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「大事なのは答えを教えることじゃない」。循環する暮らしの体験施設「モリウミアス」から学ぶ、“共生の原体験”のつくり方

人や自然と共生しよう」と言っても、実践するのはなかなか難しいもの。

あらゆることが効率化され、自然と切り離された都市での暮らし。
仕事や家事、子育てなどに追われる慌ただしい毎日。

そんな中で、どのように時間をつくり、何から暮らしを変えていけばいいのだろうと悩むこともしばしば。

そんなモヤモヤを抱えながら、グリーンズとサニーサイドは、「共生と調和を巡る旅」に出ることにしました。前回訪れた「クルックフィールズ」で、「人と自然は共にいかしあえる存在である」ことを実感した、取材チーム。

今回は「自然と共生する原体験はどのようにつくられるのか?」を探求すべく、宮城県石巻市雄勝町にある「MORIUMIUS(以下、モリウミアス)」を訪れました。

暮らしの息づかいを感じる、日本の原風景・雄勝町

宮城県石巻市雄勝町。2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部の町のひとつです。

仙台駅から車でモリウミアスを目指した取材チーム。東北最大の北上川の河口へと向かい、釜谷トンネルを抜けると青々とした山ときらめく海が目の前に現れました。

雄勝町まで、石巻駅から車で約1時間、仙台駅からは約2時間。町に鉄道は走っていないため、車での移動が必須です。

雄勝町ではかつて約4300人が暮らしていました。しかし、震災によって町の8割が壊滅。人口は1000人近くまで減少してしまいました。

町からは多くのものが失われました。残ったのは、わずかな人口と日本の原風景を思わせる豊かな自然です。

(写真提供: モリウミアス)

町の面積の8割以上を占めるのは山林。山から豊富な栄養素を含んだ水が海へ流れ込むことから、雄勝は漁村としても栄えました。雄勝湾では年間を通して海の幸に恵まれ、ホタテ・銀鮭・ホヤの養殖が盛んなほか、ウニ・アワビ・ナマコなども収穫され、四季折々の味をいただくことができます。

(写真提供: モリウミアス)

また、モリウミアスがある雄勝半島そのものも「南三陸金華山国定公園」に指定されており、町全体が森と海に囲まれた自然豊かな土地です。

循環する暮らしの体験施設「モリウミアス」

360度ぐるっと自然に囲まれたこの町でモリウミアスが産声を上げたのは、2015年7月のこと。1923年に設立され2002年に閉校した「旧桑浜小学校」をリノベーションし、子ども達の好奇心と探究心を刺激する複合体験施設として生まれ変わらせたことがはじまりです。

(写真提供: モリウミアス)

モリウミアスが大切にするのは、雄勝町を丸ごと教材にした、サステナビリティ(持続可能性)の考えに基いた宿泊体験。ベースになるのは、「サステナブル」「ローカル」「ダイバーシティ」の3つのコンセプトです。

プログラムのメインは、小中学生を対象にした森と海をじっくり味わう「7泊8日の滞在型プラン」。木を切り森を育てる、水源を探す冒険に出る、漁師さんと海に出て、釣った魚で食事をつくるといった体験を通して、循環する暮らしを学びます。

(写真提供: モリウミアス)

学びのフィールドは雄勝町全体、というからには地域の方々との関わりも欠かせません。モリウミアスのスタッフのみなさんは、約400年つづくと言われる町の歴史をこの地で長く暮らす方々から聴き、町の成り立ちや暮らしの知恵などさまざまなお話を子どもたちに伝えています。

(写真提供: モリウミアス)

また、アーティストを招き1〜3ヶ月滞在してもらう「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」を不定期で開催しています。これはアーティストが滞在期間中に、子どもたちとのワークショップを行ったり、雄勝町から得たインスピレーションを作品化したりするもの。

このプログラムによって、人口1000人近くの小さな町にも関わらず、雄勝町を目指して世界中からアーティストが訪れ、異文化や価値観の異なる人が集まる場になっています。

滞在したアーティストの作品。子ども達にとって、普段出会わないような人と出会うことは新たな視点や感性、創造性を身につけるきっかけになっているようです。

これまでは、7泊8日、短くとも1泊2日のプログラムでしたが、2022年からは1年以上滞在し、地元の小中学校へ通う「漁村留学」もスタート予定。モリウミアスの可能性は、広がりつづけています。

ご紹介したいストーリーはまだまだありますが、それらは以前グリーンズでご紹介した記事にお任せして。この記事では私たちが1泊2日で体験したプログラムをご紹介しながら、「自然と共生する原体験はどのようにつくられるのか?」を一緒に考えていきたいと思います。

1泊2日で、子ども向けの短期滞在プランを体験!

モリウミアスに到着すると、真っ先に耳に飛び込んできたのはさまざまな鳥達の声。「まるで森のBGMをかけているみたい!」と誰かが言うと、「よく言われます」と笑いながら、子どもの体験プログラムを担当する「学ぶチーム」のリーダー安田健司さんが出迎えてくれました。

安田さんは、震災後に東北入り。旧桑浜小学校の再生から関わり、以来モリウミアスで実施する子ども向けプログラムの企画から実施までを牽引しています。

安田さん みなさんには、子ども向けに実施している短期滞在プランをアレンジしたものを体験してもらいます。早速ですが、これから1泊2日の間、テーマを決めて過ごしてみませんか? ここに「くらしの7つの得意技」があるのでひとつ選びましょう!

「備える」「分かち合う」「いい塩梅」「丁寧に」「工夫を重ねる」「手間(ひま)をかける」「整える」から、せっかちな私は「手間(ひま)をかける」を選びました。

一人ひとりのテーマが決まったところで、「では、山を散策しましょうか」と安田さん。一同はモリウミアスの裏側にある山に向かいます。

草木が生い茂る山を5分ほど登ると、あっという間に海が見えるところまで辿り着きました。
すると、突然こんな一言が。

安田さん それでは今から20分間、自由に過ごしましょうか。

プログラムがびっちり組まれているのだろうと思っていたので、余白があることに若干戸惑いつつも、木の幹に触れたり葉っぱを拾ったりノコギリで木を切ったりと、思い思いの時間を過ごします。

安田さん 帰り道は夜ご飯をつくるのに必要な薪を拾っていきましょう。みなさんには自分たちで火を起こし、飯ごうでお米を炊いてもらいます。3合を炊くのに必要だと思う量の薪を、袋に入れて持ち帰ってくださいね。

「小学生ぶりかも!?」「どれくらいの薪が必要? 着火剤になる燃えやすい葉や細い枝もいるね」などと話をしながら、集めていきます。

燃えやすそうな葉っぱに加え、細い枝や太い枝を袋いっぱいに詰め込みました。

モリウミアスに戻ると、早速、夕飯の準備に取りかかりました。「餌やり」「薪割り」「魚捌き」の3つを提案され、各自やってみたいことを選びます。

モリウミアスで飼っている豚のラバーさん。草のほかにも、残飯や近所のパン屋さんから分けてもらう廃棄のパン、豆腐屋さんからもらうおからなどをミックスしたものを、1日2回食べています。

薪はご飯炊きやお風呂を沸かす際に使います。裏の山で切り倒した木を丸太にし、薪に。こうした体験をすることで、燃料もどこからやってきたものか分かります。

この日はヒラメの五枚卸しに挑戦しました! この後、料理人さんの手によっておいしい刺身やフライ、漬けなどに変身しました。

下ごしらえが終わったら、いよいよお米を炊いていきます。拾った薪に加え、安田さんから渡されたマッチはたった3本。「足りるだろうか?」「マッチが少ないのにも、何か狙いがあるのかな?」と考えながら、薪を組んでいきます。

さあ、準備した食材や炊き立てのご飯を囲んで、夕食の時間です。

料理はどれも雄勝町の森や海で採れたものばかり。地元の漁師さんから直接仕入れた銀鮭や牡蠣、農家さんから届いたマコモダケやフキなど、旬の食材を使った料理がずらりと並びます。
どれも新鮮で、おいしくて。雄勝町の自然の豊かさを全身で味わいながら、楽しいひと時を過ごしました。

翌日は6時半から、朝の活動。「掃除」「餌やり」からやりたいことを選び、持ち場へ向かいます。太陽の光を浴びながら、体を動かすってすごく気持ちがいい!

ニワトリ小屋の中で堆肥がつくられています。餌はその日キッチンで出た、魚のアラや野菜クズなど。ニワトリが残したものは、そのまま横の土に混ぜて堆肥になるので、堆肥化のハードルがすごく低いことが印象的でした。

最後は、モリウミアスから徒歩15分ほどにある「白銀神社」で雄勝の町や自然にお礼を伝えて、滞在プランの体験は無事に終了!
たった1泊2日でしたが、自分たちの手で“暮らしをつくる”実感を得ることができ、とても充実した時間を過ごすことができました。

一方で、「言語化できていないけれど大切なことを得た」感覚が残りました。モリウミアスのプログラムには、どのような狙いや仕掛けがあるのでしょうか。代表の油井元太郎さんにも加わっていただき、深掘りしていきます。

暮らすことは生きること。人は営みから生きている実感を得る

まずお伺いしたのは、「なぜ循環する暮らしの体験」に重きを置いているのか。

油井さん 暮らしって生きることじゃないですか。僕は東京にも家があり、宅配サービスを頼めばあらゆる料理が自宅に届く便利さを享受する一方で、あちらでは生きている実感を得ていません。

効率を求めて最適化された生活は決して悪いことではないし、そうした生活をしている人が大多数だと思います。だけど生き物としては、自然と共に生きる暮らしをした方が、間違いなく心身ともに健康です。

たしかに、都市に限らず、自然豊かな地方に住んでいたとしても、家から目的地まで車で移動し、清掃はお掃除ロボットに任せ、調理家電でつくられた料理を食べているとしたら、自然と共にあることを実感することは少ないな……と自らのライフスタイルを振り返り、思わず頷いてしまいました。

油井さん モリウミアスに滞在しているときは、自分で食べ物を収穫するし、火を起こすための資源をとってくるところから徹底的にやってもらいます。わかりやすく言えば自給自足です。

校庭には、クルックフィールズにもあった「バイオジオフィルター」があります。モリウミアスの排水は浄水され、そばにある小さな田んぼに流れ込み、春から秋にかけて稲を育てます。

それであれば、一般的な農業体験や自然学校でも、同様の経験を得られそうです。違いはあるのでしょうか?

油井さん 例えば、休日に自然を求めて一次産業の体験ツアーに出かけたり、山登りに出かけたりすることがあると思います。でも、それはレクリエーションでしかありません。なぜなら、人としての一連の営みが行われるわけではないから。

農業体験なら、種を巻いたり収穫したりするところで終わってしまいます。でも、本当は採れた野菜を料理して、堆肥をつくって、それでまた野菜をつくる。そうした一連の流れがあります。この営みは農家かどうか関係なく重要なこと。たとえ自然の中に出かけても、田舎で暮らしていても、共生している感覚を得られないのは一連の流れを体験することができていないためです。

なるほど、油井さんのお話から、「自然の中で暮らすこと」と「自然と共生していること」は、別物であることがわかってきました。自然のめぐみをただ享受するのではなく、能動的にその循環に働きかけることが、「自然と共生していること」なのかもしれません。

答えを知ることよりもプロセスそのものが、子どもを育てる

プログラムを体験する中で、もう一つ大きなポイントだと感じたのは、スタッフの方々の「教えず見守る姿勢」です。

油井さん 教育とは待つことです。いかに大人が介入せずに、子どもに主体的になってもらうか。待っていれば、子どもなりに考えて行動するんですよ。

私たちも体験したご飯炊きや魚捌きでは、こんなエピソードが生まれているのだとか。

安田さん 「僕は三枚卸しができる」と、漁業に特化したプログラムに自信を持って参加した子がいました。自信があるから、はじめて挑戦する五枚卸しにも意気揚々と臨んだんですね。でも、やってみると身がズタズタになってしまって。

次の日から彼はカレイが手に入る度に五枚卸しにチャレンジして、最後には綺麗に捌くことができるようになりました。帰るときには号泣していて。
きっと7泊8日の中で、得意だったことで挫折をして、またできるようになり、自信を取り戻す経験をしたのだと思います。僕はそれをただ見ていただけです。

魚捌きは難易度が高いので、はじめに手順を見せてから子ども達にチャレンジしてもらっています。(写真提供: モリウミアス)

油井さん ご飯炊きも子ども達だけで挑戦してもらいます。ご飯の時間はいつだとか、暗くなったからとか関係ない。炊けるまでやるんです。今まで、最長約3時間かかっています。

モリウミアスに来て初めて火を見る子どももいるから、いきなり腕くらい太さの木に火を着けたり、葉っぱばかり燃やしたりして火が長続きしない子どももいます。でも、それでいい。答えを教えるんじゃなくて、プロセスの中で何を感じるかが大切なんです。

(写真提供: モリウミアス)

自然と共に生きることで感性が磨かれ、豊かな社会をつくる

魚が捌けること、ご飯炊きができること。もちろんそれらも素晴らしいことだけど、「真の価値はプロセスにある」と、モリウミアスのみなさんは考えています。
その背景にあるのは、日本の暮らしとテクノロジーを掛け合わせることでより豊かな未来をつくれるという希望です。

油井さん これから70年、80年と生きる子ども達は、自分達で社会や国をつくっていかなければなりません。自然と共生する原体験を得た子どもが与えるソーシャルインパクトは、テクノロジーしか知らない子とは比べ物にならない思います。

それでは、自然と共に生きることで育まれることとは何でしょうか?

油井さん 感性です。僕が生まれ育ったアメリカでは、野外教育に力を入れていますが、それは感性を磨き、社会を引っ張るリーダーシップを身につけさせるため。自然の中は感覚的な世界だし、正解なんてもちろんわからない。試行錯誤し、自ら判断を下し、仲間と協力しながら困難を乗り越えることは、人間社会よりもはるかに難易度は高いです。

かつて僕は音楽に携わっていたので、たくさんのミュージシャンを見てきました。音楽に限らずスポーツも同様ですが、練習すればみんなある程度はうまくなります。でも、最後に突き抜けるかどうかは、感性しだいなんですよ。感性を磨く方法の一つが、暮らしや自然と共に生きることだと僕は考えています。

モリウミアスで育まれるのは、感性である–。たしかに、非言語的、無意識的、直感的なものだからこそ、1泊2日で体験したことをすぐに言語化しようにもできないのかもしれません。

一方で、大切なものを得た感覚を持つことができていること自体が、まさにモリウミアスでの学びなのではないだろうかと、油井さん・安田さんのお話を聞くうちに、少しずつ頭の中がクリアになっていきました。

昔ながらの暮らしをヒントに、まずは価値観の醸成から

自然と共生する原体験は循環する暮らしの中で得られ、その中で磨かれた感性が豊かな未来をつくる手助けになりそうだ、ということはわかってきました。とはいえ、プログラムが終わり、日常に戻った後もモリウミアスのような暮らしをつづけるのはかなりハードルが高そう……。実際どれくらいプログラム参加者の暮らしに影響を与えられているのでしょうか?

油井さん いやあ、まだまだですよ。コロナ禍をきっかけに、家庭にいながら東北とつながることができる食育プログラム「MORIUMIUS@Home」をスタートさせましたが、「7泊8日の滞在型プラン」に参加してくれている家庭でも想像以上に受講してくれない(笑) それは、日常生活に戻ると勉強や習いごとの優先順位が高くなってしまうから。モリウミアスはあくまで非日常体験なんですよね。

と課題を挙げつつも、「まずは価値観を醸成することが重要」とつづけます。

油井さん 無理をしてもつづかないので、究極「価値観」を持ってもらうだけでもいいかなって思うんです。今、都市でも家庭用コンポストが普及してきましたよね。普段の生活の中でつづけられることを大事にしていったら、ゆくゆくは町に堆肥場ができて、そばにはコミュニティガーデンがあり、野菜をつくって地域で分け合う未来が来るかもしれません。だからまずは、価値観の醸成じゃないですかね。

モリウミアスが大切にしたいと考える価値観の指針になっているのが、2017年に東北大学が発表した「失われつつある44の価値」です。

・自然と寄り添って暮らす
・山、川、海から得る食材
・何でも手作りする
・大勢で暮らす
・小さな店、町場のにぎわい
「44の失われつつある暮らしの価値」より一部抜粋)

油井さん プログラムのはじめに選んでいただいた「くらしの7つの得意技」は、ここから抜粋したものです。モリウミアスでは半分くらいできているけれど、都市だと意味は分かっても実践している人はほぼいないですよね。

僕たちは子ども達に自給自足の生活をしてほしいわけではありません。だけど、日本古来の暮らしの価値観と、今後も発展するテクノロジーを掛け合わせることができたら、きっと子ども達は自分らしい未来をつくっていけるだろうし、日本や世界が豊かになるだろうと信じています。

ありのままの自分になる、心動く場所を日本各地に

サニーサイドは2021年11月、香川県まんのう町に「誰かを思いやること」「好きなものを好きでいること」「自然に感謝すること」をテーマに掲げた「SUNNYSIDE FIELDS(以下、FIELDS)」をオープン予定です。準備に奔走する、多田周平さんと秋吉直樹さんの目に、モリウミアスはどのように映ったのでしょうか?

多田さん 今まで人と人の関係性、生き方・働き方の面から「個性が共生し、調和が発展を生む」を理念に掲げてきました。でも、今回の連載を通して、その中に「地域」や「自然」の視点が抜けていたことに気づいて。今回モリウミアスに来て、それらを具体的に取り組んでいる現場を知り、FIELDSでも表現したいなと思いました。

多田さん あとは、豚のラバーさんやニワトリさんと触れ合って、僕は生き物と一緒にいることが好きなんだって気づきました。

好きなものを知る機会って、なかなかなくって。社会から「あなたはこれ好きでしょ」って情報にどんどんさらされて、自分の中で本当に好きかわからないけれどやっていることって多いと思います。でも、モリウミアスでは、普段触れ合わないものに触れ合って、そこから本能的に自分の好きなことを知ることができるような、心動く時間を過ごせました。

今日の気づきを得たことで、ニワトリとヤギをFIELDSの仲間に迎え入れて、僕がお世話をしたいと思うようになりましたね(笑)

秋吉さん 僕は油井さんが「政治家になって世界を変えるよりも、モリウミアスに来た子どもたちが、何十年か先でも、自分たちらしい未来をつくっていくことにつながる方が楽しい」とおっしゃっていたのが心に残っています。FIELDSをつくることで、お客さんや地域の人、スタッフを含めてどういう世界をつくりたかったのか、立ち返る言葉をいただきました。

オープンまであと数ヶ月。地域の人との関係性も大切にしながら進めていきたいと思います。

それぞれの学びを得たサニーサイドの二人。一方、油井さんも、FIELDSがモリウミアスの仲間になるかもしれない可能性を感じとってくれたようです。

油井さん 100年後、日本に100カ所くらいモリウミアスみたいな場所があったら、日本の誇るべき資源になると思うんです。イタリアにレッジョ・エミリアという都市があります。そこは、戦後焼け野原になったところから、幼児教育における国際的なロールモデルになり、世界中から視察が入るようになって、教育が産業になったんですね。イタリアのように、日本も地方の豊かな自然資源をふんだんに子どもに提供している国になったらいいなと思うので、ぜひ連携していけたら嬉しいです。

私は、どう生きるのか。問いかけられたモリウミアスでの時間。

取材を終えてモリウミアスを離れる直前、食堂に飾られていた一つのパネルに目が止まりました。

人間は、どう生きるのか。
その答えを教えるのではない。
自ら気づいてもらう学び舎。

生き物と触れ合うことが好きだと気づいた多田さん。
自分が何かを成し遂げるよりも、何十年後かの未来に目を向けて働くおもしろさもあると気づいた秋吉さん。
そして、自然の中だとありのままの自分で居やすいと気づいた私。

同じ時間を過ごし、同じ話を聴いたはずなのに、学びはさまざま。それこそが、モリウミアスの力なのでしょう。

ここでの学びは、ゆくゆくは一人ひとりの生き方やあり方を変えるタネになっていく気がしてなりません。そして、モリウミアスは今後も共生と調和を探求する先輩として、仲間として、FIELDSに良い影響を与えつづけてくれることでしょう。

自然と共生するヒントは循環する暮らしにある。今の日常をガラッと変えることは難しいけれど、小さくても循環を意識して生きてみようと固く決意して、それぞれの日常へ戻っていきました。

次回の「共生と調和をめぐる旅」では、グリーンズとサニーサイドのメンバーは栃木県那須塩原へ旅に出ます。お楽しみに!

※NPO法人グリーンズでは取材を行った2021年6月15日~6月16日時点において、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、原則としてオンライン取材を推奨していました。しかし本取材においては、公益社団法人MORIUMIUS、株式会社サニーサイドと協議の上、検温、マスク、アルコール消毒等の適切な感染症対策を実施の上、現地での取材を決行致しました。

– INFORMATION –

SUNNYSIDE FIELDS 準備室

 サニーサイドは、2022年1月の「SUNNYSIDE FIELDS」OPENに向けて、準備を進めています。少しでも興味を持った方は、開業までの道のりをお伝えしている「SUNNYSIDE FIELDS 準備室」をのぞいてみてくださいね!

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食のプログラム「学ぶBOX」秋コースがスタート!

モリウミアスは、食のプログラムの学びをご家庭に届ける「学ぶBOX」の秋コースを10月からスタートします。今回は、ホタテ、アナゴ、秋鮭を使った料理を一緒につくるプログラム。興味ある方はぜひチェックしてみてください!

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