線にいるリーダーたちが、今までにない感覚を味わい、どっぷりと浸かって変容していった10日間。参加者たちは自身のエゴを超えた大きなものとつながり、可能性が開かれた人ばかりで、それぞれの場所に帰ってから、愛さんのようにいろんなご縁がつながり、動き出しているようです。

気候変動、次々と連鎖的に起きる戦争や侵攻など、今の世の中をどうにかしたいと思っている人も多いことでしょう。あなたの中にも「平和的革命」の精神性は、きっとあるはず。「何かしなきゃ」と頭で考える前に一度、愛さんが語るように“愛とケアのバスタブ”に自らを浸らせてみませんか。

大切な人との時間に、感性や身体性を伴う非言語の表現を楽しんでみたり、あるいはもっとシンプルに、自分が心地よく感じる場所で過ごしたり、気持ちよくいただける食材を選んだり。それはもしかすると、「日常の祈り」を思い出す瞬間なのかもしれません。そんな中でこそ、自分の本質を認め、自らを発揮できる方向が見えてくるのではないでしょうか。

(編集:古瀬絵里)
(取材協力:廣畑七絵)
(トップ画像提供:Service Spaceの動画より)

– INFORMATION –

今回ご紹介した「Gandhi3.0 Reatreat2023」の内容は、service space代表・ニップン・メータの開催直後のブログでもご覧いただけます。愛さんの紹介もされてるので、ぜひ読んでみてくださいね。

詳細はこちら

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