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教育とまちづくりをひとつに捉え、人口1,000人のまちを未来へつないでいく。サステナブルな生き方を学ぶモリウミアスで、「暮らし」と「食」を支えるスタッフ募集 #仲間募集

この求人のグリーンズジョブでの募集期間は2023年1月20日(金)〜2023年2月17日(金)です。
募集要項は記事末をご覧ください。
自然環境は、果てしなく豊か。でも人口は減り、まちは衰退していく。

そんな景色がいま、日本の過疎地域に広がっています。

「なんとかこのまちを、未来へとつないでいけないか」

地域に足を運び、豊かな自然の恵みを享受して、地元の人との関係性を育むうちに、そんなことを思うようになった経験のある方もいるかもしれません。

モリウミアスの代表・油井元太郎(ゆい・げんたろう)さんも、かつては地域を訪れるたびにそんな想いを抱いていたそう。

東日本大震災の後、ボランティアとして訪れた石巻市雄勝町に残されていた廃校をいかして子どもたちがまちの自然とつながる体験施設「MORIUMIUS(モリウミアス)」を立ち上げてから7年半。子どもだけでなく、保護者や企業研修の方、各分野の専門家など年間1,500人もの人が訪れるようになったいま、油井さんの視線は、「子ども」から「まち」へ。いえ、「子どもとともにまちへ」と言った方が正確かもしれません。

名実ともに、「まちの未来をつくる」ことに向けて歩み始めたモリウミアスで、いま、「暮らし」と「食」を担うスタッフを募集しています。暮らすこと、食べること。日常の営みから未来を育む、モリウミアスの仕事とは?

▽「モリウミアス」については、こちらの記事もご覧ください。
子どもたちと、まちの未来をつくる。それは自分自身の未来を切り開くこと、でもある。いま、石巻市雄勝町「モリウミアス」で働くということ。

森と海と、“子どもとまちの”明日へ

東日本大震災による津波が押し寄せ、まちの約8割の民家が流されるという大きな被害を受けた宮城県石巻市雄勝町。年間を通して、ホタテ、ホヤ、牡蠣、銀鮭といった海の幸に恵まれる、リアス式海岸の美しいまちです。

このまちの高台にあった廃校が、2年半に渡りのべ5,000人の手で再生され、子どもの複合自然体験施設「MORIUMIUS(モリウミアス)」として歩み始めたのは2015年7月のこと。

火をおこしてかまどでご飯を炊き、生ゴミを堆肥化し、豚や鶏など動物の世話をし、森に入り手入れをして、漁船に乗り込み海の幸を得る。「サステナビリティ」というコンセプトを軸に、自然との共生の中で子どもたちが自ら生きる力を学び取る7泊8日の夏のプログラム(※)を中心に、春から初夏、秋から初冬にかけては週末のショートプログラムも展開し、都心を中心に全国から子どもたちが訪れるようになりました。

(※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、それまで7泊8日だった夏のプログラムを、2020年は4泊5日、2021年以降は6泊7日に変更して開催しています)

宿泊中は、自ら火をおこしてかまどでごはんを炊き、出汁からとって味噌汁をつくり、海の幸をさばく等、自然との共生の中で自炊を体験します

雄勝湾から漁船に乗り込み、漁師の仕事を体験。見たこともない海の生物に触れるとともに、漁師という仕事を知る貴重な機会

コロナ禍でもオンラインプログラムや地元の海の幸を盛り込んだ食品の通信販売も次々に事業化し、企業研修やアーティストも積極的に受け入れ、子ども大人問わず関係人口を増やし続けてきました。

2022年4月からは子どもが長期に渡って自然の循環とともにある暮らしを営み、地元の公立小中学校に通う「漁村留学」もスタート。2022年度は、3人の子どもたちがモリウミアスで暮らし、地元・石巻市立雄勝小中学校に通っています。

全校生徒30人の中で3人の存在は大きく、日々の学校生活で刺激を与え合うだけでなく、地元の子どもたちがモリウミアスを訪れるなど、活発な交流が生まれ始めました。ときには、留学生が漁師さんのお手伝いをしたり、地域の方の自宅に泊まりに行ったりすることも。留学生を通して、学校や地域の人々とモリウミアスの関係性も深まっています。

2022年度漁村留学生のみなさん。地元の方から魚介類など差し入れをいただくことも

さらに2023年度からは、石巻市と民間事業者、個人が一体となり、雄勝町の中心部にある津波被害の跡地で進めている公園事業の担い手として、本格的なスタートを切る予定。モリウミアスは2万平米もの広大な土地を引き受け、葡萄畑とワイナリー、食品加工場、レストランなど、雄勝町内外の人々が集うフィールドを生み出す計画が動きはじめています。

全体イメージ図。2万平米もの広大な土地をモリウミアスが担います

モリウミアスのことを「子どもの体験施設」と思っていた方は、ここ数年の動きに変化を感じるかもしれません。

でも、そもそも「モリウミアス」という名前の由来は「森」と「海」と「明日」にあり、「明日」には当初から「子どもとまちの明日」という意味を内包していました。当時は「まち」という言葉に復興の意味合いが強く含まれていましたが、「まちづくり」という思想はずっとモリウミアスの根底に流れ続けていたのです。

設立から7年半。まずはあるものをいかして子どもたちの学び場を営むことで、関係人口を増やし、まちとのつながりを育み続けてきました。これまでの確実な歩みをベースに、漁村留学や町中の公園での農事業など、いよいよ本気で「まちづくり」へと舵を切り、モリウミアスは新たなフェーズに入ったと言えるかもしれません。

2022年11月、紅葉に包まれたモリウミアスのフィールドは、冬へと向かう静かなときを刻んでいました。

自分自身が楽しみ、暮らしのモデルをつくる。
「泊まるチーム」の仕事

さて、進化し続けるモリウミアスにおける仕事とは?

モリウミアスのスタッフは、主に「学ぶチーム」「泊まるチーム」「食べるチーム」の3つに分かれており、個人の興味関心やニーズに応じてチーム間を横断しながら仕事をしています。ここからは、今回のスタッフ募集の対象となる「泊まるチーム」と「食べるチーム」の仕事について、スタッフの方々のインタビューを交えてご紹介していきます。

まずご紹介する「泊まるチーム」は、モリウミアスの宿泊予約や設備管理、お客さんとのやりとりや経理も含むバックオフィス業務全般を担います。モリウミアスの“縁の下の力持ち”とも言える「泊まるチーム」で活躍する原田明季(はらだ・あき)さんにお話を伺いました。

どんなときも弾ける笑顔で働く原田さん(モリウミアスネーム「はららん」)は、子どもたちからも大人気(撮影: 亀山啓太)

兵庫県姫路市出身の原田さんは、NPO職員や塾講師、公立中学校の教員を経て2018年よりモリウミアスに合流。約5年間にわたりプログラムの予約管理や問い合わせ対応、学校団体との調整等事務仕事のほか、掃除や風呂炊きなどの体力仕事も担ってきました。

いまでは泊まるチームの中心で、誰からも頼られる存在の原田さんですが、参画当初はどこまでも主体性を求められる組織のあり方に対する戸惑いも大きかったと語ります。

原田さん 「郷に入っては郷に従え」という言葉がありますよね。でもここでは、「従おう」と思うと「従わずに自分で考えて!」って言われちゃって、「えー! 最初くらい従わせてよ」みたいな(笑)

つまりモリウミアスの「郷」って、人それぞれにあるんですよね。一番大事なポイントだけ抑えていれば、それぞれに大事にしたいことを持っていていい。だから、みんなの考えを探りつつ、自分の答えを見つけていく姿勢が求められます。難しいけど面白いですよ。最初は修行ですが(笑)

(撮影: 亀山啓太)

戸惑いながらも、スタッフやまちの人、訪れる人々とのコミュニケーションにあふれる仕事のなかで、自分自身の生き方の根本を見つめ直してきたと振り返る原田さん。モリウミアスの仕事の魅力をこのように表現してくれました。

原田さん ひとことで言えば、多様性。子どもたちのプログラムでも大事にしていることですが、いろいろな人のいろいろな価値観に触れることで自分の視野も広げられます。

泊まるチームはコミュニケーションの窓口だからこそ、多様な人々との出会いが多く成長のチャンスにあふれています。単純な事務作業も多いのですが、各業界のスペシャリストの方など、たくさんの刺激的な出会いがあるのはモリウミアスならでは。

こんな世界があるのか、こんな考え方もあるのか、っていつも新鮮な驚きがあって、コミュニケーションが好きな方にとってはすごくいい環境だと思います。

短期プログラムに参加する子どもたちに同行して宿泊する保護者のみなさんを、鶏小屋や豚の住処へと案内する原田さん(撮影: 亀山啓太)

多様性にあふれるモリウミアスで働くことで、暮らしも「180度変わった」と言う原田さん。休日は衣類を繕ったり、地域のお方の家でお茶をしたり、農作業のお手伝いをしたり…。このまちの人や自然とつながりにあふれる暮らしを満喫している様子です。

原田さん 私、マッチさえすれなかったんですよ。こんなにエコで丁寧な暮らしがあるなんて全然知らなかったし、震災のことも漁師さんの暮らしも野外活動も全く知らなかった。

だから何もかもが新鮮で。自然にも周りにもフェアな生き方っていいな、と思いますし、ここにいるとそういう暮らしの情報がいっぱい入ってくるので、あれもこれもやりたくなって楽しいですね。

私の役割は「暮らしのモデルをつくる」といいますか、私自身が楽しむことで「モリウミアスで働く私たちの暮らしがこんなに素晴らしいものなんだよ」って子どもたちや地域の人々に伝えていきたいですし、そのことで私たちが周りにとっていい影響を与えられたら最高だなって思っています。

2022年にはモリウミアスの「学ぶチーム」スタッフ安田健司さんと入籍し、雄勝町内に新居を構えました。原田さんの人生も、新たなステージへと向かっています。

原田さん このまちには震災後、いろいろな人が訪れましたが、やはり長くいる人は少なくて。地元の方の中には「みんなすぐに去っちゃう」という感覚があるのを感じます。私も帰省するたびに「辞めたのかと思った」と言われてしまうんですよね。

でも私はそういうみなさんの気持ちに寄り添いたい。見ず知らずの私によくしてくれたみなさんに、「私はいるよ」と言ってあげたい。悲しませたくない。いまはそんな気持ちとともに、このまちで生きています。

「いつか自分で宿泊業をやりたい」という想いを携えながら、いまここでの暮らしも仕事も存分に楽しみ、人々との関係性も大切に育んでいる原田さん。「ここで働く時間は絶対に無駄にならない」と語る真っ直ぐな眼差しが印象的でした。

薪ボイラーでお風呂を炊くのも「泊まるチーム」の大切な仕事。訪れた人々の暮らしのすべてを支える、まさに”縁の下の力持ち”です(撮影: 亀山啓太)

多様な人との関わりの中で、自分の興味関心を具現化していく。
「食べるチーム」の仕事

「泊まるチーム」とともに、今回スタッフ募集の対象となる「食べるチーム」は、モリウミアスが大事にしている“自然とつながる食”に関する業務全般を担います。

地元漁師さんや産直から食材を仕入れ、保護者や企業研修等で宿泊する方向けの食事をつくるのはもちろん、子どもたちのプログラムにおける料理のレクチャーも担当。一昨年からはオンラインプログラムの講師や通信販売「モリウミアスアットホーム」の商品開発など、モリウミアスの事業展開とともに、仕事の幅は広がっています。

今回お話を聞いたのは、モリウミアス設立当初から「食べるチーム」の顔として活躍してきた山口孝則(やまぐち・たかのり)さんです。子どもたちからも「ホヤさん」として愛される山口さんは、岩手県出身。自衛官として6年間働いた後、食の専門学校に通い、さまざまな飲食店での勤務を経てモリウミアスに合流しました。

「手に職を」と食の世界に飛び込んだ山口さんをモリウミアスへ導いたのは、「生産地で働きたい」という想い。専門学校時代にモリウミアスの前身となる団体のインターンとして雄勝町の漁師さんの仕事に触れ、都心のレストランの発注作業との間に大きなギャップを感じたと言います。

山口さん 漁師さんは朝3時から出かけて20代の僕でもヘトヘトになるほどの労働をしているのに、レストランでは夜にFAXで魚介類を注文したら、朝納品されるのが当たり前。「便利ならいい」、「効率的な方がいい」という価値観に違和感を覚えました。漁師さんの暮らしを体験した僕が、生産現場を伝えながら食事を提供することができたら、漁師さんにも喜んでもらえるんじゃないかと思ったんです。

漁師さんの日常に直接触れた経験がレストラン現場への違和感へとつながりました

モリウミアスで働き始めて2年ほどは、子どものプログラムに深く関わることなく、宿泊に来た方々向けの料理の提供に必死だったという山口さん。先輩スタッフと共に、モリウミアスにおける“食の軸”を見定めていきました。「子どもも安心して食べられるものを提供したい」という想いから、2年の月日をかけて3つの基準をつくりました。

『本当に身体にいい料理を追求する』

①食材:菌を生かした発酵料理
無農薬・無科学肥料・天然醸造(こだわりの生産者を大事に)
地産地消(身土不二)
玄米菜食(原点回帰・日本の伝統的な文化)

②愛情:食べる人のことを考えて、手間暇をかけて料理する。

③料理:郷土・伝統料理に敬意を。

この基準をもとにつくられたモリウミアスの食事は、いつしか訪れる人々を魅了するように。

2022年11月、筆者が訪れた際の夕食の一皿。山口さんの素材をいかした料理に加え、季節感あふれる演出にも魅了されました

リピーターのみなさんが絶賛するその美味しさの秘訣は、これらの軸に加え、多様な人が関わるモリウミアスのあり方にあるようです。

山口さん 他の飲食店と違って、スタッフは毎年冬に研修に行くことができますし、子どものプログラムにもゲストシェフを招いています。オンラインで料理人の人と対話したり、地域のお母さんが来てくれることもあります。多様な人が関わってくれる団体だからこそ、外からの刺激で自分では思い付かないことを料理に落とし込んでいける。新しいアイデアを生むためのきっかけがたくさんあるんです。

山口さん自身も「里山十帖」(新潟県)や遠野(岩手県)の「民宿 とおの」、「とおの屋 要」に研修に行き、そこで学んだ食のあり方や発酵の哲学をモリウミアスに持ち帰ったそう。また、ゲストシェフとして招いたインド料理のシェフから学んだスパイスの使い方や、地元のお母さんたちから聞いた保存食の知恵は、いまも日々の料理にいかされているそうです。

毎年東京でポップアップ開催される「レストランモリウミアス」でも、世界の三つ星店で活躍したシェフを招いて料理のセッションが行われています。山口さんの真剣な面持ちが緊張感を表しています

多様性に溢れ、風通しの良いモリウミアスならではの料理を生み出し続けている山口さん。7年半の月日を経て、いまもっともやりがいを感じているのは、当初全く関心のなかった子どもの教育なのだとか。

山口さん モリウミアスで魚をさばいた子どもたちは家でもやるのかなと思っていたのですが、実はそうでもないということを知って、教育に興味を持ちました。行動が変わるのは最終形態で、実はとてもハードルが高い。

それでも、なんとかならないかと家での学びを充実させることに取り組み始め、いまは雄勝の食材をきっかけに自分の暮らしの中のことにも目を向けてもらうようなオンラインプログラムも届けています。

オンラインプログラム「自然と循環・季節の暮らし1年コース」では、全国の子どもたちに毎月食材を届け、各家庭で料理にチャレンジしてもらっています

プログラムに参加した子どもたちが家でも魚一尾を親御さんにおねだりしてさばいていたり、お母さんが料理をする大変さを実感したり、といった子どもたちの変化や成長が、いまの山口さんの原動力。これからはガーデンパーク事業の一環として食品加工場の立ち上げに注力するとともに、貧困など困難な環境にある子どもたち向けのプログラムにも意欲を示しています。

山口さん いまはそういった子どもたちにオンラインで学びを届けていますが、つながればつながるほど、現地に来てほしいと思うようになりました。そういう子たちにこそ、こちらでの学びをそれぞれの暮らしの拠点に持ち帰ってもらいたい。県外に旅行に行ったこともないまま親になるような子もたくさんいるので、雄勝に飛び出して来てほしいなって思います。

「モリウミアスは自分の興味関心を具現化できる環境」と語る山口さん。食を通した多様な人との関わりの中で、自らも変化し続ける山口さんの挑戦は、続いていきます。

「ピュアで優しく、指示も的確」と、スタッフからも全幅の信頼を集めている山口さん。子どもたちからの人気も絶大で、油井さんからは「一緒に働く先輩としては最高」という言葉が

「自然環境の活性」「子どもの教育」「まちの活性」をぐるぐる回していく。
モリウミアスのいまとこれから

記事の最後に、モリウミアス代表・フィールドディレクターの油井元太郎さんに伺った、モリウミアスのいまとこれからについてお届けします。

雄勝町では道の駅や商業施設、高台の住宅地等、復興工事が終わりに近づく中、モリウミアスとしては「ここ数年、これまでの活動で生まれなかったインパクトを確実に生み出している」と、感慨深い表情で語ります。

(撮影: 亀山啓太)

油井さん これまでは、「子どもたちのためにはなっているけれど、まちのためになっているかといえばインパクトは弱い」という気がしていたんです。でもいまは、漁村留学生たちの存在が地元の学校の継続やコミュニティの存続にもつながっていますし、市の公園事業については、ある意味これからの雄勝を委ねられた事業ともいえます。

これらの事業が本格化することで、「自然環境の活性」「子どもの教育」「まちの活性」という3つが大きくぐるぐる回っていくイメージを持っています。規模が大きく、まだ時間軸は見えていないですが、いろいろな人を巻き込んでいけば明るい未来が待っているんじゃないかと思うんです。

雄勝町の中心部にある公園事業の予定地では、ぶどう畑になる場所に土が入り、整備が進められています。「民間の力でまちの未来をつくっていくモデルケースになれば」と油井さん

そんないまがあるのは、やはりこれまで7年半の積み重ねがあったからこそ。

油井さん それがなければ、土地があっても大規模農業や普通の六次産業で終わっていたと思います。子どもたちと積み重ねたこの7年半の経験はとても大きいですよね。

正直、1,000人のまちをどうサステナブルにするかというのは当初は全然思い浮かばなかったですし、いまもわかりません。関係人口を増やして外の人の力を借りて町とのつながりを育むといったことはなんとなく見えていますが、それでまちがどうなるかというところまでは見えていないんです。

でも、例えば漁村留学の視点で見ると、子どもたち自身が自然環境をより良くすることや、自らいろいろなことを学んでいくこと、それがまちの未来につながっていくという視点を持つこと自体が、モリウミアスの考える雄勝のまちづくりだと言えるかもしれない。いまのモリウミアスはそういうふうに捉えることもできますね。

漁村留学体験プログラム「漁村留学2022winter」では、猟師さんのナビゲートで鹿の命と向き合う体験も。雄勝の自然を舞台に貴重な学びが展開されています

職業体験テーマパーク「キッザニア」の日本での立ち上げメンバーでもある油井さんは、かつて、キッザニアのプログラムの一環で子どもたちとともに過疎地域を訪れました。自然環境は豊かなのにまちはどんどん衰退していってしまう。そんな光景を見て、ギャップを埋めたいという想いを抱いていたそう。当時から油井さんの視点は「まち」に向いていたのです。

油井さん それがモリウミアスにつながっています。モリウミアスをつくろうと思った当初から自分の中には震災復興という目的だけではありませんでしたし、仮に震災がなくても雄勝はいずれ同じ状況に陥っていたと思います。雄勝のまちと廃校に可能性を感じたのでキャリアチェンジしてモリウミアスを始めたという経緯があります。

(撮影: 亀山啓太)

教育とまちづくりをひとつに捉え、子どもと一緒にまちをつくる。長年抱いていた油井さんの想いは、いよいよ現実のものへ。

油井さん いまの子どもは機会に恵まれていません。それは大人が機会を与えないようにしているから。もっといえば、子どもを信じてあげられていないんです。待てずに答えを安易に示してしまったり、すごく平易なことしかやらせなかったり。「まち」や「社会」についてもちゃんと伝えていない気がします。

モリウミアスの漁村留学生は、毎日ご飯をつくって風呂を炊いて、そのためのエネルギー源となる木を自分で週末に薪割りをしないと生きていけません。だからこそ、自立してたくましく、かつ自然との共生を地でいくような、地球の未来を意識した子どもたちが育っています。これからはさらにまちづくりという視点で、留学生たちにも公園事業に関わってもらえたらいいですね。

漁村留学体験プログラム「漁村留学2022winter」で薪割りをする子どもたち。日々の暮らしに欠かせないエネルギーも、自然からいただき自分たちの手でつくり出していきます

熱くまちの未来を語る油井さんに、スタッフ応募を検討している方へのメッセージをいただきました。

油井さん まだ決まっていないことが多く、未来がはっきりと定まっていないのでチャレンジングではありますが、だからこそ自己実現がしやすい環境だと思います。それぞれがそれぞれの想いを持って、子どもたちやまちの未来に向かって走っていって、振り返ると自分が描いていなかった未来が切り開かれている。そんなきっかけが、ここにはあります。

決して「永住してください」とは言いません。自分の人生の一幕としてここでなにをやるかを、一緒に考えていくような組織です。そこに可能性を感じて飛び込んで来てくれるとうれしいです。

子どもを信じて、ともにまちの未来をつくる。

サステナブルなまちづくりのモデルとなりそうなモリウミアスのビジョンを、一丸となって実現していくのは紛れもなくスタッフのみなさんです。日々の事務作業も食事づくりも、このうねりをつくるための原動力になる。あなたという存在がかけ合わさることで、そのうねりはより多様性豊かになり、未来へ向かうエネルギーは増大していく。

果てしない可能性に満ちたモリウミアスで、一緒に人口1,000人のまちの未来を育みませんか?子どもたちと雄勝のまちの人々、多様性あふれるスタッフのみなさんが、あなたの合流を待っています。

(編集:山中康司)