greenz people限定『生きる、を耕す本』が完成!今入会すると「いかしあうデザインカード」もプレゼント!→

greenz people ロゴ

ここは、みんなが子どもの頃ほしかった場所。香川県まんのう町に生まれる「SUNNYSIDE FIELDS」が育む、共生と調和のある未来とは?

株式会社サニーサイドは、「SUNNYSIDE FIELDS」設立に向けたクラウドファンディングを始めました。詳細はこちら

“いかしあうつながり”をタグラインに掲げるグリーンズと、「個性が共生し調和が発展を生む」の理念を掲げる株式会社サニーサイドは、連載「共生と調和をめぐる旅」としてこれまで宮城県石巻市雄勝町の「モリウミアス」や、千葉県木更津市の「クルックフィールズ」を訪れ、一緒に共生と調和のあり方を探ってきました。

全国各地を巡りながら、多くの学びを得て、「共生と調和」を探究する仲間を増やしてきたサニーサイドのみなさんは現在、自分たちの場所をつくるチャレンジを、香川県まんのう町ではじめています。

その場所とは、2022年1月にオープンする「SUNNYSIDE FIELDS(以下、FIELDS)」です。

「SUNNYSIDE FIELDS 準備室」のWebサイトを見ると、「公園のような場所をはじめます」と書かれています。またオープンに向けて、一緒に「FIELDS」をつくっていく仲間を募集するクラウドファンディングも実施中とのこと。一体、どのような場所になるのでしょうか。運営メンバーとして関わるみなさんに、話を伺いました。

公園のような場所から「発見」が生まれる?
サニーサイドがつくりたい場所とは

「FIELDS」の完成イメージ。(提供: 株式会社サニーサイド)

「FIELDS」は、自然豊かな香川県まんのう町にある、元看板工場をリノベーションしてつくられる場所。「公園のようにひらかれた場所にしたい」と願い、つくるプロセスもSNSで積極的に発信しながら育てています。

そもそもなぜ、サニーサイドは「FIELDS」をつくることにしたのでしょうか? 代表の多田周平さんは次のように語ります。

多田さん サニーサイドが経営理念に掲げる「個性が共生し調和が発展を生む」を体現する場所をつくりたいというのが、はじまりです。

サニーサイドを10年経営するなかで重要だと気づいた、「誰かを思いやること」「好きなものを好きでいること」「自然に感謝すること」、この3つを大切にしながらつくる場所は、どんな風になるんだろうって、今からワクワクしています。

株式会社サニーサイド 代表取締役 多田周平さん

多田さん その思いを表現する手段として、「チョコレート&コーヒーファクトリー」や「キッチン&マーケット」など、様々なコンテンツを準備しています。

目指すのは「発見」がある場所。訪れた人が、新しいことに気づく場所になったらいいなと思っています。

地元の方々を「FIELDS」にお招きして、ピクニックをしたときの様子。オープン後は、こんな風景が日常的に広がっていくんですね。

多田さん 「発見」っていうのは、自分の好きなことに気づくことかもしれないし、「こんなふうな人と自然と調和のあり方ってありなんだ」とか、「人の働き方って自由でいいんだ」とか、そういう考え方に気づくことかもしれないし。

「◯◯みたいなお店」とたとえられる場所じゃなくて、既成概念を抜きにして、自分たちが思う「あるべき姿」を体現したいんです。それが、訪れた人の「発見」につながれば嬉しいですし、結果として社会に選択肢を増やし、可能性を増やすことにもなるんじゃないかって。

「発見」は、サニーサイドで主婦(夫)、障害のある人、元引きこもり、元ニートと呼ばれる人たちと共に働くなかで、多田さん自身が「大切なのではないか」と気づいたキーワードです。

多田さん 人って知らないものに対して拒否感を持ったりしやすいですよね。

以前、スタッフが「障害のある人と仕事をするなんて思ってもいなかった。でも働いてみたら何の支障もなく仕事ができてびっくりしました」と話してくれたことがあって。つまるところ、拒否感をもってしまうのは、今までに接したことがないという体験機会の少なさ、選択肢の狭さが原因だと思っています。

「モリウミアス」でニワトリのお世話をする多田さん。動物との触れ合いが好きな自分に気づく機会になりました。(撮影: 山中康司)

多田さん 僕も「モリウミアス」ではじめてニワトリを触り、豚の世話をして。はじめはビビってたんですけど、やってみると「お世話するのめっちゃ好き」って気づきました。普通に生きていたら体験できないことができる機会って、「共生と調和」を実践する上でも大切だなって、改めて思いましたね。

インドネシアの農園から直輸入
「Tree to Bar」のチョコレート&コーヒー

「FIELDS」が「発見」の場になるよう、サニーサイドのみなさんが準備しているのが、「チョコレート&コーヒーファクトリー」や「キッチン&マーケット」です。ここからは、それぞれの担当者にも話をお伺いしていきましょう!

まずご登場いただくのは、「チョコレート&コーヒーファクトリー」担当の八十川恭一さん。「FIELDS」がめざす未来に共感し、新たに仲間になったショコラティエです。

恭一さん インドネシアの農園から直接カカオとコーヒーの豆をフェアトレード輸入し、豆の選定から焙煎、成形までを行うファクトリーをつくります。

カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行うことを指す「Bean to Bar」という言葉がありますよね。「FIELDS」では、農園と直接コミュニケーションを取りながら、それぞれの豆がなる木のこと、それを育てる農家さんのことを知りながらものづくりをします。

また、僕らが1キロ豆を輸入するごとに、23円が現地に還元されるようなファンドも立ち上げました。こういった取り組みは、「Bean to Bar」を超えた「Tree to Bar」とも呼べると考えています。

真ん中: 八十川恭一さん。

インドネシアの農園との出会いは、恭一さんの父親でありコーヒー焙煎士の八十川浩一さんが20年以上関わっていたことから。浩一さんは「FIELDS」のコーヒーを担当するそうで、親子で「チョコレート&コーヒーファクトリー」を担います。

恭一さん ファクトリーはガラス張りで、外から作業風景を見れますし、中に入ることもできます。生活しているだけでは入れない場所に入れて、触れないものにも触れ合えるようにしたいなって。チョコレートづくりの体験メニューも準備中です。

コーヒー焙煎士の八十川浩一さんによるコーヒー教室(仮)(提供: サニーサイド)

「発見」が得られるような場になることを期待して、様々な準備が進んでいるようです。なかでも、一番やりたいことはなんでしょう?

恭一さん 「チョコレート」って一括りにされがちですが、味や香りの種類ってたくさんあるんですよ。それなのに、好みのチョコレートを聞いても、「甘い」「苦い」くらいの答えしか持っていない方が多いんです。でも、コーヒーなら「浅煎りで酸味があるもの」と自分の好みを知っている人は一定数いますよね。

「FIELDS」でさまざまなチョコレートを食べていただいて、コーヒーと同じように、自分が好きなチョコレートを見つけてもらいたいです。

カカオは6種類、コーヒーは11種類の豆を取り扱うそう。何度も足を運んで自分の好きな味を見つけたくなります。

生産者の顔が見える豆を使って恭一さんがつくるチョコレートと、浩一さんが焙煎したコーヒーを共に味わえるファクトリー。慌ただしい生活のなかで、ほっと一息つく時間が過ごせる空間になりそうですね。

お皿に乗ってる料理すべて、生産者の顔が見える
「キッチン&マーケット」

つづいて話を伺ったのは、「キッチン&マーケット」で農業を担当する近藤進介さんと、料理担当の秋吉はなさん。「FIELDS」から徒歩3分の畑で、農薬・化学肥料に頼らない栽培方法で作物を育て、収穫した野菜を使った料理を提供予定です。

「FIELDS」近くにある畑。近隣の農家さんにもアドバイスをいただきながら、作物を育てています。

畑の広さは約7000㎡。「FIELDS」から歩いて2,3分ほどの近さです。サニーサイドはこの地で2018年から農業をはじめ、運営する「SUNNY DAY HOSTEL」や「SUNNY DAY JUICE STAND」で野菜を提供してきました。今後は「FIELDS」でもサニーサイドの野菜を食べられるようになるとのこと。では、農業を営む上で大切にしていることはなんでしょうか。

近藤さん 安心・安全はもちろんですが、特に大切にしているのは「つづけられる農業」をすることです。化学肥料と農薬を用いた慣行農業は自然に負担をかけ過ぎてしまいます。

また現状、農作物は市場が価格を決めていますが、それよりも生産者が価格をつけて、経済活動としても持続可能になるようにしたいですね。もしかしたら、サニーサイドで売る野菜はスーパーで買うよりも少し高いかもしれません。それでも買いたいと言ってもらえるファンを増やして、地球にもよくて経済的にもつづけられる形を模索していきます。

と、理想を描きながらも、まずは足元からできることを。ゆくゆくは年間数十種類の作物を育てたいと考えていますが、今は品目を絞って栽培しているそうです。

近藤さん 現在は玉ねぎ、ニンニク、唐辛子、大豆の4種類を栽培しています。他にも「FIELDS」を訪れた方が気軽に農業に触れられるように、ハーブ類も作付しようかなどと話し合いをしているところです。ハーブティーを注文したら、畑でハーブを摘むところからスタートしたらどうだろうとか(笑)

農業担当の近藤さん

種まきや収穫などの体験イベントも定期的に実施予定。しかし、決められた日に限らず、畑を見たいと思った人がいつでも寄りやすい環境をつくりたいと近藤さんは考えています。

近藤さん その時々で何かしら作業はあるので、ふらっと来て手伝ってもらうのもいいですよね。手伝ってくれたら野菜を無料で持って帰れるとか、草刈りをしてくれたらランチ無料になるとか、気軽な関わり方ができる場所にしたいです。

ワイワイガヤガヤ、みんなで楽しみながら汗をかいた後に食べるご飯は、間違いなくおいしいです。そしたら自然に、一緒に作業した人と仲間になれるんじゃないかな。そんなシーンを見れたらいいですね。

近藤さんを中心の農業担当メンバーが育てた食材を料理として届けるのが、秋吉はなさんです。現在はフードコーディネーターのみなくちなほこさんの協力を得て、メニュー開発の真っ最中。

はなさん 「◯◯料理」といったカテゴリに捉われず、一つの食事のなかにサニーサイドの関係が集約されたものをお届けしていきます。サニーサイドの野菜を中心に、軽トラックですぐ「FIELDS」まで運んでもらえるような距離感の農家さんが育てた野菜やお米も使わせていただきます。調味料も香川県内でつくられているものを選んでいて、一つひとつの食材から生産者の顔が浮かぶ料理をつくりたいなって。

料理担当の秋吉はなさん。

例えば、これはご近所さんから頂いた栗を使ってお弁当の試作をしたときの一枚。ご近所の方が育てた無農薬のお米と合わせて、栗ご飯をつくってみんなで食べました。

サニーサイドの農園で取れたたまねぎグリルが添えられた栗ご飯弁当。

まんのう町の豊かな風景も「FIELDS」で味わえるごちそうの一つ。五感をフルに使って、四季を感じながらお弁当を楽しめそうです。

はなさん まんのう町はすごく景色がよくて、気持ちいい。「FIELDS」だけではなく、田んぼや畑、畦道……好きな場所で自然を感じてもらいながら食べてもらえたら。

ゆくゆくはお惣菜の量り売りもはじめて、地域の方が日常的に買いやすいようにしていきたいとのこと。観光で訪れた人も、地域の人も。関わるみなさんの思いが詰まったお弁当やチョコレートを、まんのう町の豊かな自然を感じながら味わえる場所になりそうです。

いろんな人の「やってみたい」が形になる
想像できない未来が待つ場所へ

サニーサイドのみなさんのお話から、「チョコレート&コーヒーファクトリー」や「キッチン&マーケット」、そこに農業やチョコレートづくりなどのあそびのメニューも加わって、「FIELDS」はさまざまな入り口から関われる場所になりそうな未来が見えてきました。

しかし、さらに詳しく話を聞いていくと、ここまで伺ってきたかたちは「決して完成形ではない」ようです。
さらにその先に、どんな未来を思い描いているのでしょうか。

多田さん 先日、農業チームにチョコレートづくりを体験してもらったのですが、カカオ豆をはじめて触ったメンバーから、「自分の興味の枠が拡がるのって、人生が楽しくなるね」という言葉が出てきて、すごくいいなって。そんな風に、「FIELDS」で素敵な出会いがあって、やりたい気持ちが形になっていく。僕らが想像もしていなかったコンテンツが増えていく。そういう広がりのある場所になったらいいなと思うんです。

「FIELDS」から徒歩3分ほどにある森で、子どもたちとどんぐり拾いをしている様子。

はなさん 「FIELDS」を気に入ってくれた方が小料理屋をはじめたり、雑貨屋さんをはじめたり、いろんな可能性がありますよね。家にある古道具や古着を持ち込んでもらい、どんな思いで大切にしてきたかの手紙をつけた上で次の方にバトンをつないでいくようなコミュニケーションの仕掛けがあったら楽しそうとか、いろいろ想像しています。

恭一さん 僕は来てくれた方と「チョコ友」になりたい。あと、まんのう町民がチョコレートに精通するようになって、将来「まんのう町出身のショコラティエが多いけど、なんでだ?」と話題になる未来もいいよねって、みんなと話をしています。

多田さん 僕は経営理念である「個性が共生し調和が発展を生む」を、「FIELDS」でより多くの人に感じてもらいたいです。人やモノと出会い、出会いから価値観を広げていく。選択肢が増えたら、きっとみんな優しくって、寛容で、もっと生きやすい素敵な社会になるんじゃないかなって。

いろいろ言いましたけど、純粋に「FIELDS」は僕が子どもの頃にほしかった場所なんです。学校が居心地悪いなと思っても、それ以外に行くところがなかった。みんなと同じじゃなくてもいい、自分で居られる場所がほしいって、自分の中に眠る子どもが言っています(笑)

「FIELDS」をつくるプロセスに
グリーンズ読者のみなさんにも関わってほしい!

子どもから大人までさまざまな人が関わりながら、「FIELDS」を準備中!

メンバー一人ひとりの思いが重なりあうことで形になりつつある「FIELDS」。サニーサイドのみなさんは、そこにぜひ、greenz.jp読者のみなさんにも関わってほしいと願っています。

多田さん 「個性が共生し調和が発展を生む」を体現するのは、僕たちだけではとてもできません。「FIELDS」は僕らだけがつくって、「こんなお店どうですか?」と提案するというあり方ではなくて、僕ら以外にも関わる人を増やしながら育てていきたいんです。

だから、僕たちスタッフとお客さんの「境界線」をなくしていきたい。一緒に草刈りをしたり、ハーブを収穫するところから、ハーブティーを提供するところまで、みんなが関われる余地があって、その延長線上に誰かの「やってみたい」が形になっていく土壌が育まれていくのだと思います。

そうした関わりの第一歩が、11月26日からスタートするクラウドファンディングです。返礼品として、サニーサイドの野菜や「FIELDS」のチョコレート、体験イベントのチケットなどを準備中とのこと。それらに加えて「FIELDS会員証(仮)」も発行予定です。

多田さん 会員証を手にして、ぜひ「FIELDS」の仲間になってほしいです。クラウドファンディングで関係が終わりではなくて、全国どこに住んでいても「FIELDS」を自宅から応援してもらえるような、そんなメンバーシップの仕組みをつくれたら。

仲間になるということは、「個性が共生し調和が発展を生む」のもと、社会に一つの可能性を増やす仲間になることだと思うんです。

自分の好きな味や香りに出会えるチョコレート。顔が見える生産者の方の食材を使ったお弁当。
そして仲間として、一緒に時間と空間を楽しみ、育てていく数々の体験。

それらを通じて、風通しが良く広々としたここ、まんのう町から、どんな出会いや物語が生まれていくのでしょうか。サニーサイドのみなさんの描く未来を想像してみると、「公園のような場所」でありながら、その言葉に集約できない広く深い可能性を持った場所に育っていく気がしてなりません。

連載「共生と調和を巡る旅」の一つの終着地である「FIELDS」。2022年1月からサニーサイドのみなさんは、新たなスタートを切ります。彼らが描く未来に心動くものがあれば、ぜひ一緒にクラウドファンディングで応援しませんか?

私も「FIELDS」の仲間の一人として、読者のみなさんとまんのう町でお会いできる日を楽しみしています。

(写真: 秋吉直樹)

– INFORMATION –

株式会社サニーサイドは、「SUNNYSIDE FIELDS」オープンに向けたクラウドファンディングを始めました。詳細はクラウドファンディングのページをご覧ください。
また、オープンに向けたあゆみは「サニーサイドフィールズ準備室」にて公開していますので、そちらもぜひチェックを!

クラファンページ

[sponsored by 株式会社サニーサイド]