みなさんは最近、いつ公衆電話を利用しましたか?
携帯電話の普及によって圧倒的にその価値が薄らぎ、使われなくなりつつある公衆電話。そんななか、公衆電話に新たな価値を付加し、別のモノに生まれ変わらせるプロジェクトが世界のいたるところで進行中です。
実際、これまでにgreenz.jpでは、使われなくなった公衆電話を、ソーラーパネルを用いた充電の場として生まれ変わらせた「Solarbox」や、本でいっぱいのミニ図書館に変えてしまったプロジェクト「DUB」などを取り上げてきました。
しかし、実はまだ世の中には公衆電話の目から鱗な活用術がありました! 今回は公衆電話を”ディスコ”に変えてしまったプロジェクト、「Teledisko(テレディスコ)」をご紹介します。
年末年始、パーティーに出かける方はきっと多いはず。そのワクワクした気分で、読んでください!
テクノポップの発祥地・ドイツ首都であり、テクノ音楽のシーンをリードし、最近では数多くのアーティストが集まる都市として有名なベルリン。
そんなベルリン市内の中でも、特に数多くのクラブやアートギャラリーが点在し、街全体がアートギャラリーと表現されることもあるエリアがフリードリヒスハイン=クロイツベルク区。「Teledisko」は、その一角にある、使われなくなった古い公衆電話をリノベーションして完成した、”世界で最も小さなナイトクラブ”です。
料金は1回わずか2ユーロで、入り口でコインをいれれば室内はあっという間にダンスフロアに大変身!
室内にはストロボスコープやスモークマシーン、ミラーボールといった本物のディスコさながらの設備はもちろん、好きな音楽を自分で自由にセレクトできるタッチスクリーンまで完備。さらにオプションとして、写真や動画を撮ってくれるサービス(プラス2ユーロ)もあり、若者たちには大人気なのだそう。
街中にこんなスペースがあったら迷惑なのでは・・・!? とも思ってしまいますが、ディスコやクラブ、バーが多数存在し、クラブカルチャーが浸透しているこのエリア特有の土地柄もあって、大評判に。
利用した人々からは、
狭いけれど、スペースのことなんて忘れちゃう。こんなところでパーティーができるなんて本当にクールだよ!
とても斬新なアイデア!狭くったって踊れるし動けるし、素晴らしいよ!
という肯定的な声が多く寄せられています。
このプロジェクトの発案者は、ドイツ人のBenjamin Uphuesさん(以下、ベンジャミンさん)。「Airbnb」や、アメリカ各地に店舗を展開している、暗闇で食事ができるユニークなレストラン「Opaque Dining in the Dark」に携わってきたベンジャミンさんは、「Teledisko」についてこのように話します。
Telediskoはこれまでのナイトライフのあり方に対する、一種のカウンタームーブメントだと思うんだ。
僕は、ベルリンのDJたちが、観客と本当に向き合っているのか疑問に感じることがあるんだよ。それじゃあ面白くない。でもこれがあれば、だれでもDJになって、好きな人と好きな音楽で好きなようにパーティーができる。「Teledisko」があれば、ベルリンの未来は安心だね。
パーティー好きなベンジャミンさんの想いが詰まった「Teledisko」は、大きなクラブと違ってほんの数人しか中に入ることのできない、ある意味とっても”VIP”なナイトクラブ。自分のムードに合わせて選曲ができ、スモークなどの機能を自由にカスタマイズできるので、いわば自分が主役のダンスフロアです。
彼の想いは、使われない公衆電話に新たな価値と魅力を吹き込んだだけでなく、既存のクラブの概念を覆すユニークなスペースを生み出してしまったといえます。
公衆電話以外にも、時代の変化や便利なデジタル製品の普及によって失われつつあるモノやコトがたくさんあります。しかし、ちょっとしたアイデアと遊び心で、それらを別の価値ある何かとして受け継いでいける可能性がある。ベンジャミンさんのアイデアは、そんなことを私たちに教えてくれているのかもしれません。
[via Treehugger,LiveLeak, Teledisko,meerblog,Qetic retrieved May 2016]
(Text: 松沢美月)