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紀伊半島のディープな世界へ、ご案内! 訪れた人に地域の扉をひらく、奥熊野の「地域コーディネーター」という存在

この記事は「紀伊半島移住プロモーション事業実行委員会」との共同企画で制作しています(PR)

例えば旅先で、現地の知人や友人に案内してもらうと、ガイドブックには載っていない穴場やお店に出会えたことはないですか?

「水先案内人」という言葉がありますが、地域のガイドを味方につけるのは、その土地と深く出会うためにもっとも大切な要素のひとつ。移住という選択肢が増えた近年では、移住や滞在希望者に対する案内を行う「地域コーディネーター」という頼もしい存在が各地で誕生しています。

今回は、そんななかでも特に地域と密着した奥熊野エリアの「地域コーディネーター」の取り組みと、彼らが活躍する奥熊野と呼ばれるエリアの魅力を、合わせてご紹介します。

奥熊野とは?

日本列島の地図を見た時、ほぼ真ん中の少し左側、太平洋に向かって大きく突き出しているのが、奈良県、三重県、和歌山県で構成されている紀伊半島です。

今回ご紹介する「地域コーディネーター」が活躍するのは、紀伊半島の中でも、奈良県十津川村・下北山村、三重県熊野市、和歌山県田辺市本宮町・中辺路町の「奥熊野」エリア

三方を海に囲まれ、平地が少なく、幹線交通体系から離れて過疎化が進む半島地域を振興するために、日本では昭和60年から半島振興法が制定されています。現在23の地域が半島に指定されていますが、紀伊半島は面積の大きさでは堂々の日本一。なかでも奥熊野は、エリアのほとんどを山が占めています。高速道路の整備がなかなか整わず、山道かリアス式海岸沿いの、うねるような道しかない紀伊半島南部では、端から端まで車で移動するのに何時間もかかるのです。

奥熊野を案内する合間に撮影した「地域コーディネーター」と遊ぶ広報さんの写真。

紀伊半島で始まった移住プロモーション事業

こうしたエリアの特徴を踏まえ、奈良、三重、和歌山の三県が合同で紀伊半島への移住促進を行う「紀伊半島移住プロモーション事業」が平成27年から始まりました。

当初は年に1回、都市部でイベントを開催していた移住促進事業ですが、「実際に来てもらわないと魅力が伝わらない」という思いがあり、現地滞在型の移住促進事業がスタートしました。

紀伊半島は、陸路で見れば大阪や名古屋などの大都市からも離れている上に、山が多く移動に時間がかかるという地理的ハンディがあります。ですが、半島のすぐそばを世界有数の暖流である黒潮が流れているので特に沿岸部は年中暖かく、海の幸も豊富。雨が多いので多様な植物が育ち、柑橘をはじめとする果樹の栽培も盛んです。地域によっては「人より鹿の方が多い」と言われるほど鹿やイノシシが増えているので、ジビエもたくさんとれます。

熊野本宮大社の鳥居は日本一大きく、遠くからでもよく目立つ。

また歴史的背景を見ても、日本の初代天皇である神武天皇がこの熊野地方の沿岸部に上陸し、北上して奈良に大和朝廷を築くまでの神話や伝説がたくさん残っています。

また大自然に囲まれた熊野は、古くから神々が棲まう聖地として崇められ、熊野へ詣でることで、来世の幸せを神々に託すという信仰が生まれました。平安・鎌倉時代には、誰をも平等に受け入れる熊野三山の存在が日本中に広まり、上皇、武士、庶民と、多くの人が厳しい道のりを超え熊野を目指し、その様子は蟻がぞろぞろと連なって歩く様子に似ていることから「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど、一大ムーブメントとなりました。

熊野古道の様子。上皇、武士、庶民と、多くの人が歩く様子は蟻の熊野詣と呼ばれた。

豊かという言葉では書き尽くせない雄大な自然と、日本の起源を紐解くような歴史。そして信仰という文化。訪れる人を惹きつけてやまない要素がたくさんある地域ですが、エリアがとっても広大かつ山が多いので、観光で訪れても移動はどうしても車中心になってしまいます。つまり、歩いて街を巡ったり、現地の人と交流できるきっかけが少ないエリアでもあるのです。

そこで必要なのが、地域と訪れた人をつなぐ「地域コーディネーター」です。

奥熊野の「地域コーディネーター」とは?

奥熊野で「地域コーディネーター」が誕生したのは2020年。もともとは、株式会社Huber.が始めた「遊ぶ広報」という事業がきっかけでした。

「遊ぶ広報」は、お試し移住のような形でワーケーションをしてもらい、その地域で体感した素敵な瞬間をSNSで発信すれば滞在費を補助してもらえるという嬉しいプログラムです。

ワーケーションしながら滞在先の街を紹介する「遊ぶ広報」プログラム。

しかし、ただ単に滞在するだけでは味気ないもの。そこで、「地域コーディネーター」という頼もしい存在が誕生しました。
「地域コーディネーター」は奥熊野を訪れた方が、より深く地域を知ることができるように、地元のキーマンや面白いスポットを紹介することで、滞在者と地域をつなぐ役割を果たしています。

それでは、現在奥熊野で活躍している「地域コーディネーター」をご紹介しつつ、地域の魅力を教えてもらいましょう。

栗山有佳(くりやま・ゆか)さん
大阪府出身。奈良県下北山村在住。子供の頃から家族で下北山村に遊びに来ており、高校生の頃に両親がセカンドハウスとして下北山村にある古民家を購入。下北山村で役場の職員を募集していることを知り、高校卒業と同時に下北山村に移住を決意。現在は下北山村役場に勤務。

栗山さん 下北山村には子供の頃から通っていましたが、村が大好きで役場の職員として赴任することにしました。

下北山村は人口が約800人で、かつ65歳以上の方から80代の方が多いんです。でも皆さんとっても元気で、「じゃばら」という花粉症によいといわれている柑橘や、下北山村だけでつくられている伝統野菜の「下北春まな」などを一生懸命つくっていらっしゃいます。私のことも、まるで本当の家族のように良くしてくれて、とてもお世話になってます。

そんな村のみなさんの人柄を尊敬しますし、こんな人たちのそばで、田舎の暮らしについて学びたいと思って移住しました。「初めまして」の方でも、快く受け入れてくれるようなアットホームな村です。村には透明度の高い美しい川が流れていて、生活用水としても使われています。自然と人との距離がとても近いのも特徴です。

下北山の様子。20分程で村をぐるりとめぐれる規模だそう。

写真左

井上結子(いのうえ・ゆうこ)さん
静岡県出身。企業勤め中に「JICA青年海外協力隊」に現職参加。熊野市の地域おこし協力隊の募集を知り、5年前に移住。3年間の任期を経て、2年前から女性と家族限定の宿「Abuden」を運営する一方、子供を対象に自然を体験できるプログラム「熊野の遊び場irokuma kids」を実施。

井上さん 熊野市に初めて来て、街を歩いていたときに見つけた古民家をご縁があってお借りすることができて、ホームステイみたいな宿「Abuden」を始めました。「Abuden」の建物は元々油の商売に携わる家だったようで、地域の人が油傳と呼んでいたので、そのまま名前をいただきました。

熊野市の魅力はたくさんありますが、私のイチオシは「波田須町」です。波田須町は2000年前に秦の始皇帝によって派遣された徐福やその一行が上陸した場所だと言われていて、「半両銭」と言われる秦の時代の貨幣が見つかっていたり、世界遺産・熊野古道が通っている歴史が深い場所です。

また、「徐福の宮」や熊野灘を一望できる場所にある「徐福茶屋」は地域の方々の憩いの場所です。私もたまにお手伝いをさせていただくのですが、とても居心地が良い場所です。波田須町を含むリアス式海岸沿いを走る311号線(地元の人はサンピンピンと呼ぶ)は、海と山の景色が爽快で素敵なドライブロードですよ。

写真左中央の木が生い茂る下に「徐福の宮」の鳥居が見える。

前嶌昭則(まえしま・あきのり)さん
三重県松阪市出身。大阪や北海道など、他府県に移住した後熊野地方に移住。新宮市熊野川町にあるオフグリッドのゲストハウス「ikkyu」の管理人。生まれた街も移住先も、「温泉のある街にしか住んだことがない」という無類の温泉好き。人と話すのが好きで、移住者のコミュニティにも積極的に関わり関係を構築している。

前嶌さん やっぱり温泉がおすすめですね。熊野には温泉がたくさんありますが、有名なのは川の中から湧いている川湯温泉の「仙人風呂」。冬季限定で川を堰き止めて川を露天風呂にするんです。川石をどかすと、底から温泉が湧いてくるのがわかるんですよ。これは体験してみないとイメージができないかもしれませんね。

他にも「湯ノ口温泉」や1800年の歴史がある「湯の峰温泉」など、奥熊野には温泉がたくさんあります。いろんな温泉にあちこち入っているので、おすすめをぜひ聞いてくださいね。あと、僕自身が人と話すのが好きなので、奥熊野に来てくれた人を他の移住者さんがやってるカフェやゲストハウスにアテンドもしますよ。

4世紀に発見されたと伝わる湯の峰温泉。

角田華子(かくた・はなこ)さん
奈良県十津川村在住。2年前に仕事をきっかけに神奈川県から十津川村に移住。地域おこし協力隊として、十津川村の活性化に貢献する活動を続ける。十津川村の中だけではなく、奥熊野エリアの「地域コーディネーター」を束ねる存在。

十津川村に住んで2年ですが、ここは「すべてがある場所」だと思っています。素晴らしい山、素晴らしい川、素晴らしい人々、素晴らしい食。何度来ても飽きない、何度来ても新しい人に出会える地域。場所の素晴らしさが人の魅力を通して伝わる地域だと思っています。

十津川村は55の大字、それぞれに集落があります。村には国道168号線が通っていますが、その国道から中に入っていったところひとつひとつの集落にの集落にそれぞれ面白い人がいるんです。村外から来た方は国道を外れて、どんどん中にアテンドしています。

全国で初めて「源泉掛け流し宣言」をした十津川村。村内には泉質の異なる3つの温泉があり、身心共に癒される村。

「地域コーディネーター」に必要なこと

古くから熊野古道があり、天皇から庶民まであらゆる旅人を受け入れてきたエリアだからか、地域の外から来た人に対してもとても寛容で、あたたかく受け入れてくれる様子が伝わってきます。

そして「地域コーディネーター」は、彼ら・彼女ら自身も移住者であるからこそ、客観的な目線で地域の魅力をどんどん発掘しているようです。

角田さん ある時、地元の人に「十津川村の秋はどんな感じですか?」と聞いたら、「十津川村に秋はない」っておっしゃるんです。すごく美しい秋がちゃんとあるので、「秋がないってどういうことかな?」と思っていたけれど、当たり前にあるものすぎて見えていないのかなと思って。

取材はzoomで行いました。

ところで、「地域コーディネーター」自身はどのように地域の扉を開けて行ったのでしょう。

角田さん 初めは「十津川で観光客を呼びたい」と言っても「こんな何もないところで、何を見せるの?」とよく言われました。私は「あなたたちです」って答えていました。みなさんが今見ている景色が素晴らしいし、みなさんとお話しすること自体がとても楽しいんです、と。

そういうことを続けていったら地域の人とも仲良くなれて、今度は地域の人が「あそこにきれいな花が咲いていたよ」といったことを教えてくれるようになったんです。素直に「すごい」と伝えることが大事だった気がします。

他の「地域コーディネーター」のみなさんも「自分が住んでいる地域や、そこに住む人のことを自慢したい」っておっしゃっていて、それぞれに地域を愛している。そういう人たちが、自治体の枠を超えて一緒に活動しているのもユニークな点です。

奥熊野に興味を持った方と地域との橋渡し役を務める「地域コーディネーター」ですが、案内をお願いしたい場合はどのようなアクションを取ればいいのでしょうか?

角田さん 相談フォームからお問い合わせいただけたら、来る前にこの地域でどんなことを体験してみたいか、何を見たいかなどのご希望をZoomでヒアリングさせていただきます。

海を体験したい人だったら井上さんのゲストハウスを紹介してみるとか、事前に明確な希望がない方だったら、話してみて「この方なら前嶌さんをご紹介したら楽しそうだな」というふうに、その方に合った提案ができたらいいなと思います。

左上から三重県熊野市の井上さん、右上は和歌山県田辺市本宮町の前嶌さん。下段右は奈良県下北山村の栗山さん、下段左は奈良県十津川村の角田さん。それぞれ地域の自慢の写真をZoomの背景にセットされていて、地域愛がひしひしと伝わりました。

行政主体の移住促進事業は、どうしても自治体ごとの縛りがある取り組みとなってしまいがちです。しかし広範囲で連携を取りながら、地域の情報ネットワークを持つ「地域コーディネーター」が、自分に合いそうな地域の情報をお勧めしてくれたら、滞在や移住へのハードルもぐっと下がります。

皆さんも、移住や滞在先の候補として奥熊野エリアが気になったら、ぜひ「地域コーディネーター」がいるゲストハウスに泊まってみたり、気になることを相談してみたりしてくださいね。

– INFORMATION –

奥熊野エリアでのワーケーションや、地域での暮らし体験に興味がある方は、
今回ご紹介した「地域コーディネーター」にお気軽に相談を!

相談フォームはこちら

ゲストハウス「ikkyu」
 〒647-1235 和歌山県新宮市熊野川町宮井437
 電話:080-1297-0758

ゲストハウス「Abuden」
 〒519-4323 三重県熊野市木本町554
 電話:090-9267-5710

[sponsored by 紀伊半島移住プロモーション事業実行委員会]