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無名な私たちは無力じゃない。思いを話して、小さな選択を続けた先に、ほしい未来がきっとある。社会人3年目の私がたどり着いた現在地。

社会人3年目。
20代の半ばを迎え、今後の生き方について考え直す今日この頃。

目を輝かせて働いた社会人1年目も終わり、こなせる仕事が増えてハードワーク気味になった2年目を経て、「なんのために働いているんだろう」と路頭に迷い始めた今年の初め。

そして、今までは無限に残業していた仕事を定時勤務に変更し、あまった時間でやりたいことをやってみようと、以前から興味のあったライターの仕事に触れるべくgreenz.jp第2編集部(greenz challengers community)に参加したのが夏のことでした。

それでも何かが足りなくて、進んでいないように思える自分がもどかしくて、周りと比べて抱く劣等感に叫び出しそうになるのはなぜだろう。

私のやりたいことってなんだっけ?  
何のために生きているんだっけ?

そんな疑問がフツフツと湧いてきて、日々頭を悩ませています。

「ちょっと、人生立ち止まりたい」

そう思っていた時、greenz.jp第2編集部に所属するU25(25歳以下)のメンバーが企画したオンラインイベントがありました。

その名も「U25限定! ~無名な私たちで話そう~ グリーンズの記事から考える、ほしい未来に近づくための作戦会議 Vol.1」。

タイトル通り、U25の若者が集まって、日頃抱える悩みを話し合うというものです。

今年で26歳になった私ですが、人生に悩むひとりの人間としてこれはぜひとも参加したい…と思っていたところ、運よく募集されたイベントレポート担当に立候補し、潜入させてもらえることに。(やったー! )

2021年10月2日。
土曜の夜にオンライン上で集まった約10人と顔を合わせ、イベントは始まりました。

同世代とモヤモヤを話し合う

イベントで取り扱う記事のテーマは「新しい生き方」。

かつてgreenz.jpに投稿されたまとめ記事「ポストコロナは、生き方のアップデートが必須? ひとつの生業に縛られず、複数の選択肢を持って自然体に楽しむ人々の暮らしをまとめました! 」をテーマに話し合う構成となっていました。

参加者は4人程度の小グループに分かれて話し合いを始めます。
私の班には、大学生2人と社会人が2人。
記事を読んだ感想を述べながら、最近抱えるモヤモヤを共有していきました。

大学3年生の参加者からは「将来やりたいことが決まっているわけではないけど、就活が始まってしまって焦っている」とのお悩みが。

それを聴いて「うんうん、自分もそうだった! 」と画面の前で激しくうなずく私。

たった20数年生きてきたくらいで今後の生き方を決められないし、でも就活は待ってくれなくて、無理やり社会に押し出されていたっけ。
でもね、実際に働き始めて将来のビジョンが大きく変わったし、きっと今後も変わっていくのだと思う。そう考えると、新卒の就職先ってそんなに重要じゃないのかも。

就活に苦しんでいた過去の自分に「もっと気軽に決めていいよー」と声をかけたくなりました。

また、まとめ記事で紹介されていた「あんまり儲けを意識しなければ大抵のことはできますよ」という言葉(※)が刺さったという大学生は、これからむかえる就活の悩みとして「生活費を確保しなければいけないけど、稼がなきゃと思うとやりたいことができない」とモヤモヤしている様子。


(※)儲けを意識しなければ、大抵のことは実現できる。「サーフジャムフェスティバル」オーガナイザー迎忠男さんから学ぶ、好きなことを続ける生き方とは?

みんな同じ道を通るんだなと思ったのは、私もまったく同じ悩みを抱えたことがあったから。

社会人2年目の時に感じた「人生が労働に支配されている」という気持ち。

人生って、本来は「生きる」ということが前提にあって、その手段として「労働」しているはずなのに、当時の私は「労働」をするために「生きて」しまっていた。

そうして「なんのために生きているんだっけ?」なんて疑問が湧いてきたりする――。

日頃感じていたそんなこと話しながら、自分の中にこんなに感情が埋まっていたことに驚きました。

言語化できずに体のうちで渦巻いていた感情が口から流れ出して止まらない感覚。
言葉では説明しきれない感情がたくさんあって、それを胸の奥から引っ張り出していくと、自分でも気づかなかったような言葉がするすると出てきます。自分の言葉に自分で納得するような、不思議な感覚になりました。

「抱えているモヤモヤを吐き出すことって、自分を理解することにもなるんだ」

イベントが終わってしばらくの間、頭がふわふわとした感覚に浸っていました。

ほしい未来ってなんだろう?

そもそも、どうしてU25が悩みを話し合うイベントが行われたのでしょうか。
イベント主催者の一人で、今回のテーマとなる記事を執筆した「しおちゃん」こと塩澤僚子さんは、開催趣旨をこう説明しています。

しおちゃん この企画は「単純に話す場がほしい」という思いから始まりました。たわいもない話は相手を選ばず簡単にできると思うんですけど、グリーンズの記事で扱っているような、例えば、社会課題に対すること、政治や気候変動、脱プラ、ジェンダーなど、ちょっとモヤモヤするけど誰に話したらいいのかわからないことを、もっとラフに話せたらいいなと思い動き出しました。

日々の中で感じていることを誰かに話したい。
実際そう思っても、ちょっとまじめな話って、改まって友達には話しにくいように感じます。

まじめな話題もラフに話せる同世代の人たちの居場所がほしい! でも「社会課題を話そう!」というのはちょっと気が引ける。そしてたどり着いたのが「自分たちのほしい未来について話すこと」だったのだとか。

しおちゃん 学生時代から漠然と社会課題を解決したいと思っていたけれど、よく考えてみると解決した先に何がほしいのか、「自分たちのほしい未来って何だろう?」っていう疑問にたどり着いて。でも意外とそれがパッと思い浮かばなくて、すごくモヤモヤしたんです。

「ほしい未来」って、考えると難しいんですけど、「もうちょっと周りをこうしたら心地いいよね」とか「気持ちいいし、過ごしやすいよね」と気軽に話し合える環境をたくさんつくりたいなと思っていて。そういう話をみんなでできたらいいなと思っています。

「ほしい未来ってなんだろう?」

改めて自分に尋ねてみると、たしかにすぐには思い浮かばない。
でも考えていることはあって、課題を解決したい、あるいは自分の生きやすい社会になってほしい、そういう想いを抱いているのも事実。

さらにしおちゃんはこう続けます。

しおちゃん 最近、社会課題の解決って「Z世代」というワードで取り上げられることが多くて、例えばグレタさんを筆頭としたアクティビストはたくさんいると思うけど、みんながみんなそういうふうに意思表示できるわけじゃない。でも解決したい気持ちはすごく強いと思っていて。

「発信していないから考えていないわけじゃない」と思っているんです。小さな取り組みだし「変えられない」と思ってしまうかもしれないけど、そういう小さな積み重ねが社会を変えることにつながるんじゃないかと思っているし、そうあってほしいなと信じています。

しおちゃんの言葉に励まされたのは、日々の生活の中で自分の無力さを感じる場面がたくさんあったから。

選挙の投票に行くたびに襲われる感覚。いったいこの一票で何を変えられるというのだろう。
コンビニのレジ袋を断る時に胸をかすめる空虚感。これでどれくらいのCO2削減につながるというのだろう。

「私の行動ひとつで、社会なんて変わらない」

じゃあ何もしないのかというと、そうではないんです。
変わらないのだとしても、何かはする。それは「今のままの社会では嫌だ」という意思表示になるから。

望んだ生き方を自ら選んでいくこと自体に、たとえ社会を変える力がなかったとしても、価値がある。それはきっと自分にとって意味のあることで、自分自身を満たして豊かにすることにつながる。

ふと立ち寄ったスターバックスにて

人それぞれ求める社会は違っていて、ある人が望む社会は別の人が望まない社会かもしれない。
だから「自分はこういう社会を望む!」「こういう生き方をしたい!」という求める未来を、それぞれが選んでいけばいいと思うんです。

有名なアクティビストのように大衆を率いていく力なんてない、無名な私たちが変化していくことで、オセロの盤が徐々にひっくり返っていくように、気づけばまるっと社会を変えてしまう。

きっと“無名”は“無力”を意味するわけではなくて、名もなきものたちそれぞれの価値ある選択のひとつひとつが、この世界をつくっているのだと思います。

「ほしい未来」ってそうした選択の先にあるんじゃないかと思いました。

日の出とともに海に旅立つウミガメの赤ちゃん。U25メンバーの一人が就活を辞めて、2ヶ月間宮崎県で暮らしていた時に撮った一枚

正解のない人生を、悩みと共に生きていく

同世代の人たちと話し合うことで、自分でも気づかなかった感情と向き合うことができた今回のイベント。

これからの人生もきっと道筋はブレブレで、どの道を選んだら正解なのかは自分でもわかりません。

今の会社で働き続けようか、はたまた転職して新しいスキルを身に付けるべきか、いっそ海外に飛び出してしまおうか。

人生に迷い、ひとりで歩いた鎌倉の海

思いつく選択肢はたくさんあって迷うけれど、それと同時に、どれを選んでもいいような気もしています。

人生の選択に正解ってないのかもしれない。進んだ先をどう生きるかの方がずっと大事で、最終的に自分が選んだ道を正解にしていけばいいんだと思うのです。

大丈夫。今の私なら「ほしい未来」にちゃんと近づいていける。

語り始めたモヤモヤはいつのまにか、自分を勇気づける力へと変わっていました。

(構成・文章: こんのひとみ)
(企画・編集: greenz challengers community U25メンバー)

– INFORMATION –

今後のイベント

今後もgreenz challengers communityでは、一人ひとりが気軽に「ほしい未来」について話し合える場を企画していこうと考えています。今後もたくさんの方々と話せることを楽しみにしています! 今後のイベントはNPOグリーンズのpeatixページからお知らせします。